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カテゴリー やり取りと距離感
配信日 08年9月28日
タイトル 付かず、離れず
ダメダメ人間は、自己逃避である。
そもそも当事者意識がないので、「これを達成したい!」というものがない。
だから、物事を見るに当たって「このようなことをすると、どの程度、自分の目標に近づくのか?」という加点法的な発想をせずに、「どんなトラブルが起こるのか?」「どれだけ不都合になったか?」という減点法の発想を持つようになるわけ。

いつもいつも減点ばかり考えているんだから、その減点面への反応は鋭くなってしまう。
本来なら、減点面があっても、それ以上のプラス面があれば、それでいいわけですが、そのプラス面がないんだから、減点に過剰に反応してしまう。

そのように常にマイナス面ばかりを意識しているので、逆に言うと、その手のダメダメ人間は、「いい子志向」があるものです。まさに「減点のない『いい子』でいなきゃ!」と思っているわけ。

しかし「減点がない」って、ダメダメにお約束の二重否定でしょ?
そんな発想をしている時点で、大減点ですよ。
そんな「いい子」は、自分のマイナス面に直面すると対処ができない。

結局は、そのマイナス面を見ることから逃避してしまうわけ。
マイナス面があっても、それを直視して、それに相応する対処をすればいいだけなんですが、マイナス面をそもそも見ること自体しないんだから、何も対処しない。
どうしようもないほどに、事態が悪化したら、結局はドッカーンとなるだけ。

マイナス面が明らかになったら、何がしかの対処を取る必要があるでしょ?
あるいは、どうしても、対処したくないのなら、逆に言うと、そんな事態を避けることを考えればいいだけ。

「この人とやり取りをすると、いつもケンカになってしまう・・・ああ!どうしよう?」

そんな人とは、会うことを避ければいいだけ。
それこそ「絶交する」・・・なんて言い方もありますが、そんな形で明確に別れればいいだけですよ。
地球上には60億人以上の人間がいるんだから、何もすべての人間と、楽しいやり取りをする必要はありませんし、そんなことは無理ですよ。

「自分はこのような人間で、このような人と、こんな感じでやり取りをしたい。」
そんな感じで、明確に自覚していればいいだけでしょ?
フィーリングが合わない人間と無理にやり取りをする必要はありませんよ。
「アナタとは有意義なやり取りができないと判断したので、もうやり取りはしない。」
そのように言い渡せば、それでいいわけでしょ?合わない人間とは会わないようにすればいいだけ。
厳しい物言いですが、逆に言うと、それ以上、悪化することは防げますよね?

原理的には、そうなんですが、そうは簡単にはいかない。
もちろん、大人となると、「キライな人間とは会わない。」というシンプルな判断ですべてを片付けるわけにはいかない。色々と諸般の事情もありますよ。ただ、実際に言う言わないはともかく、それを自分の中で自覚する必要があるわけ。
諸般の事情からできないというよりも、そもそも「出来る限り会わない」「会いたくはない」という判断をすることから逃避する・・・それがダメダメ人間なんですね。

前記で、ダメダメ人間は「いい子志向」である・・・そのように書きました。
そんな「いい子ちゃん」が、誰かと絶交するなんて過激なことはできない。
子供同士でケンカになっても、「何とか関係を修復しないと!」「マイナスを埋めなければ!」
そんな感じで、思いつめてしまう。

仲が悪い、相性が悪い・・・というマイナス状態を認めることが怖いわけ。
あるいは、「絶交」というマイナス的な解決ができないわけ。
仲が悪いなり、会うといつもケンカになるということを認めてしまうと、減点法のダメダメ人間には対処不能の状態に陥ってしまう。

結局は、そのマイナス面を、見ないようにするために行動することになる。
見ないように行動するというと、子供だったら、登校拒否となる。
まあ、学校の場での不都合は、学校に行かないという方法をとれば、見なくても済みますよ。

しかし、それは、その子供が、学校で発生したマイナス面を認識し、対処する能力がないことから来ているわけ。学校の問題というよりも、自己逃避状態なんですね。
現実を見ること、対処のために判断すること・・・それ自体がイヤな状態となっている。
対処と言っても、絶交でいいわけでしょ?そんなことは誰でもできますよ。
マイナスを認めれば、対処の方法は色々とあるわけですが、認めること自体から逃避してしまう。
このようなことについては、以前にも配信しております。

