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カテゴリー | 「約束の地」に関して | |
配信日 | 08年1月25日 (10年12月12日 記述を追加) | |
タイトル | 逆・約束の地 (帰還の地) | |
以前に「約束の地」というお題で文章を配信しております。 ダメダメな親のもと抑圧的な状況にいる子供は、「東京に出ればすべて解決!」などと考えたりするもの。 あるいは、「結婚すればすべて解決!」とか「子供を持ったらすべて解決!」なんて、盲目的な確信を持っているものなんですね。 その折りに書きましたが、「約束の地」は、具現化された自己逃避のようなもの。 その対象を凝視することで、自分自身なり直面している現状を認識することから逃避するわけです。 しかし、現状を把握した上での願望ではないので、実際には何も解決されるわけもなく・・・ 事態が何もよくならないので、それまで持っていた東京への希望が、逆に、東京への敵対心に変化したりする。 東京に対する敵対心くらいならまだしも、「子供を持てばすべて解決!」なんて思っている人は、子供を持っても、ますます事態が悪くなるだけ。 結局は、「オマエのせいで、うまく行かない!」「あんなに期待していたのにっ!」と子供に復讐することになる。 「こうなれば、すべて解決!」なんて思ってしまって、現状を認識することから逃避しているので、結局は、悪くなるばかり。まずは、現状を的確に認識することが先ですよ。 そんなことは小学生でもわかることでしょ? これらのケースは、まさに「約束の地」であって、自分が到達していない地点への憧れのようなものです。秋葉原への爆破予告をした鳥取県の学生は、東京に住んだことがない。だから東京に夢を託してしまう。 あるいは、抑圧的な状況下にある女の子は、結婚していないし、子供も持っていない。だから、「子供を持ったらすべて解決」なんて妄想を抱いてしまう。 しかし、ちょっと違ったケースもあります。 「あの地に『帰れば』、すべて解決!」なんて発想もあるわけ。 『逆・約束の地』とでもいいましょうか・・・まあ、「帰還の地」という言い方の方が適切でしょうね。 『故郷に帰れば、この面倒な事態も解決するんだ!』 そんな感じで思ってしまっていることもあるんですね。 そもそも「約束の地」のご本家のモーゼさんが目指したイスラエルの地だって、かつてはユダヤ民族が住んでいたところです。だから、彼らにしてみれば、基本的には「帰る」という感覚です。 『エジプトにおけるこの状況も、イスラエルに帰れば、解決するんだ!』 まあ、そんなことを考えたりしたわけ。 モーゼのケースは、神様から命令されてしまったから・・・本人としては、しょうがないからエクソダスしたわけですが、神様から何も言われていないのに、「帰ればすべて解決!」なんて発想を持っている人って、結構いますよね? 故郷に帰れば、すべて解決! 実家に戻れば、すべて解決! まさに、日頃からそんなことを言っている人がいるでしょ? それって、それだけ、今現在の状況が、当人たちにとって、満足いかないということでしょ? しかし・・・じゃあ、具体的にはどんな問題があって、故郷に帰れば、何が解決するの? その現状認識が先でしょ? しかし、その現状認識から逃避してしまって、ますます事態が悪化して、ますます、「○○になったらすべて解決!」なんて妄想に浸るようになるだけ。 実に顕著だなぁ・・・と私が思っているのは、お相撲さんの朝青龍さんです。 彼は何かあると、それこそ脱兎のごとくに、故郷のモンゴルに帰りますよね? その他のモンゴル出身のお相撲さんは、あんなに頻繁に里帰りしていないでしょ? 彼も、もう、20歳過ぎているだし、お金だってあるんだし、何もモンゴルに帰る必要なんてないじゃないの?盆暮れ正月に行けば十分でしょ? しかし、彼は日本において精神的に不安定なんでしょうね。 それだけ自分を抑圧して、人に合わせすぎている傾向があるのでは?彼って、実は、気が小さくて周囲にオドオドしているのでは?だから、人に合わせる緊張が切れてしまうと、突然に居丈高になってしまう。そうなると、周囲から怒られる。だから、ますます人に合わせようとし、気を使いまくって、疲れるばかり。 だから、故郷に帰って、実家に戻って羽根を伸ばしたい!! まあ、その気持ちはわからないでもありませんが、故郷なり実家が、そんなにマトモだったら、逆に、そこまで日本で精神的に不安定にはなりませんよ。 『困ったら、いつでも帰っておいで!』 