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カテゴリー ダメダメ家庭は立派な言葉が好き
配信日 05年12月9日
タイトル 皆で幸せになろう!
「アナタのその腕で〜 私を抱きしめて〜♪」
なんて、越路吹雪さんの「愛の賛歌」は歌われるそうです。
私はその越路さんの歌を聞いたことがなかったので、その歌詞は知りませんでした。しかし、その冒頭部分は人から教えてもらいました。

教えてもらって私が思ったのは、「そりゃヒドイなぁ・・・」
まあ、その歌詞の次がどう続いてくるのかによって変わってきますが、「かなり違うんじゃないの?」と言うのが偽らざる感想です。

言うまでもなく「愛の賛歌」と言う歌は、フランスのシャンソン歌手のエディット・ピアフの歌です。作詞も彼女自身です。
恋人のマルセル・セルダンが飛行機事故で死んでしまったことを契機に作られました。

エディット・ピアフが作った歌詞の本来の意味は、「私を抱きしめて〜♪」と言う受身のスタイルではなく、もっと強烈で能動的なもの。
「アンタが望むなら、国を捨ててもいい。友達を見捨ててもいい。泥棒だってします!」なんて歌詞。お世辞にも上品とは言えない。
それに、「あなた」ではなく、「アンタ」なんですね。

ヨーロッパの言葉には敬語とタメ口の使い分けがあります。
敬語を使う相手と、タメ口を使う相手は、全然違う・・・これは日本でも同じでしょ?
特に男女の間で、タメ口を使うのは、慎重にならなければダメ。

エディット・ピアフは、この「愛の賛歌」において、タメ口で「アンタ」と言っているわけ。決して「あなた」ではないんですね。
「アンタ」というと、顔の見える特定の人となります。「あなた」という言葉だったら、単に言葉使いが丁寧というだけではなく、顔が思い浮かばない抽象的な存在を想定しているケースだってありますよね?
ピアフはそんな抽象的なものには関心を持たずに、身近な対象への愛を歌っているわけ。
 
この歌は、1949年の作品です。まだ第2次大戦の残り火があった頃。戦争って、まさに顔の見えないもののために、顔の見える身近な人間が犠牲になる時間ですよね?
国家とか大義とか正義とか・・・そんなものの顔なんて思い浮べようがないでしょ?

ピアフは、そんな大層なものは放っておいて、自分の身近なものへの愛を歌ったわけ。だから「あなた」ではなく「アンタ」となる。
ピアフの「愛の賛歌」は、強烈で、ある意味において、ソヴァージュ(野性的)なものなんですね。最近(05年)のテレビで、アフリカの動物が抱き合っているCMがあって、その背後にこの「愛の賛歌」が使われたりしていますが、あのCMはいいところを突いているわけ。

ただし、「愛の賛歌」は、決して「平和」な歌ではありません。そもそもピアフが歌い上げた愛の対象であるマルセル・セルダンって、妻子ある男性。いわばピアフはそのセルダンの愛人といえる立場です。
愛人が「アンタのためなら死んだっていいわ!」と堂々と歌い上げられたら、「本妻」はどう思うの?
『オイオイ!コラ!オマエは何を勘違いしとるんじゃ!シバクぞ!ボケ!』
まあ、こんなところでしょ?

まあ、倫理的に色々と問題はあるでしょう。しかし、ピアフが歌い上げた愛は真実でしょ?だから聴衆の心を打つわけですよね?ピアフが顔の見える具体的な「アンタ」ではなく、抽象的な「あなた」への愛を歌ったら、聴衆の心を打つことなんてなかったでしょう。

実は、このような野性的で、物議をかもすピアフの愛とは対極にあったりするのが、「みんなで幸せになろう!」という良識あふれる言葉。
前回の衆議院選挙で民主党のテレビコマーシャルで流れていました。
私が思ったのは「こりゃヒドイ!」。

民主党の前代表の岡田さんの物言いが、ダメダメ家庭出身者の典型的なものである・・・と以前にちょっと触れたことがあります。韓国の政治家に「日本の民主党は女性の支持が低い。どうしてなんだろう?」とグチったという話を取り上げました。
どうしても何も、そんなことは自分の奥さんに聞けばいいじゃないの?
なぜに、わざわざ韓国のオッサンに聞くの?自分の奥さんに聞けば、教えてくれますよ。どうして顔が見える身近な人間の声を聞こうとしないの?まあ、そんなシーンが浮かぶから女性の支持が低いわけでしょ?
しかし、ダメダメ家庭というものは、自分の身近な人間が困っていても、知らん振りなんですね。

そんなダメダメ家庭の人間が大好きな言葉が、この「みんなで幸せになろう!」という言葉です。
まあ、確かに「皆が幸せに」なれば結構なことでしょう。誰もそのことに反論する人はいないでしょ?
だからと言って・・・ちょっと胡散臭い。そう思ったりしますよね?
その胡散臭さの正体を、はっきりとは説明できないけど、なんかしっくりこない。そんな感じがしませんか?