このようなことは、子供の学校でのマイナス面だけでなく、当然のこととして、家庭内でも発生いたします。
このメールマガジンで扱っているダメダメ家庭は、家庭内で仲がいい家庭とは言えない。
じゃあ、だったら、どうするの?子供時代だったら、経済的な理由もあるから対処の方法も限られている。家出という手段は現実的に難しい。子供だったら親と絶交したくても、現実的には不可能ですよ。
子供としても面従腹背とか臥薪嘗胆を決め込むしかない。

じゃあ、大人になったら?
こうなると色々と方法が取れるでしょ?
いさぎよく絶交や絶縁するという方法も、当然のこととして、現実的で重要なオプションでしょう。

だって、その人にとって、世界で一番キライな人と、そして実のない人とやり取りをする必要はありませんよ。
しかし、そんな過激な判断は、当人によっぽどの自覚がないと、難しいこと。

何回も書きますが、減点法のダメダメ人間は、「いい子ちゃん」志向であって、親と絶交するなんてことはできない。そもそも自己逃避なんだから、そんな「判断」そのものがイヤであるわけ。そして、自分の出身家庭がダメダメだったと認識すること、それ自体がイヤであるわけ。
ダメダメ家庭出身の人間は、出身家庭がダメダメであるがゆえに、親との関係について何も判断せずに、ズルズルと実家と関わりを続けてしまうことになる。

ズルズルとやり取りを続けても、事態がよくなるわけもない。
しかし、事態が悪化しても、「見ない」という達人なんだから、見ないことでやり過ごすことになる。ということで、ダメダメな親と、ダメダメな親に育てられた子供が、一緒にいても楽しいわけもないのに、やり取りを続け、ますます精神的に追い詰められてしまう。
結局は、ダメダメ人間にお約束の「犯人探し」をして、「アイツのせいで・・・ワタシはうまく行かない!」と勝手に認定して、その関係性を確定される儀式を挙行することになる。

先日(08年)、福岡県で起こった、自分の子供を殺害した母親の事件ですが、典型的なダメダメ家庭の事件だったでしょ?
犯人は、過剰なまでに「いい子ちゃん」志向であって、「よき母親」の外観にこだわっている。
だからこそ、誰かに相談することもできない。
そもそも、自分の親とフランクに相談する体験をしていないんだから、相談の仕方がわからない。
それに、自己逃避の人間なんだから、現状を客観的に説明できない。
ただ、感情的に被害を語るだけ。
「よき母親」の外観が崩れることが怖い。

だから、事態のマイナス面を見ないという方法論しかない。
マイナス面を見ないから、何も対処しない。
ダメダメな自分の実家との関係も、じっくり考えたりはしない。

かと言って、親と一緒にいると、気分的に不快であることは確か。
親と絶交するのは、「いい子」のすることではない。
だから、「付かず、離れず」の距離を取るわけ。

仲がよければ、実家に住んだり、頻繁にやり取りをすればいいだけ。
仲が悪いのなら、一緒にいて不快なのなら、むしろ絶交を基本として考えた方がいいわけ。

特に、離婚した後で、実家との間で、この「付かず、離れず」の距離に収まってしまう人は、かなり危険と言えます。女性が離婚したら、まずは実家に戻って、新規まき直しをするのが基本でしょ?
しかし、ダメダメ家庭出身者は、心情的に実家がイヤ。実家と縁を切るくらいの厳しい判断も、心情的にイヤ。だから、「付かず、離れず」状態で、な〜んとなく実家の近所に住んでしまう。そんな人は、スグに再婚して、またスグに離婚してしまうもの。

「付かず、離れず」の距離は、何よりも、認識や判断からの遠い距離を意味しているものなんですね。

何も実家との距離の問題だけでなく、「つかず、離れず」は、ダメダメ人間は、各方面でやっているでしょ?
「この塾はどうもウチの子と相性が悪いようだ・・・」と、文句ばかり言っている塾に、いつまでも通わせている親がいたりする。
そんな親は「この塾を止めない」という二重否定状態。
あるいは、実家の問題だけではなく、自分が結婚した相手と、うまく行かなくなっても、正式に離婚するでなし、やり直すわけでなし・・・
まさに「付かず、離れず」での別居となってしまう。これも「離婚しない」という二重否定状態。

判断することから逃避するダメダメ人間は、様々な距離において、このような「付かず、離れず」的な二重否定の距離になってしまっているもの。

何も福岡県で自分の子供を殺害した母親の例ばかりではなく、秋田県で自分の娘を殺害した母親もいましたよね?その母親も、実家との距離が「付かず、離れず」だったでしょ?
秋田県なんて出てしまって、大都会に出てくればいいじゃないの?働き場所だって、より多くありますよ。それに、不快な自分の過去とも決別できるでしょ?
どうして実家から離れないの?秋田県なり実家に楽しい思い出でもあるの?そんなわけないでしょ?

