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カテゴリー 様々な二重否定表現
配信日 05年7月15日
タイトル 親に迷惑を掛けたくない!
備考 「迷惑を掛ける」は、意味的に否定形ですので、それを否定したこの文言は、二重否定表現となります。
ダメダメ家庭では、立派なセリフが意外と好きなものです。
そもそも権威主義的傾向を持っており、そして、自分自身で考えることをしたくないため、周囲から「立派」とされ、とおりがいい言葉を愛用したりするんですね。反論を受けないようなご高説をありがたがるわけ。

そのような、とおりがよく反論されにくい言葉の代表として「人に迷惑を掛けるな!」という言葉があります。
この言葉については、以前に配信しております。
「人に迷惑を掛けるな!」と一般論的に言われても、じゃあ、具体的にはどんなことが迷惑なの?
ダメダメ家庭ではその具体が例示できないわけ。

だから、どこかのカルト宗教のように「人に迷惑をかけるな!」「人に迷惑をかけるな!」「人に迷惑をかけるな!」と繰り返すだけ。
こんな教えを受けてきた子供がどうなっちゃうの?

親が自分の子供に対し「人に迷惑を掛けるな!」と言い続けているので、子供の側が、「まずもって自分の親に迷惑を掛けないようにしよう!」と思うようになるのは当然でしょ?
それだけではありません。ダメダメ家庭の親は被害者意識が強い。子育てによる手間を迷惑だと思っているわけ。子供の養育に手間を掛けなければならない親としての自分の「被害」を、子供に対して日頃から強調するわけです。
それこそ、「オマエのために、また、面倒なことになってしまった・・・」
「いったい、いつになったら、親に面倒をかけないようになるんだか・・・」
「いったい、誰のためにこんなに苦労していると思っているんだ?」
と、そんなことばかりを子供に対して言っている。
だからこそ、子供も親に気を使うようになってしまう。

しかし、子供の頃から、そんなに気を使っているからこそ、結果的にトラブルになってしまうんでしょ?

実は、以前にドメスティック・ヴァイオレンス「学」の権威者さんの講習を受けたことがあります。
その折に「ドメスティック・ヴァイオレンスの被害者の女性が実家に助けを求めないのは、親に迷惑を掛けたくないためだ!」などと説明していました。
まあ、それが学問的な解釈なんでしょうね。

しかし、そんなに「親に迷惑を掛けないようにしよう!」と気持ちがテンパっているから、その心情を理解してくれるような人と一緒にならざるを得ず、結果的にそんな暴力男と結婚するわけでしょ?
親への迷惑って、本来は許されるものでしょ?

たとえば子供が親にこんな謝罪をしたとしたら?
「お母さん!私が小さいころオシメの取替えをさせてしまって申し訳ありませんでした!大変な迷惑だったでしょう!」
「ワタシが赤ちゃんの頃に、よく泣いてしまって、ご迷惑をおかけいたしました。申し訳ありませんでした。」
このような謝罪を自分の親にする人間は、どんな人間なの?
あるいは、子供が親に対してそんなことを言うようになった家庭はどんな家庭なの?

「かつて自分が親に押し付けた迷惑を謝罪するような人間になったのだから、立派なことだ!そのように子供を育て上げた家庭は、なんと立派な家庭であることよ!」
そのように考えることもできますよね?
それがまさに学問的解釈というもの。
しかし、そんな感じで、かつて自分が親に対して行った迷惑を謝罪している子供が、大人になってどんな人と結婚するの?どんな家庭を作るの?そしてどのように子供を育てるの?

「親に迷惑をかけないようにしたい!」と言う言葉が、ドメスティック・ヴァイオレンスの場で出てくるようになるのは、むしろ当然なんですね。
「親に迷惑をかけない」ため必死になっていた日々の結果が、ドメスティック・ヴァイオレンスというもの。
自分に暴力をふるうオトコと一緒にいることでさえ、実家で自分の親と一緒にいることよりも、はるかにマシなんですね。

迷惑と言いだしたら、何だって迷惑と言えるでしょ?
「人の分まで空気を吸ってしまって申し訳ない。」と言ってもいいわけでしょ?
また、「子供の頃に病気の看病をさせてしまって申し訳ない。このお詫びは死んでいたします!」。あるいは、「お父さん、お母さん!私のためにお金を使っていただいて大変に申し訳ない!その分は利子を乗せて返済いたします!!」
そのような物言いがマトモなの?

逆に言うと、親に迷惑を掛けないのはいいとして、じゃあ、どんな人間になればいいの?
子供だって途方に暮れるでしょ?
そうなるとダメダメ家庭の親の回答は決まっていますよね?
「普通の人間になれ!」

じゃあ、その「普通」って、具体的にいうと、どんな状態なの?
結局は、周囲を伺ってオドオドするだけになってしまう。
そんな緊張の日々だからこそ、実際にトラブルが起こってしまい、そのトラブルによって、親の側はますます逆上することになる。

迷惑を掛けないことは、勿論すばらしいこと。
しかし、人間は生まれてから死ぬまで、人に迷惑を掛けどおしでしょ?そして一番迷惑を掛けてもいいのが、自分の親に対してでしょ?
「親に迷惑を掛けないようにしよう!」なんて言っている段階で、ダメダメ家庭の最終局面と言えるわけ。

別のところでも書いていますが、ダメダメ家庭においては、子供にとって親は保護者ではなく、支配者としての位置づけになっている。
保護者に対しては、多少の迷惑も許されるでしょうが、自分を支配する者に対しては、迷惑をかけることは許されないでしょ?
つまり、「親に迷惑をかけたくない。」と言う言葉は、自分の親を自分の支配者だと認めていることになるわけです。
そんな人間が結婚相手を選定するにあたって、「支配者としてのキャラクター」を持つ人間になってしまうのは、ある意味において当然のことでしょ?
まさに、当然のごとくに、ドメスティック・ヴァイオレンスのような事態になってしまいますよ。

本人がドメスティック・ヴァイオレンスでお亡くなりになるのは、まだしょうがない。しかし、いくら結婚相手に問題があっても、死んでしまうのはいくらなんでもレアケースでしょう。一般的には、子供を作って、子育てをするもの。

まさに、「親に恥をかかせるな!」「普通になれ!」との親からの命令に従って、「普通」に結婚し、「普通」に子供を作るわけ。
しかし、そんな「親に迷惑を掛けないため」に、子供を作ったりしても、その結果は見えていますよね?
まあ、そんな家庭は、とてもじゃないけど「普通」とは言えないでしょ?

「親に迷惑を掛けないようにしよう!」なんて言っている人間を、「すばらしい人だ!」なんて思って気軽に近づいたりすると、面倒なことになる可能性が高いわけです。
この手の人は、自分の親に面倒を掛けないことを最優先して、周囲には多大な迷惑を掛けたりしているものなんですね。勿論のこと、迷惑を一番感じているのは、その子供であることは言うまでもありませんが。

(終了)
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発信後記

当然のことですが、自分の親に迷惑を「掛ける」ことがいいことだ!と申し上げているわけではありませんヨ。
他の誰に対してもよりも、自分の親に対して気を使っている状態がダメダメだと申し上げているだけです。

まあ、ダメダメな親はそんな状態を、大喜びしたりするものなんですが。
しかし、後々この反動が来るもの当然ですよね?
R.10/11/21