しかし、この「みんなで幸せになろう!」「自分だけが幸せでいいわけがないじゃないか?!」という言葉は、説教オヤジや正論オバンがよく言ったりしますよね?
同じようなことは以前にこのメールマガジンでは「絶対的な解決を志向する」ということで書きました。
ダメダメ家庭の人間は、問題をひとつずつ解決していくことより、一切の問題がなくなるような絶対的な解決だけを考えるものなんですね。

「みんなで幸せになる。」なんて見事なまでに絶対的な解決。実現できればすばらしいこと。
ただ、なんとなく胡散臭い。そう思わざるを得ない。
まあ、私のような人間だったら、「なんとなく胡散臭い」と思ったら、鋭く突っ込むわけ。
「その『みんな』って誰?」
「その『みんな』は、一体、何に困っているの?」
「そう言うあなたは、その『みんなが幸せになる』ために、今は何をしているの?」
あるいは、
「この私は、アナタがいう『みんな』に含まれているの?」
「だったら、この私の幸せのために、アナタも協力してよね!」
と、続いていく。

立派なご高説はいいとして、「助けようとしている人が、どんなところに困っているのか?」それがわからないと、その困っている人を助けようがないでしょ?

「その『みんな』って誰?」って、聞かれたら、「みんなで幸せになろう!」と御託を並べている人は、どう答えるのかな?
まあ、可能性が高いのは、コレ。
「みんなって・・・えーとぉ・・・みんなのこと・・・」
コレ以外に答えられないでしょ?まあ、答えになっているのかは別としてね。

しかし、「みんなって・・・みんなのこと・・・」という物言いは、まさにダメダメ家庭でお約束の言葉と言える「普通って・・・普通のこと・・・」と全く同じでしょ?
ダメダメ家庭の人間は、「普通!普通!」と連呼するものです。しかし、じゃあ、その「普通って、何?」と聞かれても答えられない。「普通って・・・普通のこと・・・」と言うだけ。
そう答えられてもねぇ・・・何もわかんないヨ。

同じように「みんなで幸せになろう!」なんて言われても、その肝心の「みんな」って、わかりませんよね?だって顔が見えないんだもの。
そんな顔の見えない「みんな」なり「正義」なり「国家」のことをヘタに配慮するから、それこそ戦争になるわけでしょ?顔の見える具体的な人間だったら、多くの人が共通認識を持つことができる。だって、その人が、どんな人なのか?何に困っているのか?想定できるでしょ?しかし、顔の見えない「みんな」とか「正義」とか「国家」だと、共通認識って持てませんよね?だから、それぞれの人間が想定する「みんな」の「幸せ」って、結局は人それぞれ。だから価値観や意見の違いが際立ってしまう。その価値観の違いが大きくなって戦争になってしまう。

「みんなで幸せになろう!」という主張が通ってしまうから、戦争になったりする。逆接的な言い方ですが、実際そうでしょ?

まあ、私のように次々と突っ込むことができる人間がそんなに多いわけがない。だから「みんなで幸せになろう!」という美辞麗句を語る人間に対して、正面切って反論は言えないもの。
しかし、現実においては、そんな「みんなで幸せになろう!」と言っている人の横で、その人の子供が不幸だったりするわけ。
そんなものでしょ?
多くの人は、そんな光景が何となく浮かぶから、そのような美辞麗句をちょっと胡散臭く感じるわけです。

それこそキリストだって言っているじゃないですか?
「汝の隣人を愛せよ!」って。
顔の見える「アンタ」を愛することって、そうは簡単じゃないわけ。本来なら「あなた」ではなく「アンタ」に配慮することなんて、不可能なことではありませんよね?しかし、重要なことでしょ?

妻子ある男性への愛を歌い上げたピアフは、倫理的には問題はあるでしょうが、意外にもキリストが言っていることに近かったりするわけ。
逆に言うと、「みんなで幸せになろう!」と言いつつ、身近な人間の困りごとを知らん振りする人間って、まさにダメダメ家庭を作っている人なんですね。

(終了)
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発信後記

私個人は別に民主党に特別な感情を持っているわけではありませんヨ。
ただ前代表の岡田さんのダメダメ家庭的な物言いは、その他にもあったりして、そのうちに触れようと思っています。

まあ、民主党のメンツは、対抗心や被害者意識だけがあって、自分自身の希望が自分でもわかっていない管さんとか、子分はいても仲間がいない小沢さんとか、兄弟仲が悪い鳩山さんなど、ダメダメ家庭の典型的な様相を示しているのは確かでしょうネ。

そもそも政治によって、問題を解決しようとする発想は、まさにダメダメ家庭のお約束。
民主党も、世代交代しないとダメでしょうね。ただ、会話の能力のなさがダメダメ家庭の特徴なんですから、そんな人たちを説得するのは大変に難しいわけ。現代表である前原さんはどうするのかな?まずもって自分たちの出身家庭がダメダメ家庭であることを自覚させないとダメでしょうが、そのことが大変に難しいことは、このメールマガジンで何回も書いているとおり。
民主党が本当の意味で、再生できたのなら、その方法は一般のダメダメ家庭の再生においても参考になるはずです。私としてはそれなりに期待はしています。
R.10/11/27