実家がそんな余裕ある態度でいると、そんな実家から巣立った人間も、精神的に安定して、逆に言うと、頻繁に帰る必要がない。 そもそも親と一緒にいるのが、精神的な安らぎに本当に通じるのなら、自分の親を日本に呼んでもいいわけでしょ?彼だってお金はあるんだし・・・親にしても日本の方が遊ぶところがありますよ。たぶん、彼にしてみれば、深層心理的には、親と会いたくないような心理があるのでは?朝青龍さんにしてみれば、ただ、その場から「逃げたい」だけなのでは? 実家が抑圧的だからこそ、外の世界で、他者と自然にコミュニケートできずに、精神的に疲労してしまって、実家に『逃げて』しまう。 実家が機能していないからこそ、実家に帰ろうとするわけ。 このようなことは、登校拒否や引きこもりと同じでしょ? ダメダメな家庭だからこそ、家庭の機能を果たしていないがゆえに、家庭の外の世界に出られないわけ。 あるいは、似たところがあるのは、以前にボシシングで話題になった亀田親子です。 東京に住んでいるのに、あんなベタベタの関西弁を使っている。関西なまりが「出てしまう」のなら、ともかく、あんなベタベタの関西弁を東京で使うのはヘンでしょ?それって周囲の人と会話する意欲がないことでしょ? つまり、「ここは、オレたちの本当の居場所ではないんだ!」「いつでも、ここから逃げることができるようにしておきたい!」・・・そんな心理が見て取れるわけ。 「故郷に帰れば何とかなるっ!」 「実家で家族と話をすればすべて解決だ!」 そう思っている人にとって、実家なり故郷は機能していないわけ。 そんな人にしてみれば、言語的なり行動的には「帰る」となっていますが、心理的には「逃げる」に近くなっている。その逃げる先が、「故郷」しかないというだけ。 その自覚ができないがゆえに、トラブルが悪化し、ますます実家に戻ろうとする。 しかし、本当の意味で、出身家庭が機能しているわけではなく、その場で安らぎを得られるわけではないので、その実家に長いこと居続けることはしない。逃げる先が、故郷なり実家しかないというだけで、だからと言って、その故郷や実家は、当人にとっての居場所ではないわけです。一時的な逃避先でしかなく、安らげる居場所にはなっていないわけです。 出身家庭が、その人にとっての、居場所ではないからこそ、精神的に切羽詰まってしまって、現住所でトラブルになる。 トラブルになるからこそ、「故郷に戻れば、すべて解決だ!」と「逆・約束の地」の発想にすがってしまい、必死で自分を騙す。 しかし、実際に故郷に帰ってみると、結局は、普段以上に気を使うばかり。 だから、そんな場所から、スグに従来の場所に戻ってしまう。 しかし、所詮は一時的な対処療法なので、またトラブルとなってしまう。 逃げ場を意識する人は、出口に到達することもないし、安住の地にも到達できない。 自分から逃避している人は、自分が逃げているということを自覚することからも逃げている。だから「帰る」という言葉でごまかしてしまう。 しかし、いずれはドッカーンとなっちゃうものなんですね。 (終了) *************************************************** 発信後記 先日、大学受験のセンター試験がありましたよね? あんなニュースを見ると、私の若かった?頃を思い出します。 大学受験で、会場に着くと、どことなく顔つきが違っている人がいる。普段見ている高校生とは面構えが違っている。年齢的には大きな違いはなくても、なんとなく風格がある。 戦争映画だと、新兵が前線の部隊に配属されると、歴戦の古参兵がいて、おどおどしている新兵を、「フっ」という感じで見たりするシーンがありますよね?そんな歴戦の古参兵には、戦場においても、場慣れした余裕があって、そして倦怠感を漂わせたまなざし。 「オマエら・・・まあ、せいぜい、生き残るんだな・・・」そんな雰囲気。 往々にして新兵は、そのまなざしだけでビビってしまうもの。 若かった高校時代の私も、歴戦の受験戦士の風格あるまなざしにビビったものですよ。 もちろん、実際の戦争ではなく、大学受験なんだから、いくたびか戦場をくぐってきた歴戦の戦士といっても、何ですが・・・ まあ、人間は顔じゃないという正論はもっともですが、顔から得られる情報は多くあるわけ。顔から色々と情報を得られないような洞察力のレヴェルの人間は、たとえば文章などの別の面からも得られないもの。 たまに、人間の顔を見ていると面白いですよ。洞察力を磨く、いい訓練になりますからね。 |
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R.10/12/11 |