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カテゴリー ダメダメ家庭が子供に与えない情報,スキル
配信日 04年3月24日 (10年7月3日 記述を追加)
タイトル 職業についての情報
今の社会には様々な職業がありますね。
この文章を読まれている方は、どれくらいリストアップできるでしょうか?
その家庭がリストアップできる職業の数は、基本的には、その親の社会的地位,階層に比例いたしますよね?

極端な話になりますが、江戸時代の農民は「この世に存在する職業」として、自分自身が属している農民,役人,そしてお坊さん・・・これくらいしかリストアップできなかったのでは?

同じ江戸時代でも、そのお坊さんだったら、もっと様々な職業をリストアップできたはずです。様々な商業,医者,職人とか・・・当然のこととして、付き合う人々の範囲も広い。
子供に適した職業をサジェストする際に、その家庭が所属している階級によって、その選択肢に厳然たる差が発生するわけです。

単に社会階級の問題だけではありません。ダメダメ家庭では親自身が知っていても、家庭内で会話がないので、情報が子供に伝わらない。あるいは父親はそれなりに社会の職業についての知見があっても、母親はテレビからしか情報を得ていない。このようなこともありますよね?
家庭内で情報が共有化されていないので、ダメダメ家庭の子供は、自分の将来の職業について有効なサジェストが親から得られないわけです。

社会階級が高くなくても、親に友人が多い場合には、様々な職業の人が家にやってきたりする。その来訪者が自分の職業について話をしたりすれば、子供も色々な知見を得ることが出来ますよね?
しかし、親の友人が来訪することなんてダメダメ家庭ではほとんどありません。
だから、子供としては、様々な職業についての知見を得ることが非常に難しいわけです。

たとえ、子供が将来において、自分の希望の職業に就くことができなくても、様々なチャレンジすること自体は意味がありますし、それまでに色々と考えたりすることができることになる。
実際の職業に就くまでのチャレンジは大変に価値があるものです。

まあ、実際に働く前にチャレンジすること自体はいいとして、実際に仕事を始めてから迷いだすのは問題がありますよね?ダメダメ家庭ではよくあるケースです。
ダメダメ家庭出身者は、とりあえず職業に就いた後になって、社会や職業に関し知見が段々と広がっていく。そうした後になって「もっと自分に適した職業が別にあった。」「こんな仕事はボクには向いていない。」と気づいたりするわけです。最初に職業を選択した際には、職業の選択肢が狭かったので、このように「後になって迷いだす」パターンが必然的に起こってしまうわけ。
だって、それまでは、「知らなかった」わけだから、迷いたくても迷えない。
社会について、自分で知るようになって初めて迷うことができたわけ。
しかし、それって、まさに「後の祭り」。

「な〜んとなく、自分が知っている職業に就いただけなのか?」
「多くの選択肢の中から、本人が選び取ったのか?」
それによって意気込みは全然違ってくるでしょ?

父親がパチンコ屋さんの店員さんだった場合、「父親と同じように、何となく、パチンコ屋さんに店員になる。」ような場合は、そのパチンコ屋さんの店員として働くことに、喜びとか意義は感じにくくなりますよね?

これが、学校の教員でも公務員でも、大企業の社員でも何でもなれるような人がチャレンジ精神をもってパチンコ屋さんの業界に飛び込み、店員として働くような場合には、意気込みだって出てくるでしょ?
「ボクは敢えてパチンコ業界に飛び込んだ!」のか?
「オレは仕方がなくて、パチンコ屋さんの店員をやっている。」のか?

結果として全然違ってきますよね?

また、その職業が自分には向いていないと、最初の頃は自分では判断していたが、様々な経験を経て、「結果的にあっちを選んだ方がよかったなぁ・・・」と思う場合もあるでしょう。
また、そのような職業をそもそも知らなくて、長じて後になって、自分がよりフィットする職業の「存在」を知った場合では全く違っています。
「ああ!世の中にはこんな職業があったのか?!」「もっと前にわかっていたらなぁ!」
ダメダメ家庭出身者がよく感じる幻滅ですよね?

「自分の判断間違いだったのか?育った家庭の情報不足だったのか?」
前者の場合では自分自身で納得できますが、後者では本当に納得することはできないでしょう?

自分に適してもいない職業をやる続けることは、一度の人生においてはあまりに不毛。かと言って、今からやり直すのも大変。既に扶養の必要がある家族などがいたりすると自分だけの問題ではなくなってしまいます。

ダメダメ家庭ではこのように将来の仕事の選択肢が狭い。だってそもそも職業についての情報は、まさに「実際に社会で働きながら」習得することになるわけですからね。

ダメダメ家庭の親は人生の先輩として子供への有効なサジェストは何もできないわけです。むしろ選択肢を狭くするようにしたりする。
「オマエが就ける職業は『しがない』サラリーマンだけだ!」なんて言い渡す。
親自身が現役の「しがないサラリーマン」で、「オマエもこのようになるんだ!」と言い渡したりするわけです。これでは希望なんて持ちようがありませんよね?

