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カテゴリー 映像作品に描かれたダメダメ家庭
配信日 04年7月2日
タイトル クリスマスに雪は降るの?(96年作品)
監督 サンドリーヌ・ヴェイセ
このメールマガジン「ダメダメ家庭の目次録」では、それまで個別に取り上げたダメダメの事例をまとめた形の総集編を適宜配信しております。

その総集編のシリーズとして「作品の中で描かれたダメダメ家庭」(04年当時)という総集編のシリーズを今後配信して行きたいと思っています。

映画とか小説とかマンガでも・・・ダメダメ家庭を描いた作品は多くありますよね?このシリーズではそのような芸術的な作品中に描かれたダメダメ家庭の具体的事例を取り上げる形で、今までのまとめとしてみたいと思っています。
自分たちが体験しているダメダメ家庭とよく似ていたり、ちょっと違ったダメダメだったり・・・と、創作者の視点を参考にすることによって、今までとは違った視点で考えてみることもできるかと思います。

そもそも家庭というものは、自分の家庭しか体験できない。だからどうしても客観的な基準というものが存在しないわけです。
児童虐待が日常化している家庭の子供が、一般の家庭に遊びに行ったときのセリフとして、このような言葉があることが知られております。
「キミの親はどうして、キミを殴らないの?」
ダメダメな家庭の子供は、親が子供を殴ることが基準となってしまっているわけです。
だって、それ以外の家庭なんて知らないわけですからね。
しかし、そんな常識だからこそ、「ウチは何も問題がない『ふつう』の家庭だ!」と言えてしまうことになる。
だからこそ、現実のダメダメ家庭の問題への、現実的な対処ができなくなってしまう。
まずは、議論としている家庭について、議論に参加している人としては、ある程度は共通認識を持つ必要があるわけ。

かと言って、実際に多くの家庭を体験することはできませんし・・・
実際に多くの家庭を体験する人は、逆に言うと、標準的な人とは言えませんよ。
ということで、多くの人が接することができる、「描かれた家庭」を通して、ダメダメ家庭のダメダメな事項を列挙いたします。

今回の文章で取り上げるのは96年のフランス映画「クリスマスに雪はふるの?」です。
監督は女性のサンドリーヌ・ヴェイセさんです。

映画はフランスの農民の話。時代は現代です。
女性が主人公で、子供が7人。亭主がいることはいても、正式に結婚はしていない。別の家に正式な妻がいて、亭主はそこを行き来している状態です。

では、この映画の中の具体的なダメダメな事例をあげて行きましょう。

1. 子たくさん・・・子供が多いことは、世評的には「いいこと」とされていますが、じゃあ実際に「子供がたくさんでいいわねぇ・・・」と言っている人が、沢山子供を作るわけではありませんよね?この作品では子沢山ということのダメダメなところがはっきり出ています。
家庭の中において、多くの子供が「その他大勢」の扱いとなっています。それぞれの子供の個別性がなくなってしまっているわけ。逆に言うと、だからこそ、次々と子供を作ってしまう。一人ひとりの子供の幸福を考えていないわけ。

2. 趣味を持たない・・・子供たちの母親や父親は趣味が無い。勿論のこと、そのような時間的あるいは経済的な余裕がないということもあるでしょう。しかし、父親の方はそこそこお金を持っているようです。しかし、趣味は何も持っていない。楽しみは女性との情事だけ。だから子沢山になるし、挙句の果てに自分の実の娘をレイプする始末。その気になれば、お金を使わない趣味だって世の中にはいっぱいあるでしょ?

