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カテゴリー 認識からの逃避
配信日 04年3月1日 (10年10月19日 記述を追加)
タイトル 弱音を吐かせない
「世界で一番、国民が幸せな国はどこ?」
そのように聞かれたら、どこの国だと答えますか?
アメリカ?スイス?フランス?我が日本?それともニューカレドニア?ブラジル?オーストラリア?答えは色々とあるでしょう。しかし、絶対に忘れてはならない国があります。

それは北朝鮮です。

何と言っても、北朝鮮では国民の100%が「私は天国にいるように幸せだ!」とおっしゃっているのですから・・・数値上は、世界で一番「いい国」でしょ?
食料は多少乏しいのかもしれませんが、「人はパンのみで生きるにあらず。」と、キリストさんもおっしゃっていますよね?
国民すべてが精神的に豊かだったら、そちらの方が重要ですよ。

政権の支持率50%程度の日本とは大違い!為政者は国民の要望をすべてかなえているすばらしい人たち。
北朝鮮の国民が為政者に要望を出したら、必ず実現されるでしょう?
世界中にこのような立派な国は、他にはありませんよね?

だからと言って、他の国の皆さんは北朝鮮に住もうとしない。
「北朝鮮は国民全体が幸福だ!」と常日頃から主張している、あの朝鮮総連の人たちも北朝鮮に住もうとしない。たまに旅行に出かけるだけ。
何故住もうとしないの?為政者に要望すると必ず実現されるすばらしい国なのに。

それは要望そのものが制約の中にあるからですね。そもそも実現されるような要望しか言わせないわけです。国民が自由に要望を出したら、為政者も対応できないでしょう。
しかし為政者の立場にしたら、国民すべてが「私たちは幸せだ!」と公言している人間に、今更何をすればいいのでしょうか?

国民すべてが自由に本音を言ってしまったら、為政者は困ってしまう。
だから本音を言わせないシステムを作る。これが、いわゆる「地上の楽園」ということなのですね?

ダメダメ家庭はその意味で北朝鮮によく似ています。
家庭内に問題がない家庭と言えるわけです。
皆が幸せ状態で・・・
あの作り笑いの世界。

だって、ダメダメ家庭では子供は親に対して、要望なんて出しにくい状態なんですからね。
普段から親はグチばかり。子供より先にグチられては親に対しては要望なんて出せないでしょ?
そのグチも、レヴェルが高い。それこそ「生きていても何もいいことはない!」なるグチも飛び交っている。
「生きていて何もいいことがない。」と公言する親にどんな相談を持ちかけるの?
子供が何を言っても、「だからさぁ〜、どうせ生きていても何もいいことなんてないんだよ!さっさとあきらめるんだな!」と言い渡されてオシマイでしょ?
あるいは、子供の側からの要望に対して、「ウルサイ!いったい誰のために、こんな苦労をしていると思っているんだ?」と逆上するだけ。
ダメダメ家庭の親は被害者意識が強く、「自分の側こそが一番かわいそうなんだ!」と確信している。だから、自分に被害を与えているとみなしている子供のことなどサポートする気はまったくない。
そんな人に要望を出しても、相談しても、子供の要望が実現されるどころか、事態が悪化するだけ。そして、子供も結局はそんなダメダメ家庭に適応してしまい、親に対して要望を出すこともない。

だから子供の困りごととか、弱音なんて家庭内から消えてしまうことになる。
困りごととか弱音がない家庭だったら、「形」の上ではすばらしい家庭ですよね?
しかし、困りごととか弱音がない人間なんてこの世にいるの?

ですから、そのような家庭の子供は、家庭内では遠慮して出せない不満や困りごとを外で発散することになる。
このような事例って、まさに少年犯罪の王道でしょ?

このような弱音を言えないシステムは宗教団体でもおなじみです。
よくヨーロッパやアメリカなどでカトリックの関係者が信者の少年をレイプする事件が発生しますね?まあ、プロテスタントは比較的このような事件は少ない。プロテスタントの牧師は結婚できますが、カトリックの神父は結婚できませんからね。どうしても少年が被害に合いやすいわけ。

まあ、イカレポンチの神父は今更どうしようもない。
そのような事件が度々報道されるということは、報道されない事件も多数あることは明白。しかし、本当の問題はそのような被害者の少年が、早期に悩みを相談できないことですよね?

どうして相談できないの?
相談しにくいマターであることも勿論あります。
それよりも子供が悩みを相談しても相手にしてくれないことが、子供にも予想されるからですね。
ヘタをすれば、「オマエは、何をバカなこと言っているんだ!」「あんな立派な人が、そんなことをするはずがない!」と逆に説教されてしまうでしょ?

それこそ北朝鮮で金将軍に苦情を言った民衆と同じ扱いになってしまうわけです。

あるいは少年をレイプする神父だって最初は苦悩していたはずです。どうしてそうなる前に周囲に相談できなかったのでしょうか?
というか、そのレイプ神父だって、子供の頃にそんな目に合っていたのでは?
子供の頃にしっかり対処していないがゆえに、心の傷が大きくなって、結局は連鎖してしまう。ダメダメというのは、ダメダメであるがゆえに、連鎖するもの。
せめて、そんな衝動を意識した時点で対処すれば、実際の事件にならないで済むわけですが、そんな神父にしてみても、上司に相談を持ちかけても、「オマエは神父だろ!しっかりしろ!」と説教されるだけなのは簡単に予想できてしまう。だから一人で溜め込んで、抱えきれなくなり、実際の行動となってしまう。

教科書的な回答は「学べ」ば対応できるけど、そんな「学んだ」既製品的な知識は、本音の疑問には何も答えられない。
答えられないからこそ、そんな本音を、言わせないようにするわけ。

しかし、その少年をレイプするような教会は、事件が発覚する前には、問題は何も見えないわけですから、周囲からは「立派な教会」と言われるでしょ?

弱音や困りごとが何も見えない状態なんて、結局は、一番のダメダメなんですね。
だからこそ、その鬱憤を外に向けたり、あるいは、自分に向けて自殺してしまう。

そんな事態があっても、ダメダメな親は、「どうしてこんなことに?ああ!オレはなんてかわいそうなんだ?!」と勝手に嘆いているだけ。親が勝手に嘆く姿から、逆にいうと、子供が親に対して何も言えなかった状況が見えてくるわけ。
そんな構図は長崎県での小学校6年生の殺傷事件でも典型的だったでしょ?

(終了)
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発信後記

先日、階層問題でお便りを頂戴いたしました。
「日本には社会階層の違いなど存在しない!」とのこと。
一見良識ある意見のように思える方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような認識では、もし子供が下層階級ゆえの悩みをもった場合には、どうなるでしょうか?
「日本には社会階層など存在しない!そんなことを考えるオマエはケシカラン!!」と一喝されておしまいですよね?

結局は、そのような人は本当に困っている人の相手をしたことがない人なんですね。それに問題を解決させようとする意欲も持っていない。ただ自分の「正論」を怒鳴るだけ。というか、問題を見たくないだけ。

言うまでもなく、ダメダメ家庭にはこのような説教オヤジが多くいます。
説教オヤジについてはまた別の機会にまとめてみます。
R.10/10/19