サラリーマンの事例だけでなく、個人営業主のパターンもあります。
それこそ父親がラーメン屋さんを営業していて、「オマエもラーメン屋を継ぐんだ!」と要求するから、子供としては、「しょうがなく」ラーメン屋さんを継ぐパターンもあれば、父親が一生懸命に働いている姿を見て、自分もやってみたいと思うパターンもあるでしょう。
同じようにラーメン屋さんを継いでも、その心理としては全然違っているでしょ?
それこそ、その違いを理解していないと、長崎県での幼児突き落とし事件の心理も理解できなくなってしまう。

もし、親が「世の中には色々な職業があって、オマエの全く向いていないものはこれこれで、もしかすると可能性があるのはこれこれかな?」などと言ったりして、それぞれの職業について色々と会話したりすると、子供も自分の将来の希望を持つことになるでしょ?

それこそ、ラーメン屋さんだったら、お客さんから色々と情報を得ることもできますよ。
親がその気になったら、そんな情報なんて、かなりの程度まで入手できるものなんですね。

子供が多くの職業についての情報を、生まれながらに持っているわけがありません。
そのような情報は、家庭を始めとした周囲から得られるものでしょ?
多くの選択肢があれば、自分なりに努力する意欲もわいてくる。
しかし、どれも自分にフィットしていないようだったら、そもそも努力する意欲もわいてこないでしょ?

「21世紀の今だったら、テレビなどから情報も得られるだろうから、何も家庭や地域からの情報なんてあてにしなくてもいいのでは?」
そのように思われる方もいらっしゃるでしょうが、テレビでの情報を元にすると「ワタシは魔法使いになりたい!」とか「怪獣をやっつける正義の味方になりたい!」とかになってしまうでしょ?
たとえ、「自分は弁護士になりたい。」という目標を掲げたとしても、その目標に実感を持つためには、実際の弁護士と会ったことがないと難しいでしょ?
弁護士になるためには、当人なりの努力が必要ですが、弁護士と会って話をする機会は、子供では何ともならないでしょ?

自分で率先して努力するためには、ある種の「実感」が必要になるもの。
テレビからの情報を消費するだけでは、実感にはつながりませんよ。
実感があるからこそ、努力の方向性も見えてくるわけで、努力の方向性が見えなければ、努力しようにも、どの方向に努力すればいいのか、子供にもわからないでしょ?
方向性が見えなければ、努力の絶対量も少なくなりますよ。

よく言われるたとえ話がありますね?
旅人が石を切っている職人に「オマエは何をやっているんだ?」と尋ねた時の回答です。
ダメな職人は「今オレは石を切っているんだ!」と答える。
優秀な職人は「今オレは聖堂を作っているんだ!」と答えるというものです。
あるいは「神様に奉仕しているんだ!」だったかな?
これは真理でしょう。ダメ人間は現在しか見ることをしない。優秀な人間は全体像を見ている。

しかし、「オレは聖堂を作っているんだ!」と回答できるためには、「聖堂とはどのようなものか?」「今やっているのが、全体の作業のどの位置づけなのか?」等々、それなりの前提の知識が必要であるわけです。
前提の知識があれば、ますます知識が広がっていき、前提の知識がなければ全く知識が増えない・・・このような事例は職業の問題にも当てはまるわけです。
例としてあげた石切の作業については、前提となる聖堂についての知識がない場合には、「石を切る苦労」だけが認識されることになるわけですし、それ以降も知識が増えることはありませんよね?

家庭内で子供の将来の職業について考えるようなことを、ダメダメ家庭ではしませんよね?
たとえ子供が考えているとしても、親は何もアドヴァイスもできませんし、その気もないんですね。ヘタに将来のことを親が語ってしまうと、子供のサポートするハメになってしまう。子育てを被害を考えているダメダメな親はそんな面倒を背負いたくない。結局は、子供の将来について、まったく話題にでないまま。だから子供が持っている職業についての情報は非常に限られたものになる。だからこそ、それ以降も、職業についての知識の増加が鈍いわけ。

ダメダメ家庭では、子供の将来の展望について、悲観的なことしかできないんですね。
だから子供も将来への希望を持ちようがない。
だから子供も自分の将来について考えないようになってくる。
将来について考えないような子供なんて、どうしようもありませんよね?

こうやってダメダメの連鎖は続いていくんですね。

(終了)
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発信後記

当然のことながら職業についての知識が少ないと、女性にとっても結婚相手を選択する際に大変なデメリットですよね?
R.10/7/3