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カテゴリー もてなしの心
配信日 05年4月11日
タイトル 丁寧な言葉使い
かなり以前配信した文章で、ダメダメ家庭の子供は家庭内でリラックスすることができないので、家庭内でくだけた言葉使いをせずに、「敬語」の使い方が上手になってしまう例があると書きました。
ダメダメ家庭の子供にしてみれば、家庭内は職場と言うか戦場のようなものなので、「非の打ち所のない」「よそ行き」の言葉使いをする必要があるわけです。
それだけ、家庭内で警戒しているわけ。
相手に弱みを見せたくないと切羽詰っているわけです。

家庭内で、あるいは友達同士の会話において過度の敬語を使ったら、その人はダメダメ家庭と言えるでしょうが、やっぱり初対面の他人との会話においては、ちゃんとした敬語を使うことは必要ですよね?
荒っぽい言葉しか使えないと問題でしょ?

かなり古い映画ですが、「美女と野獣」という映画があります。
「美女と野獣」って、最近のディズニーのアニメじゃないの?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、1946年のフランス映画の方です。監督はあのジャン・コクトー。ちなみに、野獣の役はコクトーの彼氏の美形俳優のジャン・マレー。まあ、このメールマガジンはボーイズラヴものではありませんので、ご興味がある方はご自分でお調べくださいね。やっぱり美形のアーティストはアッチに行ってしまうのかぁ・・・と、しみじみ思う人もあると思います・・・

さてさて、このフランス映画の「美女と野獣」で、若い女性が野獣さんの城に行きます。そして野獣さんから話しかけられるわけ。
その野獣さんの言葉がちゃんとした敬語なんですね。
「そなたは、ここで何をやっているのだ?」そんな感じ。
前にも書きましたが、ヨーロッパの言葉には敬語とタメ口の使い分けがあります。美女を城に迎え入れた野獣さんは、ちゃんとした言葉使いで美女さんと対面したわけ。

だから美女さんも、野獣の姿にはびっくりしたけど、とりあえずスグには逃げ出さない。
ちゃんとした敬語などの正しい言葉使いは、それだけその人自身が尊厳を持ち、そして相手に対して配慮していることを証明しているわけです。
つまり、相手方にとっては、「自分の話を聞いてくれる。」ことが想定できるわけ。
いきなり、暴力的に襲ってくる可能性は低いわけでしょ?
野獣さんを好きになるかどうかは別として、とりあえず自分の生命の安全は確保されたわけですからね。

ちゃんとした言葉使いということは、それだけ「相手の話を聞く」姿勢であり、「自分の意向を相手に分かるように伝える」姿勢ですよね?
そしてそのような会話の積み重ねの結果でしょ?

ダメダメ家庭では、家族の間の会話などほとんどない状態。だから、子供としてもそのような会話の蓄積ができない状態。どうしても正しい言葉使いが身につかないわけです。あるいは、家庭内で「ボロを出さない」ように、「非の打ち所のない」そして「中身のない」話で時間を潰すか・・・
いずれにせよ、中身の伴った会話の積み重ねはできないわけ。

これが、丁寧な言葉使いで、中身のある話しかけなら、若い女性だって安心ですよね?

ちなみに、その「美女と野獣」という映画では、ヴィデオやDVDでは野獣さんは美女さんに「お前」と呼びかけている字幕となっています。しかし、フランス語的には敬語を使っていますから、「そなた」と訳すのが本来。美女さんだって「お前」ではなく「そなた」と呼びかけられたから安心できたわけ。
字幕製作者も、そんな基本的な人間の心がわかっていないのかな?

また、以前に大変に面白く思ったことがあります。
テレビをつけたら日本でおなじみの格闘家のボブ・サップさんが出ていて、ボクシングのマイク・タイソンさんとケンカ腰で何か言い合いをしていました。
その発音が実に面白いわけ。

マイク・タイソンさんの言葉は発音自体も、品のないもので・・・育った環境がスグにわかる発音です。そもそも聞き取りにくい発音ですしね。
それに対し、ボブ・サップさんの英語は、実にちゃんとした英語で、聞きやすいわけ。まるでNHKのアナウンサーのような感じ。
ボブ・サップさんは大学を飛び級で出ているくらい頭のいい人とのことですが、単に頭がいいだけでなく、子供時代からちゃんとした会話をして来ていることがスグにわかるわけです。

だからボブ・サップさんはアメリカより日本で人気があるんでしょうね。
NHKのアナウンサーのような言葉使いで「そこのあなた!今度、私とリングで対決しませんか?」と言っても迫力ありませんもの。いくら顔ですごんで見てもね。