3. トイレに無頓着・・・いくら自然の中の農民といっても現代のフランスの家庭にトイレがない状態なのはダメダメでしょ?子供たちが草むらで用を足す状態であり、それを放置している状態になっている。

4. ケチ・・・この父親は夜になるとさっさと電気を消してしまう。「子供は本なんか読んでいないでさっさと寝ろ!」というわけです。お金の支出を惜しむのはダメダメ家庭の典型です。本来はそんなにお金にシビアーだったら、まずもって子供を作らないようにすることが必要でしょ?しかし、そのような先を見て行動はしない。何事も「てきとう」に始めて、いざ目の前にマイナスが見えたら、そのマイナスに過剰反応するわけ。

5. 不幸に安住している・・・この母親は自分の子供をこき使う亭主(結婚はしていませんが・・・)に対して「子供を虐待しないでよ!」と抗議しますが、どうも迫力が無い。だいたい、何故にこんなに子沢山なの?最初の子供が生まれた際の亭主の子供への接し方をみれば、夫が子供を虐待することは簡単に予想できますよ。それに、映画で描かれた様子だとまだまだ子供が出来そう・・・どうもその母親は「不幸に慣れてしまった」状態。まあ、本人はいいとして子供は堪らないですよね?しかし、親が「不幸に慣れてしまい」、そこに安住する精神状態は典型的にダメダメ家庭のものです。

6. 子供を働かせる・・・自分の子供を自分の農場で働かせるのはフランスだって法律違反とは言えないでしょう。いわゆる「お手伝い」というわけですね。しかし朝から晩まで働かせるのは「お手伝い」と言えるのでしょうか?しかし、ダメダメ家庭は「お手伝い」という名目で子供をこき使うことは日常茶飯事なんですね。

7. イヴェントが少ない・・・この家庭は畑で働くことと、子供が学校に行くことくらいしかイヴェントがない状態。あと、映画の最後にクリスマスを祝うシーンがあります。しかし、イヴェントとなると、それくらいなんですね。子供としては毎日が労働の日々。まあ、たとえ元気に育ったとしても将来どうなるのかな?

8. 写真が少ない・・・ダメダメ家庭は写真が少ない。だって記憶に留めたいイヴェントなんてそもそもありませんし、親として自分の子供の成長記録なんて興味もないので、写真が少なくなるわけ。

9. 結婚という形に拘らない・・・母子家庭という形の方が、行政からサポートも受けられるから、結婚しないで単なる同居ということにしておこう・・・なんてカップルも日本でも結構ありますね。結婚という形式がすべてではないのは言うまでもありませんが、そこまで「お金」に拘るのもヘンじゃないの?しかし、ダメダメな人は、少しのお金のためなら、結婚という法律上の形など問題にはしないわけです。

10. 子供らしさを許さない・・・父親は子供たちが箱庭など子供っぽい遊びをしていると、そのような子供っぽい遊び場を壊してしまします。「子供が子供でいる」ことをよしとしないのは典型的なダメダメ家庭ですね。

フランス映画にはこのようなダメダメ家庭を描いた作品が多くあります。
フランスという国は結構封建的な国なんですね。まあ、フランス人はその点を自覚しているだけマシなのかも?

この作品で最後には、その母親は子供を道連れに自殺しようする。このような状態では自殺を考える気持ちはわからないでもありませんが、その前にやれることもあったのでは?
自殺する覚悟を決める前に、まずは離婚とか、あるいは、それ以前として、避妊手術とか、中絶とか・・・色々とやってみてもいいんじゃないの?
そんな改善のアクションをしないで、「ああ!アタシってなんてかわいそうなの?!」と自分を憐れんでいるだけなのも、まさにダメダメ家庭のお約束。

ちなみに、この「クリスマスに雪はふるの?」という作品を私はヴィデオでみました。
そのヴィデオのパッケージには、とある日本の芸能人のコメントが書いてありますが、意味不明なコメント。
多分、その人は、実際にはこの映画を見ていないんでしょうね。
「てきとうに通りのいい言葉を並べておけばいいや!」というズボラな感覚がプンプン漂ってきている文章。
まあ、そのような程度の低い芸能人のコメントをキャッチコピーに使う映画会社もダメダメですが・・・

(終了)
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発信後記

購読者の皆さんで、この映画をご覧になられた方は多分少ないと思います。
ちょっと大きなレンタルヴィデオ屋さんにはありますので、週末にでもレンタルしてみてはどうでしょうか?
幸い現在ツタヤの旧作半額セールですし・・・

本文中にも書きましたが、家庭問題は自分の家庭しか体験できないことが、問題を議論するに当たって大きな障害になります。せめて家庭問題の映画をみることで、自分の家庭を別の視点から見ることもできますしね。
R.10/11/14