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カテゴリー ダメダメ家庭の顔
配信日 04年11月10日
タイトル 人生に疲れた顔
窪んだ目。どこか遠いところを見つめるような、あるいは焦点が合っていないようなまなざし。
髪は、とりあえず掛けているとしか言えないような安っぽいパーマ。顔全体から漂う疲労感。

ダメダメ家庭を作る母親って、このような人生に疲れ果ててしまったような顔をしていることが多くあります。
人間は、ある程度の年齢になると、その人間性が顔に出てくるものでしょ?
人生に疲れた顔をしているということは、人生そのものに本当に疲れている・・・そして普段からグチばかりになっている。そんな姿は、ほとんど「お約束」の世界と言えます。

例えば、以前の文章で言及いたしました、フランスの映画監督ジャン・ユスターシュの作品「ぼくの小さな恋人たち」でも、母親役の女性はそのようなメイクをしていました。
あるいは、フランスの女流作家マルグリット・デュラスの母親の写真を見ると、この「人生に疲れた顔」の典型ですね。

それはそれでしょうがない。
「人生に希望を持て!」と今更言われても、どうしようもないこともありますよね?
それがその人の個人で完結している問題だったら大したことにはならない。
自殺しようがアルコール中毒になろうが、本人の勝手。

しかし、そんな「人生に疲れきってしまった」人が親になってしまう。だって親になる行為自体は、それほど疲れることではないんですからね。
そんな人生に疲れた人間が親になると、子供に言う言葉は
「普通でいろ!」
これですね。

自分自身で十分に疲れているので、子供のことなど考えたくないわけ。だから、子供には「周囲に合わせて目立たないようにふつうにしておけ!「ワタシに、これ以上は面倒をかけるな!」ということになる。
親からのこんな要求もお約束。

しかし、その結果がどうなるのか?
子供だって「人生に疲れきった」自分の親をこれ以上は疲れさせるわけにはいかないでしょ?だから、あらゆるトラブルを全部子供だけで解決しなくてはならない。結局は、子供の頃から「自分以外に、頼るものはない。」という状態となる。

子供が意を決して親に相談しても、「そんなことは自分で何とかしろ!ワタシは忙しいんだ!いったい、誰のためにこんな苦労をしていると思っているんだ?!」と、「人生に疲れ果てた顔」の人から、逆に説教される始末。説教はしないまでも、人生に疲れた親が、子供をサポートするわけもない。「はぁ〜、面倒なことを持ち込みやがって・・・」と焦点が合わない目で子供を見たりするだけ。
だから、子供も「人生に疲れてしまう。」

自分の横で「疲労感を漂わせている」人と一緒にいたら、とてもじゃないけど「人生ゲンキいっぱい!」とは行きませんよね?

前にあげた例ですと、ジャン・ユスターシュはピストル自殺をすることになりますし、マルグリット・デュラスはアルコール中毒で何回も入院するハメになる。

彼らはその代償として、後世に残る作品を作ることができたからいいのですが、一般の人はそうは行きませんよね?
大体の例においては、後世に残るのは、結局は、その犯罪ということになってしまう。

子供を育てることは大変でも、子供を作ることは大変ではない。だから「人生に疲れた人」が唯一できるのは、子供を作ること。
そして、一人目の子供を育てて十分に疲れてしまったので、もう当人自身では何もしようともしなくなる。そんな人間が出来ることといったら、やっぱり子供を作ることくらい。
そして、子供に託すのは、自分自身の疲労だけなんですね。

(終了)
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発信後記

本文中で取り上げたマルグリット・デュラスはご存知のとおりのフランスの小説家です。
映画にもなった、例の「ラ・マン」の原作者と言えば思い出す方も多いでしょう。
そのマルグット・デュラスが「面白くない本」というものをこう表しています。
『感じがよくて、何も残らず、夜がなく、沈黙がなく、真の作者がなく、昼間向きで、時間つぶしに最適で、よき旅行のお供・・・』なんだそう。

まあ、私の文章は・・・幸か不幸か、これには当たりませんよね?
以前ですが、このメールマガジンへのご意見として、発行部数3600部を自称するメールマガジン発行者の方より、購読者数を増加させるためのアドヴァイスなるものを頂戴したことがあります。

私からは、「私のメールマガジンは必要な人が読んでくれればいいので、発行部数増加には拘っていない。」旨回答し、上記のデュラスの文章も書いて返事いたしました。勿論私からの返事は丁寧な文体での文章です。
私としては、それが本音なので、そう言うしかなかったわけです。
面白くもない文章を書いてもしょうがありませんしね。

すると、その3600部さんから、逆上した文章の返事が返ってきて、困惑したことがありました。
私はその3600部のメールマガジンなど読んではおりませんでしたので(メルマガIDも書いていませんので、調べようがありませんし)あくまで自分のメールマガジンの考えを述べただけでしたが・・・

そんな風に逆上するから、発行部数3600部のメールマガジンの程度もわかっちゃうことになるのに・・・
まあ、私のメールマガジンは時間つぶしには向かないことは言うまでもないことですね。
R.10/11/16