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カテゴリー ダメダメ家庭の雰囲気
配信日 03年10月17日 (10年4月14日に大幅に改訂)
タイトル 親が苦労して働いている姿 (労働の苦労)
チョット前から日本ではフリーター問題が随分取り上げられていますよね?
会社勤めをせずに、自由に適当にお金を稼ぐライフスタイル。
あるいは、フリーターどころか、そもそも働こうともしないニートの方々もいる。
現在はそれでいいとして、じゃあ、将来はどうなるの?

まあ、政府も困るんでしょう。色々と対策を取るらしい。
しかし、このようなことは政府がやる話ではありませんよね?
あるいは、政府がいくら対策を取っても無理があるでしょ?
自分の将来をどうするのかは、やっぱりその人自身で考えないとね。
あるいは、労働するスタイルの問題は、まずは家庭が取り組む話でしょ?
だって、家族のうちで、実際に働いている人の姿がどうなのか?その点から子供は、働くということを「実感」するわけでしょ?

親の側がフリーターをしている子供に対して「ちゃんと会社勤めをしろ!!」とガミガミ言ったり、ニートの子供に「とにかく働け!」と怒鳴ってもしょうがない。親からのそんな言葉を受けて、働いていない子供が、親を殺害してしまうような事件も、起こったりしているでしょ?
「働け!」と言われて、「じゃあ、働きます!」とはならないものでしょ?
働くということの価値を認識するにあたっては、子供が幼少時から見ていた、普段の親の労働の後姿が重要であるわけです。

そのようなことを書くと、「オレはいつも一生懸命、家族のために働いているのに!!」と反論されるかと思います。
しかし、ダメダメ家庭ではその他にも労働の後姿を色々と見せているわけです。

特にネガティヴな姿を。

例えば雇用不安を子供に伝えたりする。

昨今では公務員ですらリストラの対象になりかねない状態です。
いわんや、一般の民間企業においては、雇用の問題は必ずつきまとう問題ですね?それが最近ではさらに雇用不安が深刻な問題で、普通の家庭でも一般の会話に上ることもあるでしょう。

「以前ここに遊びに来たことがある、同僚の○○君なんだけど、彼は、チョット前に、リストラされちゃったんだ。」

「オレも最近上司の視線を感じちゃって・・・首筋が寒くなってきたよ・・・」

「リストラされたら、ここの家賃どうしようか?」

「子供の進学費用も・・・どうなることやら??」

目の前でこのように会話が展開されたら、子供だって、いたたまれないでしょ?子供にとって、自分を扶養している親の、その収入の道が不安定な状態であると認識することは、大きなストレスにつながることは、それこそ子供だってわかること。

「とても幸福とは言えないような、今の状態すら不安定なのか?」
と同時に、子供が進学とかレジャーとかの分不相応な「おねだり」を言い出さないようにするためには絶大な効果があるわけです。

子供の方から親に対して気を使うことになるわけ。
日頃から、このような話を聞かされた子供は、普段だって、落ち込みますし、未来への希望など抱かなくなります。とてもじゃないけど、自分の将来について前向きに考えるなんてことはできなくなるでしょ?
むりそ、自分の将来について、考えないようになってしまうでしょ?

そして、常にリストラに怯える父親を目の当たりにすることは、会社に勤めた形での就業への意欲を削ぐのに多大な効果があるわけです。

「こんなことして、無理に会社に勤めていても、何か、いいことあるのかしら??」

そう思うのは当然のことでしょ?
そんなことだったらフリーターになるのも当然でしょ?
だって、会社勤めの不快さを子供の前で語り続けているんだから、当然ですよ。

勿論のこと、リストラのような極端な話でもなく、職場には色々な苦労がつき物ですよね?
人間関係のトラブルとか、肉体的な疲労とか・・・

「課長の要求にはまいったよ。」

「もう疲れて疲れて・・・肩もこってしまった・・・」

「はぁ・・もうイヤだ!」

「土曜日は接待ゴルフだ・・・ゴルフなんて大嫌いなのに・・・」

「取引先の納期に間に合わなくて怒鳴りつけられたよ!」・・・等々

そして、子供の前で、大きく「ハァ〜」とため息。

子供の目の前で、「働くのは大変な苦労だ。」「親たるものがいかに苦労しているのか?」見せ付けておく。

そしていつもの決めセリフ。
「オマエたちを養うために、こんなに苦労するハメになった。」

フリーターやニートの増加の問題において、政府が対策をいくら行おうと、家庭内でこのようなやり取りが飛び交っていれば、「将来は会社勤めをしたい!」と考える方が精神異常者でしょう?

勿論のこと、労働が色々と疲れるものであることは無理からぬこととは言え、子供がネガティヴな姿しか見ていなかったら、子供の将来は見えていますよね?

そして、そんな将来に対して自暴自棄になって、子供の側が問題を起こす。
そうなると、親の側は更なるグチ。
「あ〜あ、こんなにイヤな思いをしながら、毎日、家族のために働いているのに、こんなことになってしまって・・・ああ、オレって、何てかわいそうなんだ?!」
そして、更に「あ〜あ、生きていても何もいいことはない!」、「ああ!家族なんて持つんじゃなかった!」

その嘆きを語る側は、イヤな思いをしながら、会社で働いて、そして、家に帰ったら、家族のトラブルに向き合わなくてはならない・・・そんな状況に嘆きたくもなる・・・のは実際にそうでしょう。
しかし、嘆くことにより、事態がますます悪くなるのは、誰でもわかること。

それに、子供にしてみれば、「だったら、どうして子供なんか作ったんだ?」と思うのも当然でしょ?
当然のこととして、「自分も将来は、家庭を持ちたい!」なんて思うわけがありませんよ。
そんな環境で育ってしまいながら、子供を持った人は、「自分も子供を持って家庭を作りたい。」という肯定的な発想ではなく、「避妊するのが面倒くさい。」という、二重否定的な発想なんですね。
「家族というものを肯定して」家庭を作るのではなく、「家族について考えていない」から、結果的に家庭となってしまったわけ。そんな家庭がうまく行くわけがなく・・・結局は、グチが飛び交う家庭がまた出来上がるだけ。

それどころか、「家族のために、イヤな思いをして、働く。」という論理が子供時代に刷り込まれているので、そうなると、「うまく行かないのは、家族のせいだ!」と論理的に変換されてしまうわけ。
だからこそ、子供を犯人認定して、「報復」することになる。
そんな「報復行為」によって、「自分は子供のために、不快な思いをするハメになった。」と確認する儀式とするわけ。

ダメダメ家庭の人間は、当事者意識がなく、被害者意識だけがある。
自分の被害を語ることしかできないわけ。
働くことにおいても、そんな調子。
そして、その被害は、直接的に「語る」だけでなく、後姿でも子供の前で見せているわけ。

(終了)
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発行後記
長崎の中学生の家庭の父親も、きっとこのように日頃からグチを言っていたと思いませんか?まあ、あそこは自営業でしょうが、グチのネタは数限りなくありますからね?(ちなみに、中学生が突き落とした事件の方です。)
R.10/11/20