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カテゴリー もてなしの心
配信日 08年5月30日 (11年2月10日 記述を追加)
タイトル 気配り、目配り
ダメダメ家庭の親は被害者意識が強い。
そもそも子育てだって、親である自分が押しつけられた被害と考えている。
このことは、このメールマガジンでは、まさにお約束の書き出しとなっています。

さて、そのように、子育てを被害として捉えているんだから、親として、自分の子供のことをサポートする気はまったくない。親からのサポートがまったく期待できない子供は、「自分一人で何とかしないと!」と常に切羽詰った心情になる。

そんなに切羽詰っているんだから、いつだって余裕がない。
周囲の人の気持ちに配慮して・・・なんてことはできない。と言うより、その手の子供は親からのプレッシャーを受け続けているので、「まず誰よりも、自分の親に迷惑をかけてはいけない!」と考えている。逆に言うと、親への迷惑を第一に考えるので、別の人たちへの迷惑を考えている余裕がない。

「こんなことをすると、周囲の人が迷惑する。」
「あんなことを言うと、あの人たちの気分を害する。」
逆の方向として、「このようなことを、みんなが喜んでくれる。」
そのような周囲の人への配慮について考えているどころではない心理状態となってしまう。
とにもかくにも、親の顔色を必死にうかがっている。
だから、周囲の人への気配りや目配りは、心理的に不可能になってしまう。

しかし、ダメダメ家庭というものは、単純ではない。
親に迷惑をかけてはいけないがゆえに、周囲との間に波風を立てるわけにはいかない。とにもかくにも「人に合わせて」目立たないように・・・そんな感じになってしまう。
また、当事者意識がなく、自分で何かを達成するために努力することとは縁がないので、「まっ、とりあえず人に合わせておけばいいじゃん・・・」というズボラさが身に付いてしまう。

「気配り、目配り」は心理的にできなくても、とにもかくにも「人に合わせている」ので、形の上ではトラブルは起こらない。そんな「何も問題がない」「無風」状態について、それが、周囲から目立たないようにするために、何も考えずに「人に合わせているだけ」なのか?それとも、その人が周囲の人の気持ちに色々と配慮して、その結果として順調に運営されているのかについては、見た目としては、違いが出てこない。それに、当人自身も心理的に抑圧しているので、その点について何も考えない。だからこそ、その人自身としては、気配り、目配りの必要性も理解できない。

ダメダメ人間は、人の気持ちが分からず、周囲の空気を読んで、それに盲目的に合わせているだけ・・・となっているわけですが、いつもそれが通用するとは限らない。
人が生きていれば、自身が主体となって、アクションを起こす必要もありますよ。
あるいは、周囲の人の知恵を借りたいこともあります。
あるいは、やり取りの場を変える時もあるでしょ?
それこそ、仕事における接待のような場においても、一次会のマナーと二次会のマナーは違っていますよ。
そんな時には、その周囲の人の気持ちや状況に配慮することが必要でしょ?
目配りなり気配りをしないと、周囲の人も自分をサポートしてくれませんし、そんな人たちから浮いてしまうだけ。

ダメダメ家庭の人間はホスピリティティがない・・・このことは以前に配信しております。
他者を暖かく迎え入れるなんて発想とは無縁となっている。だって、被害者意識が強く、自分が一番かわいそうだと思っているわけですからね。自分より恵まれている人を「もてなす」なんて発想にはなりませんよ。

「他の人に喜んでもらうためには、どうすればいいのか?」
「喜ぶまではいかなくても、気持ちよく助けてもらうためには、どうすればいいのか?」
そんな発想とは無縁となってしまう。

そもそも、当事者意識がない家庭で育つと、ただ、人に合わせているだけで済んでしまうので、そんな問題意識すら育たない。「もてなす」ということについての問題意識もないし、「もてなす」基本的なノウハウがない家庭で育ったんだから、当人だってわかりませんよ。
と同時に、「もてなされる」側の常識も習得できない。
そもそも、ダメダメ家庭の人間は、子供時代に親から「もてなされて」いないんだから、「もてなされる」体験とは無縁になってしまいますよ。
このことについては、別のところで書いております。

そもこそ、ダメダメ家庭ではプレゼントのようなものは鬱陶しがることも、以前に配信しております。あるいは、やたら『費用対効果』的な考えを持ち出し、スグに成果を求めることも以前に配信しております。似た例として、お菓子のような心の余裕につながるものとは縁がない。だから、他者をもてなしたくても、そもそも、もてなしの原体験がないんだから、もてなす方法を知らない。
もてなす必要性がわからないだけでなく、いざ、誰かをもてなしたいと思っても、もてなせない。

もてなす必要性がわからないし、もてなし方を知らないし、「もてなされる側」の常識も知らないんだから、当然のこととして「気配り、目配り」とは縁がなくなりますよ。日頃から、人に合わせているだけであるが故に、気配り、目配りが出来ないわけです。情報やアクションの流れが、外から内という一方方向だけで、だからこそ、自身で考えて、相手のためにアクションを起こすことができないわけです。

そんな人は、何かトラブルになったりすると、「気配り、目配り」を用いなくても相手をしてくれる公的機関を頼るようになってしまう。そうして、その顔の見えない公的機関に頼ったはいいとして、結局は何も解決できず、やがて「あの機関は、役に立たなかった!裏切られた!」と言って嘆き、クレームをつけるようになる。
そんな事例は、ポピュラーでしょ?

