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カテゴリー 文芸作品に描かれたダメダメ家庭
配信日 07年11月27日
タイトル 鏡の国のアリス
作者 ルイス・キャロル
さて、このメールマガジンでは「ふつうって・・・ふつうのこと」なんて言葉を取り上げたりしています。まあ、私が実際に言われちゃったこともあるんだから、何もギャグを書いているわけではありませんよ。というか、このメールマガジンの購読者さんも、言われちゃった人もいるのでは?言っちゃった側の人は、まあ、購読解除しているでしょうが・・・

この「ふつうって・・・ふつうのこと」という言葉は、論理的には完璧でしょ?しかし、何も意味はない。
そんな言葉では、会話にはなりませんよね?
だって、そんな言葉を聞かされた方は、何を理解すればいいの?というか、そもそも意味なんてあるの?
聞かされても途方に暮れるだけでしょ?

そんな「論理的には完璧で、まったく無意味」なやりとりが頻発している作品が、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」です。

よくこのメールマガジンで、「ダメダメ家庭は会話不全の家庭である。」と書きますが、会話不全と言っても、言葉自体は飛び交っているわけ。問題なのは、その言葉に意味がないこと。
会話不全の観点から、「不思議の国のアリス」を読んで御覧なさいな。意外なほどに面白く読めますよ。ルイス・キャロルも、そんな会話不全に直面したんでしょうね。作者のキャロルとしては、その会話不全の状況を強調するために、ちょっとした工夫をしています。

あの「不思議の国のアリス」には、アリスと一緒に旅をするマスコット・キャラがいないでしょ?一般的には、あの手の作品には、主人公と一緒に旅をして、適宜ツッコミを入れたり、狂言回しの役割をする同行するマスコット・キャラがいるもの。それこそ「オズの魔法使い」でも、お供のキャラがいたでしょ?しかし、キャロルはそのようなマスコットを廃することで、不条理な会話がアリス独りに直撃するようにしているわけ。
あの作品にある不気味さって、作者が意図していることなんですね。

あの「不思議の国のアリス」を読んで、「まあ!楽しいわ!」「ステキなファンタジーだ!」とだけ思った人は、鋭敏さがちょっと足りない。「なんだかわからないけど、ちょっと不気味だなぁ・・・」と思った人は、それなりに鋭敏な感性を持っているといえます。もちろん、鋭敏さが足りなくても、ダメダメというわけではありませんよ。鋭敏な感性なんて、あればあったで、メンドウなものなんですからね。

さて、今回は、その「不思議の国のアリス」の続編とも言える「鏡の国のアリス」を取り上げます。作品全体を考えるのではなく、その「鏡の国のアリス」の登場人物である「白の女王」のキャラクターについて考えてみます。
この「鏡の国のアリス」の中で「白の女王」自身が語るには、「自分は、後ろ向きに生きている」んだそう。

この「後ろ向きに生きる」そのスタイルが、いかにもダメダメ家庭の人間のスタイルなんですね。

何でも、その「白の女王」は、記憶が後ろ向きと前向きの2方向あるそう。
過去だけでなく、未来のことの「記憶」も持っている。
過去の記憶はともかく、未来の記憶ってヘンでしょ?
しかし、この「未来の記憶」を、ダメダメ人間の妄想癖のメタファーと理解できれば、「ああ!あのことねっ!」ってわかるはず。

この「白の女王」って、典型的にダメダメ家庭の人間っぽい。実際に「赤の女王」からは、「あの人は・・・育ちが悪いから・・・」なんて言われちゃっている。
服装もだらしない。暗い声で、ため息をついて、グチばかり。

そして、「未来の記憶」を元に考え、人に要求したりする。
これって、自分の勝手な妄想を元に、周囲の人にあれこれ難癖をつけるダメダメ人間の姿そのものでしょ?

そして、未来と過去と2つの方向に記憶があっても、今現在がないわけ。
このような姿も、現実逃避しているダメダメ人間の典型的な姿。

妄想の中に生きているので、もはや妄想が自分にとっての現実になってしまっている。
たとえば「練習することによって、ありえっこないようなことを、6つも信じたことがあった。」と自分で自慢している。

妄想と現実の区別がつかなくなってきている状態。

このメールガジンで頻繁に触れておりますが、韓国の歴史教科書がまさにこのスタイルですし、白の女王様って、韓国人にソックリ。
妄想と現実の区別がつかなくなってきていて、後ろ向きに生きていて、そして現在がない。そしてその妄想を元に生きていて、それを根拠に周囲にも要求する。

まあ、そんな人とやり取りをすれば、アリスのように途方に暮れちゃいますよ。

白い女王の姿も、そんな「後ろ向きに生きる」ダメダメ人間の姿としては、典型的でしょ?
ヴィクトリア朝のイギリスにおいても、今の世界であっても、妄想系のダメダメ人間の姿って、よく似ているものなんですね。

21世紀の韓国人の姿を19世紀の時点で、こんなに的確に描写するなんて!
もしかすると、ルイス・キャロルも「未来の記憶」を持っていたの?

イヤイヤ!人間の姿は時代によって変わることなんてないわけ。ダメダメ人間は、19世紀のイギリスでも、21世紀の日本でも、あるいは韓国人も、結局は同じようなことをしていたりするもの。

時代や場所によって変わることのないダメダメな姿を洞察する・・・それが出来たから、「作品」になったわけです。
ルイス・キャロルは、不幸にも鋭敏な人というわけ。

ということで、皆さんも読んでみてくださいな。
何もダメダメという観点からだけでなく、結構面白いものですよ。会話不全の状況をどのように表現するのか?そんな問題意識が簡単に見つかると思うんですよ。

(終了)
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発信後記

本文中でも書きましたが、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」を、楽しい、心温まるファンタジーと思ってしまった人は、まあ、鋭敏さが足りない。
楽しいファンタジーにするつもりなら、ドジでお茶目なマスコット・キャラを設定しますよ。そんなことは、「文章を書ける」人間だったら、スグにわかること。
もちろん、一般の人は、文章をまとめる必要なんてありませんから、そんな鋭敏さなんて必要ありません。ただ、心温まるファンタジーと読んでしまった人は、「面白い」文章を書く才能がないというだけ。

多くの人にとって重要なことは、「面白い」文章を書くことではなくて、「正確な」文章を書くことです。
そのためには、「現在」の状況をしっかり見る必要があるわけ。
しかし、ダメダメな人は、まさに「白の女王」のように、その肝心の「現在」がないものなんですね。
過去を恨みがましく語って、未来への漠然とした希望は言うことができても、現在の状況は全然説明できない。そうして、だらしない格好で、暗い声で、グチばかり。
ということで、皆さんも「鏡の国のアリス」を読んでみては?
R.10/11/8