好きでもないし、頼りにもならない実家と「離れない」。
あらゆる判断から逃避した状態となっている。だから事態が悪化する一方であって、だからこそ、自分より「弱い」立場の人間が犯人認定されてしまう。
そして、その関係性を確定させる行為を行う。
このような「反論してこないものを犯人認定」することについては先日配信しております。

「あの人・・・なんか・・・実家との関係がアンタッチャブルだなぁ・・・」
「実家と仲がいいわけでもないし、頻繁に行き来している様子もない。」
「実家の話題になると、なんとかして避けようとする・・・」
そんな人って実際にいるでしょ?

そんな人は、会話の能力もないもの。そもそも当事者意識がなく被害者意識だけを持っているので、被害感情はあっても、事態を客観的に説明することはできない。
ただ、マイナス面に過剰に反応するだけ。
マイナス面には反応して、その時は大騒ぎになったけど、じゃあ、結果としてどうなったのか?と後で思い返しても、「あれれ?」と思うだけ。結局は、判断することから逃避しているわけです。
皆様のご近所にもいるのでは?
そんな姿は、まさにトラブルメーカーの姿そのものでしょ?

そんな人は、自分が直面しているマイナス面から逃避していて、結局は犯人探しに逃げ込むだけ。そんな人の近くにいると、まさに「犯人」としての栄誉を受けるだけ。
そんな人に育てられている子供を救うのは現実的に難しくなってしまう。
しかし、自分の子供が悪影響を受けないようにする・・・そんな対処は必要になってくるわけです。
アンタッチャブルなものが強固に存在しているからこそ、そんなアンタッチャブルなものから「離れない」・・・ダメダメの世界では、そんな事態になっているわけです。判断することがアンタッチャブルになっているのがダメダメ人間なんですね。

(終了)
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発信後記

本文中で言及しております福岡県の事件の方は解決したようですが、千葉県で女の子が殺された事件の方は、これをまとめている日曜日の時点では、まだ解決していません。
警察の方は、なんとなくバイアスが掛かった捜査をしている雰囲気ですが、私としては、事件が解決した後で、その心理を考えてみることが通例です。
犯人予測はいたしません。
そもそも、捜査の情報が全部公開されるわけではないんだから、そんな段階で予想しても意味はありませんよ。犯人が確定したら、情報も今よりも公開されるでしょうから、その情報から、心理を考察し、それを今後に生かすこともできるでしょう。

ただ、自分の出身家庭がダメダメ家庭であると自覚していない状態だと、どうしても、現実逃避になってしまい、多くのトラブルに合いやすいだけでなく、ある種の「犯人探し」の行為なり「犯人確定の儀式」を行いやすい・・・そのことについては、以前より頻繁に触れております。
自分の出身家庭のレヴェルについて、ちゃんと考えてみる必要があるわけ。
特に、結婚後、スグに離婚した場合には、それが必要になってきます。
そもそもスグに離婚するような相手との結婚を許可した親なんだから、その時点で親の問題を判断しなければいけないわけ。

その判断から逃避すると、事件を起こす側なり、起こされる側なりになってしまう。
事件が起こって、被害者なのか加害者なのかでモメたりしますが、その「被害者と加害者」の違いはダメダメにおいては、それほど重要ではありません。
「付かず、離れず」の状態だからこそ、事件に巻き込まれるわけ。トラブル状況が深刻になって、切羽詰って、「自分が相手を殺すか?それとも自分が殺されるか?」なんて思いつめるよりも、状況が軽い段階で判断すればいいだけ。

もうすぐ、このメールマガジンも配信700回になりますが、700回目の文章では、そのような自己逃避の挙句、ドッカーンとなる主人公を描いた有名な作品を取り上げる予定です。
ダメダメにおいては、実にポピュラーな流れなんですね。
逆に言うと、そのようなお約束を早めに自覚する必要があるわけ。自己逃避を続けて、うまく行くわけがない・・・それこそがお約束なんですよ。
R.10/12/14