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カテゴリー 当事者意識の欠如
配信日 04年2月20日
タイトル 自分で考えない
ロシアの文学者のチェーホフに「かわいい女」という短編があります。
自分の周囲の人間(特に男性)の意見に付和雷同するだけで、自分自身の考えを全く持たない「気のいい、そして、かわいい女性」の話です。

勿論のこと、自己主張が強すぎる人間も疲れさせる存在と言えます。
しかし、自分の考えを全く持たない人も疲れさせる存在。
そして、言うまでも無く「頼りにならない存在」ですね?

付和雷同すると言うことは、その話や意見を本当に理解していなくてもできることですよね?つまり、人の話を考えない習慣がついてしまうわけ。
それに、別のもっともらしい見解が登場すれば、そちらに乗り移られてしまうということでしょ?

だからと言って、「その当時」はその意見を正しいと思っているわけですので、自分の子供に対しては、そのありがたいご高説を「教えてあげよう!」などと親切心を起すことになる。
しかし、ご高説を聞かされる方はたまったものではない。言っている本人だって内容を分かってはいないので、会話にならないわけです。

子供の方が「どうして?」と尋ねたら
『うーん・・・』となるだけ。
あるいは、『だって・・・あの○○さんがそう言っていたから・・・』となるだけで、当人自身としては何も説明できない。
これではねぇ・・・

あるいは、そんな付和雷同の人に対して子供が意見を言い、その意見にスグ賛成してくれても、「本当に大丈夫かな?」と怪訝に思ってしまうもの。やり取りの流れや、相手の表情を見れば、考えた上で賛成しているのではないことくらいは、子供だって分りますよ。
あるいは、以前は賛成してくれたはずの子供の意見を、その後になってあっさり否定することもしばしば。そんな経験を積み重ねてきているので、子供だって、相手が自分の見解に賛同しても、その賛同を信用したりはしないわけ。

スグに人の見解に賛同する人は、聴覚的には人の話を聴いていても、思考の上では聞いていない。だからこそ始末が悪い。
いわば、「空気を読んで」「人に合わせている」だけの状態。
自分自身で考えていないので、このような行為もできてしまうわけ。
というか、現実的には、そんなやり取りしかできないわけです。

一本筋が通った信念があるわけではなく、断片的に人に合わせているだけ。
逆に言うと、信念がない分だけ、融通が利き、愛想がいいということになり、それは別の言い方をすると、まさに「かわいい」と言ってしまう人もいる。

ダメダメ家庭はこのような自分自身でものを考えない人が多くいる家庭です。
自分で考えない人が頼りにする言葉があります。
その言葉は「ふつう」という言葉です。
じゃあ、そもそも「ふつう」って、どんな意味なの?
それは、「周囲の人と同じ。」という意味でしょ?

「自分では何も考えず、人と同じことをやっていればOK!」
まあ、そんなスタイルは、ラクなことこの上ない。自分で考えなくてもいいということは、自分で会話しなくてもいいということでしょ?子供の希望や意見を自分自身の耳で聞くよりも、「周囲の人がやっていること」を子供に当てはめればOKとなってしまう。

そればかりではなく、子供に対しては「ふつうにやれ!」と要求することになる。
「他の子供と同じように行動しなさい!」というわけです。
もう何もかもが人任せの状態。

しかし、ダメダメな親本人は「周囲で実証済のやり方」を踏襲しているつもりなので、まさに「OK!OK!すべてOK!」と自信満々。だから、ますます自分の子供の話など聞かず「ふつう」街道を邁進することになる。

挙句の果てに、周囲のやり方以外の方法を自分の子供が取ろうとしたら、「ケシカラン!」「そんなことは許さない!」と問答無用で却下。何か不都合な事態になると、「だから、あれほど『ふつうにしろ!』と言っていたじゃないか!!」と、すべて子供のせいにしてご立腹。

しかし、その「ふつう」というのは便利ですよね?
人に合わせているだけなので、何かあっても自分で責任を取らなくてもいい。
自分で考えたわけではないので、「だって・・・みんなこのやり方じゃないの?」と、開き直ることになる。

自分で考えない親は、子供の考えを否定する親でもあるわけなんですね。
だから子供にとっては、頼りにならないだけでなく、不快極まりない存在であるわけです。
それだけではなく、「人に合わせる」人は、合わせる対象を求めて、人にすり寄ったりするもの。しかし、そんな人は、人にすり寄っても、結局は、言葉の内容には関心を持たずに、言葉をオウム返しするだけ。
まあ、そうやって、ダメダメ家庭のダメダメ振りも進行していくわけです。

最初に書きましたチェーホフの「かわいい女」の最後は、息子が寝言で「もうっ!アッチ行けよ!」と言っていましたっけ・・・それだけ「かわいい人」というものは身近にいると本当に鬱陶しいものなんですね。

(終了)
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発信後記

このメールマガジンは「まぐまぐ」「Macky!」「メルメガ天国」の3誌より発行しています。
このうち前回より、「まぐまぐ」は発行カテゴリーを「暮らしと健康 」に
「メルマガ天国」は「健康と医学」に変更いたしました。
別に内容自体は変えるつもりもありませんが、カテゴリーでウォッチしている方もいらっしゃるでしょうから、これからもチョクチョクとカテゴリーを変更したりする予定です。
R.10/11/12