公的な機関は、フォーマルな機関と言えるわけだから、ある意味において、ルールが明確であり、そのルールに基づいて運営されているから、依頼する際にしてもラクと言える。まさに「気配り、目配り」は不要でしょ?
しかし、プライヴェートな知人とか、あるいは、民間の機関を利用するとなると、そのフォーマル度にも差が出てきますし、同じ相手であっても、それこそ一次会と二次会によって、その雰囲気が違ってくるように、参加する際にも、それ相応の違いが出てくるでしょ?
何も難しいことではなく、相手の気持ちに配慮すればいいだけですよ。

しかし、とにもかくにも「人に合わせる」ことで状況を乗り切ってきたダメダメ家庭の人間としては、雰囲気の違いが発生してしまうと、対応できなくなってしまう。
同じ相手でも、無礼講と称される会合と、フォーマルな会議では、対応は変えないといけないでしょ?
しかし、人の気持がわからず、親から気配りの見本を得ていないダメダメ家庭出身者には、対応を変えることが難しく、それこそ、必要とされるフォーマルさから外れた言動をしてしまうことになってしまう。ヘンな話になりますが、「ふつうになれ!」と親から言われ続けたがゆえに、周囲から浮いたトンチンカンな行動となってしまう。

以前に「お菓子に関する知識」というお題の文章を配信しておりますが、お菓子と「もてなし」は、実に関係があるもの。お菓子には、その味の問題だけでなく、そのフォーマル度合も色々とあるでしょ?ポテトチップスを「お茶会」で出したらオバカですよ。そんな箇所をチェックするだけで、色々と見えてくるものなんですよ。

「人に合わせる」ことと、「気配り」の違いからダメダメが見えてくることも多いわけです。
ダメダメ家庭の人間は、ルーティーンなケースでは対応できても、ちょっと外れると、とたんに対応できなくなってしまう。

それこそ、頻繁に参照しております、映画「マイ・フェア・レイディ」でのアスコット競馬場のシーンのようになってしまう。立ち振る舞いは周囲に合わせることができても、人の気持ちには配慮できない。だって、人の気持ちが分からないですからね。
そんな人に、周囲の人への「気配り、目配り」を要求しても無理ですよ。

皆さんも、そんな「気配り、目配り」とは無縁の人を実際にご存知なのでは?その人は普段はどんな行動でしたか?
あるいは、トラブルになった際には、どんな様子でしたか?
まあ、お菓子でも食べながら、思い出してみてくださいな。

(終了)
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発信後記

「おもてなし」というと、先日、華々しく玉砕を遂げた大阪の高級料亭を思い出される方もいらっしゃるかもしれません。
例の女将というか社長さんも、「おもてなし」の精神とは無縁な人でしたよね?
しかし、彼女が、子供時代に、親から「もてなされていない」あるいは、「構われていない」とすると、意外にも理解しやすいわけ。

あの兄弟は一男四女の5人兄弟のことで、彼女は3女だそうです。だから上から4番目なのかな?
あの時代ですから、5人兄弟も一般的でしょう。しかし、子沢山の家庭となると、何番目の子供なのか?という点を考慮する必要があるでしょ?
最初の子供は、まあ、親から構ってもらえる。
最後の子供も、親から構ってもらえるし、年齢を経た上の兄弟からも構ってもらえる。
では、中間は?

子沢山の家庭の、中間の順番の子供は、往々にして「その他大勢」となってしまう。だから親から構ってもらえないし、上の兄弟はまだ小さいので頼りにならない。
自分で何とかしないといけないようになってしまう。
それに、何か目立つことをしないと、親から忘れ去られてしまう状態。

親から構ってもらっていないので、当然のこととして、「おもてなし」の技法はわかっても、精神はわからない。
そして親から構ってもらうために、他の兄弟よりも、目立つことをしたがる。
しかし、「自分独りでなんとかしなきゃ!」と思っているので、周囲に対する信頼もなく、失敗しても「ワタシは悪くない!」と言い出すことに。
会話の訓練を受けていないので、コミュニケーションが命令と服従の関係のみ。

まあ、そんな一員を持つ兄弟も、実際にあるでしょ?

あの兄弟ですが・・・
まあ、ダメダメ家庭の要素を持っているのは、カンタンにわかること。
そもそも兄弟仲が悪そう。普段はともかく、何かトラブルがあったら、集まって、一致して対処する必要があるでしょ?
しかし、あの兄弟は、そんな様子もありませんよね?
あの兄弟の皆さんは、それぞれ、自分自身の被害を真っ先に考えている。
そんなダメダメ兄弟の中でも、そのダメダメが特に集約する人がいたりするもの。
往々にして、それは最初でも最後でもない、中間の順番であるケースが多いものなんですよ。
R.11/2/10