それに対し、「オイ!そこのオマエ!ワシと勝負じゃあ!」と言った方が迫力あるでしょ?ボブ・サップさんの英語は、格闘家としては失格ですよ。
しかし、日本人にしてみれば、そんな違和感はありませんからね。

しかし、格闘家としては問題があっても、友人としては、丁寧な言葉使いの人の方がいいに決まっていますよ。
まあ、ボブ・サップさんは「お仕事」で野獣をやっていて、タイソンさんは「モノホン」の野獣なんでしょう。
言葉使いでそんなこともわかってしまうわけです。

言葉使いというものは、育った環境自体を雄弁に語っているもの。子供に正しい言葉使いを習得させられないのは、その家庭がダメダメ家庭ということなんですね。ちょっとくだけたフランクな言葉使いならいいわけでが、らんぼうな言葉使いだと、マズイでしょ?特にやり取りの最初の頃にはね。しかし、ダメダメ家庭の人間は、「隙を見せてはダメ。」とよそ行きの言葉で押し通したり、いきなり逆上して、らんぼうな言葉使いとなったりするもの。
適切な丁寧さのやり取りができないわけです。

ちなみに、映画に関係してもう一つ。
たしかアメリカ映画でブルース・ウィルス主演のアクション映画の「ダイ・ハード」という映画シリーズがあります。私はテレビでチラっと見ただけですが・・・

どうやら、3作のシリーズもので、1作目の悪役はアラン・リックマン。3作目の悪役がジェレミー・アイアンズです。ちなみに2作目はフランコ・ネロ。1作目のリックマンも、3作目のアイアンズもイギリス人俳優で、職業柄当然のこととして、イギリス上流階級の発音を使いこなすことができる人です。

だから「ダイ・ハード」の1作目と3作目は、イギリス上流階級のもったいぶって、慇懃無礼な発音をする頭脳明晰な悪役に、荒々しい発音の筋肉モリモリの人間が立ち向かう・・・という構図に・・・たぶん・・・なっているのでは?
そんな慇懃無礼な悪人を、上流階級とは言えない人間がやっつけるシーンに、アメリカ人の観客は「やっほ〜!」と喝采を叫ぶのでは?まあ、日本の映画でも、真の悪人の発音と、チンピラの発音は違いますよね?真の悪人は意外と上品な発音をするものでしょ?

まあ、上品すぎる発音は、逆に嫌みに写ることはありますよね?
何事もTPOというわけです。
まずは、相手に配慮した言葉使いである必要があるわけ。
相手に弱みを見せないようにということで、過度に丁寧な言葉使いも、あるいは、らんぼうな言葉使いも、相手の人格ではなく、自分の感情や損得に目が言っているでしょ?
そんな人と無理にやり取りを続けても、もめるだけなんですね。

(終了)
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発信後記

宮城県の県立高校で、天然の赤毛の女の子に対し、教員が、カラースプレーをかけて、挙げ句の果てに退学処分にしてしまったとか・・・
女の子がいくら、「これは天然だから・・・」と言っても聞く耳もたなかったそう。

まあ、東京だと、天然の段階で、それこそ色々な顔や髪の毛がいますから、高校の対応は、ちょっと考えられないことですよね?宮城県ではよっぽどその手の髪の毛が珍しかったのかな?
しかし、スプレーをぶっかけるとは過激な!

しかし、以前にも書きましたが、宮城県の知事自体が率先して「たかり」にいそしんでいるわけですから、県立高校の教員が暴力団員並になるのも致し方がないのかも?

そんなニュースに接したので、東北に本社を置く会社って、どんな会社があるのかなぁ・・・と考えていますが、中々見あたらない。東京より人口が少ないから、しょうがないとも言えますが、本社が四国にある会社はあったりします。
通販のセシールとか、青色ダイオードの日亜化学とか、一太郎のジャストシステムとか・・・
最近どれも裁判に関わっているのは意味があるのかな?

まあ、四国の会社は「脇が甘い」と言えるでしょうね。
しかし、四国には会社を興そうとする人がいて、本社があるだけマシ。東北に本社を置く会社は、勿論存在するでしょうが、ちょっと思い当たらない。

「たかり」で利益を上げることができて本人は満足かもしれませんが、そんな場所で会社を興したいとは思わないでしょ?優秀な人は出て行ってしまいますよ。
「たかり」によって一時的に豊かになっても、そんなものは「心の豊かさ」には通じないわけ。
子供の夢をぶちこわすような環境って、やっぱりダメダメですよね?
R.10/11/18