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カテゴリー 会話のスタイル(聞き手側)
配信日 06年3月15日
タイトル 揚げ足取り
ダメダメ家庭は会話不全の家庭です。
相手の話を真摯に聞き、自分の考えを相手にわかりやすいように伝える発想がないわけ。
おまけに、ダメダメ家庭は当事者意識がない。
「自分はどうしたいのか?」そんなことが自分でもわかっていないわけ。

そんな人は、人とやり取りをしている際には、どんな話になってしまうの?
そもそも「自分はどうしたいのか?」わかっていないのだから、いったい何を相手に伝えるの?
会話というものは、表現の上手ヘタはあるでしょうが、「自分の伝えたいこと」を、相手に伝えればいいだけでしょ?
しかし、ダメダメ人間には、その肝心な「自分の伝えたいこと」がないのだから、会話にならないわけ。おまけに、そんな人は「自分が伝えたいことを、何とかして相手に伝えたい」という心情が理解できないから、当然のこととして、「相手が伝えたいこと」「分かってほしがっていること」を、分かろうとか聞き取ろうとする意欲もないわけ。

そんなやり取りで、その場しのぎで済んでしまえば、ただそれだけのこと。
しかし、ダメダメ家庭の人間は、自信がない。親から認められてこなかったので、自信を持ちようもないわけ。
だから、必要以上に「自分を認めさせたい」と切望している。

こんな心情から、芸能人になったりするのだったら、それはそれで本人にも結構なこと。人それぞれの才能を磨けば、他の人にとってもいいことですよ。

しかし、ダメダメ家庭には往々にして「強い対抗心」があったりするものです。「自分を認めさせたい」と思っているダメダメ家庭出身者が、その対抗心と結びつくと、常にケンカ腰の人間になっちゃうわけ。

どんな些細なことも、争いごとにしてしまう。そんな人っていますよね?
そんな人は、人と話をしていても、やっぱりケンカ腰。
「この議論で相手に勝とう!」なんて思っちゃうわけ。
かといって、議論に必要な「会話の意欲や能力」がないのがダメダメ家庭の人間。
会話において「勝ちたい!」と思ってはいても、「自分はこうしたい!」「このことをわかってほしい」なんて思っているわけではない。あるいは、相手に示すことができる自分の成果があるわけではない。だから、コンプレックスが強い。

そんな人が、会話でやったりするのが、「揚げ足取り」。
相手の話の細部の矛盾を突こうとするわけ。

「さっき言った、その言葉と、サッキあなたが言ったあの言葉は矛盾するわよ!」
まあ、そんな言い方があったりしますよね?
そうやって、相手をやり込めようとするわけ。
そうやって相手に勝って、自分の価値を認めさせようとする。

たしかに議論には勝つかもしれませんが、それで「その人の価値が周囲に認められた」かというと全然別でしょ?
だって、そんな揚げ足取りに終始するような議論なんて、マトモな人は、さっさと「降りて」しまいますよ。だって楽しくないもん。その揚げ足取りのやり取りに抵抗がないような「似たもの同士」が、一緒に「熱く」なるだけでしょ?

そうなると、まさにスパイラル状に、やり取りの相手のレヴェルも落ちてくるわけ。そうなると、ますます「相手にどうしても伝えたいこと」なんて意識することもなくなってくる。とにもかくにも「相手に勝ちたい!」それだけになってしまうわけ。

そうやって、ますます揚げ足取りに熱が入ることになる。

「自分がどうしても、相手に伝えたいこと。」を分かってもらうようにして、そして、「相手がどうしても言いたいことを、理解する。」
会話の結果なんて、それでいいわけでしょ?
会話の成果は、勝ち負けではなく、相互理解ですよ。

しかし、最初に書いていますが、ダメダメ家庭の人間にしてみれば、「自分がどうしても、相手に伝えたいこと。」なんて、そもそもなかったりするわけ。

議論をして、揚げ足取りで、相手をやり込めて「ワタシは勝ったわ!」と、喜びに浸るのは勝手ですが、そんなことで、「自分の価値が認められた!」わけではないんですね。その人の「心の貧しさ」が証明されただけ。

それこそ、インターネットの掲示板などでも、この手の揚げ足取りに終始する人っていたりするでしょ?
そんな人は、「で、結局は、アナタはどうしたいの?」などという質問には答えられないもの。

自分がどうしても伝えたいことを、相手に伝えようと懸命に努力していれば、説明能力だって向上しますよ。それに相手の気持ちだって理解できるでしょ?
しかし、揚げ足取りに終始していれば、説明能力だって向上するわけがありませんよね?だから、ますます揚げ足取りだけの人間になってしまうわけ。

そんな人間に対し、「で、結局は、アナタはどうしたいの?」なんて言ったりすると、逆上するだけで、逆に、そんな素朴な疑問をした人をやりこめようと、更なる揚げ足取りに終始する。
ギャグのようですが、結構ポピュラーな事例でしょ?

世の中には一芸に秀でた人という言い方があったりします。
何事もエキスパートになるには、困難さを克服しないとダメでしょ?たとえ泥棒だって、エキスパートだったら、何かをつかんでいるんでしょうね。
しかし、揚げ足取りのエキスパートって、あまり聞きませんよね?
だって、そんなことをしても、「自分はいったい何をしたいのか?」という問いに答えていないわけでしょ?泥棒の方がはるかに「自分は何をしたいのか?」考えながら生きていますよ。

しかし、揚げ足取りのエキスパートなんて、結局は、自分自身から逃げ回っているだけでしょ?だって、そんな人は、「揚げ足を取る」対象がなくなってしまったら、何も取り柄がないわけでしょ?それだけ、自分以外のものに、自分の価値を依存しているわけ。
自分自身の目標を実現させるために、努力する。そうやってエキスパートになるわけですが、揚げ足取りでは、そんな自分の目標から遠ざかっていくだけですよね?

(終了)
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発信後記

今アメリカで野球の国際大会が開催されているようで、日本も参加しているとのこと。
アメリカと日本のゲームで、「疑惑の判定」があったとのことで、ニュースになっていました。
まあ、審判だって人間ですから間違いはありますし、国際大会には、ある種のバイアスがつき物。しかし、今回の「疑惑の判定」は、もっとあからさまだったようです。

しかし、そんなことされても、なによりアメリカチームの選手は、うれしくないでしょ?何億円ももらっている一流プレーヤーが、お金以外の目的で集まっているのでしょうから、そんな一流選手の気持ちは「オイオイ!そんなことされてもオレは全然うれしくないよ!」「オレたちは普段と違った環境で真剣勝負をしたいんだ!」と言ったところでしょ?逆に「やる気」がなくなっちゃいますよ。

まあ、「誤審」をした審判がどんな気持ちで判定をしたのかはよくわかりませんが、アメリカの選手が一番お気の毒ですよ。たとえゲームに勝ったとしても、白い目で見られるだけですからね。

「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」なんて言葉もありますよね?
同じように、相互理解のため「会話を求めている」人間の気持ちは、揚げ足取りだけで会話する、「小さい」人間にはわからないわけ。そんな燕雀とは無理に付き合う必要なんてないんですね。
R.10/11/28