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カテゴリー ダメダメ家庭出身者の状況
配信日 04年4月23日 (10年8月14日 記述を追加)
タイトル 夕陽詩人症候群
まあ、ダメダメ家庭の女性は「恋に恋する」女性になりがちです。
現実では家族からのサポートもなく、自分の希望がかなえられないので、どうしても妄想の世界に生きてしまうんですね。おまけにコミュニケーション能力が低いので、現実の人間とはコミュニケーションを上手く取ることができない。だからますます妄想の世界に生きることになる。

勿論、女の子だったら誰でも一度はそのような「恋に恋する」時期もあるでしょ?なかったらさびしいですよね?

しかし、ダメダメ家庭の女の子は、歳をとっても「恋に恋する」女の子なんですね。

私はそのような女性の症状?を、「夕陽詩人症候群」と名づけたことがあります。本なんかには書いてないですよ。私が個人的に名づけただけですから・・・

学校で放課後ふと見ると、クラスメートの○○君が窓際で本を読んでいる。
夕陽を浴びて物憂げな風情。前髪がちょっと目にかかる。
『何を読んでいるの?』
「ちょっと中原中也の詩集をね。」
あらっ!なんて素敵なの!

おまけに○○君が下校途中で子犬にパンなどを与えているのを見たりすると、もう決定的!
なんてやさしい人!!
この人こそ私の運命の人なんだわ!!

勿論、それもいいでしょう。しかし、重要なのは、その○○君との会話ですよね?
本当に中原中也について会話すればいいわけです。
ただ夕陽詩人に恋する女の子は、この会話が発展しない。
夕陽を浴びて、物憂げに詩集を読む男の子・・・そのシチュエーションだけで満足しちゃっているんですね。

確かに、そんな時期もあるでしょう。
しかし、このまま突っ走って結婚してしまったら問題ですよね?

女性の方は、「夕陽詩人」に恋しているのであって、現実の○○君に恋しているわけではない。男性だっていつまでも「夕陽詩人」ではいられないでしょ?
歳を取ったら、たまにはオヤジ系の本も読んだりするでしょ?

そうなると、「恋に恋する」女性は烈火のごとく怒り出す。ほとんど涙目になって夫に抗議する。

「○○クン!どうしちゃったの?!中原中也は?中原中也のこと忘れちゃったの?」
しかし、そう詰め寄られた夫のほうはキョトンとなる。
「何?いったい何を言っているの?」

こうなると、夫婦の会話がなくなってしまうわけ。
そして妻は嘆くことになる。
「夫は変わってしまった・・・」

この次に来るのは決まっていますよね?
自分の子供を夕陽詩人に仕立て上げる努力が始まるわけです。
しかし、子供だって「この本を読め!」なんて親から言われても困っちゃうでしょ?
ただ子供は形の上では親に合わせてくれる。
夕陽詩人症候群の女性は、これで満足しちゃうんですね。

このような夕陽詩人症候群の人は「恋に恋している」のであって、現実の○○君に恋しているわけではない。
あるいは、文学青年に恋をしているのであって、文学というか芸術を理解し、愛しているわけではない。

芸術というのは、受け手にとって厳しいものですよ。
「この本を読んだら、すべての人が幸せになれる・・・」なんてものは、扱いやすい「ポエム」かもしれませんが、荒れ狂う芸術とは言えないわけ。
読み手がそれまで持っていた安定を揺り動かす力があるもの・・・それが力のある芸術作品であって、安定を揺り動かされるんだから、幸せとは行きませんよ。
しかし、現実の困難を打開するには、そんな常軌を逸した力も必要になってくる場合もあるものでしょ?
しかし、恋に恋する妄想系の人は、現実を直視しているわけではないので、現実の困難を打開する力などは必要がない。だから「ちょっといい気分!」となればそれでいいわけ。
だから、そんな「気分」にさせてくれる作品なり、状況を求めることになる。

また、似た症例として「自分の善意に恋する」パターンもありますね。
最近話題になった熱血ボランティアです。

このような熱血ボランティアも、シチュエーションが重要であるわけ。
自分が施しをする相手のシチュエーションが、いかにも貧困で、いかにもメチャクチャでないと、「燃え盛る我が善意」が満足しない!!
ということで、より過激なシチュエーションを求めてしまうんですね。

結局は、恋に恋している女性も、熱血ボランティアの方も、シチュエーションしか見ていないわけ。
本当の相手を見ていないわけですね。

だから善意があっても、結局はダメダメであるわけですし、そんな妄想系の人の周囲に、現実として存在している人間にしてみれば、「あ〜あ、あの人って、鬱陶しいなぁ・・・」となってしまうのが、まさに現実でしょ?

(終了)
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発信後記

このメールマガジンは私の勝手な造語を多く使っています。
タイトルの「ダメダメ家庭」も造語ですし、「目次録」も造語です。
今回のお題の「夕陽詩人症候群」も造語。
言葉は作ったものですが、このような人は沢山いますよね?

ちなみに、中原中也は日本の抒情詩人です。ご存知でない方もいらっしゃるかもしれませんので・・・ご参考までに・・
R.10/8/14