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カテゴリー ダメダメ家庭の人からのメール
配信日 06年2月13日
タイトル 例文読解
さて、今回は前回配信時に予告いたしましたが、実際の購読者さんからのお便りのメールを取り上げて読解してみましょう。全文の掲載を快諾していただきました購読者さんには、心より感謝いたします。
この購読者さんの心情なり問題点は、ダメダメ家庭の多くの若い人に共通のものだと思っています。

かなりキツイ感じの文章になっていますが、私は、この人を責めているわけではありません。典型的な事例であるがゆえに、多くの人にとって参考になる、そう思っています。
問題点が明らかになれば、あとはこの人が、自分で何とかすればいいだけですからね。

***** 例文1 購読者さんからのメール(原文のまま) *****
ダメダメ家庭の目次録の一読者です。
メール作法の御無礼、御容赦下さい。名のらないなんて最低ですよね。

私もきっとダメダメです。MMを読んでいて、思い当たるところありまくりです。
ところで、このようなMMを書くことができる視点をお持ちのかたに御意見をいただきたいのですが。
私も、普通という言葉が大好きです。そして、普通って何?結局どうしたいの?としょっちゅう聞かれます。

ここからが問題です。私はその質問に答えてしまいます。質問者は「普通って何?」「結局、どうしたいの?」という言葉で私を窮地に追い込もうとしたのでしょうが、私は答えてしまいました。さあ、今度は、そんな質問をしてしまって答えられてしまった側が窮地です。論理的に反論してくれれば私も友好的にディベートするつもりですが、たいていは逆切れで、ジ・エンドです。

普通って何?結局どうしたいの?と聞かれたら、ダメダメは黙らないといけないお約束なのでしょうか?

直接御返信いただかなくても結構です。いずれMMのネタにでもしていただければ、と思います。
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できれば、もう1回読んでくださいな。
実際にこの文章をお読みになられて、どのような感想をお持ちになられますか?

「そもそも、じゃあ、この人の言う『普通』って、結局は何?」
「どうして、この人は、普通という言葉が好きなの?」
「質問された時には、具体的にどう回答しているの?」
「この人の、どこが普通なの?」
「結局、どうしたいの?という質問がどうして、相手を窮地に追い込む質問なの?」
「普通についてのやりとりが、どうしてディベートのお題なの?」
「どうしてディベートして勝敗をつけなきゃならないの?」
「ディベートで勝ったとしても、何がうれしいの?」
「そもそも、どうして名乗らないの?ハンドルネームくらい書けばいいじゃないの?」
「どうして、そんなにケンカ腰なの?」
「この人自身は、自分のダメダメを具体的にどのように自覚しているの?」
「このまま行ったら、この人どうなるのかな?」
このあたりは基本ですよね?

さて、私はこのメールマガジンで、ダメダメの問題を考える際には、「言われていること」よりも、「言われていないこと」を考える方が重要だと、何回も書いています。
このメールには、冒頭にあるように、メール発信者の名前が書いていない。世の中にはハンドルネームなるものがありますし、「MM(多分、メールマガジンの略なんでしょうね)」なんて表記を使っていることから、ハンドルネームというものについて知らない人ではないでしょう。

あと、この人の考える「普通って何?」が記載されていない。この人はその「普通が大好き」と言っておられるのに、「どうして好きなのか?」「どのようにその『普通』という言葉をとらえているのか?」という肝心なことが書いていない。実際にディベートではどう説明しているの?あるいは、よく質問されるという「何がしたいのか?」に対して、この人がする返答も記載されていません。実際はどう答えるの?それが重要でしょ?それくらい書けばいいじゃないの?相手が逆上する、しない、なんてどうでもいいこと。

あと、「直接的に返事は結構」とのことですが、その「結構」という言葉が「不必要」の意味なのか?それとも「不可」という意味なのか?よくわからない。多分、文章的には「不必要」で、心情的には「不可」なんでしょうね。

実は、この「記載されていない」部分を組み合わせると、実に「まっとう」な・・・いや、この人の言い方でいうと「普通」なメールの文章になります。
試しに、この私が書いてみましょう。

********* 例文2 ******

メールマガジン発行者さま
私はメールマガジンの購読者です。
ちなみにハンドルネームは「AA」としておきます。

発行者さんは、メールマガジン中で「普通」という言葉を否定的に見ておられるようですが、私個人は肯定的に見ております。
私は普通という言葉を「○○△△◇◇☆☆・・・・」という意味に考えていて、その普通という言葉を、実際によく使ったりしています。しかし、何気に使っていると、周囲の人から「その普通って何のこと?どういう意味なの?」と聞かれて、議論になることもあります。そのような時は、つい熱くなってしまって、冷静なやり取りにはなりません。
ということで、たびたび「普通」という言葉を取り上げている発行者さんに、私が考える「普通」の意味を、どのように考えられるか?ご見解をいただけませんか?

****************

こうなります。いたって「普通」の文章でしょ?その「普通というものをこう考える。」という箇所に入れる言葉は、人それぞれでしょう。しかし、一般的な文章のスタイルは、例文2の方でしょ?

最初に名乗って、自分の考えを述べ、相手の見解を聞く・・・別に難しい話ではありません。
逆に言うと、それができない理由こそが、この人の問題であって、それを内心では自覚し始めているから、私にメールしたんでしょうね。心の奥底では「このままではいけない!」と思い始めているんでしょう。

ここでちょっと、このメールの方のプロファイリングをやってみましょう。
1女性で、20歳台の独身、たぶん学生
2.地方都市在住
3.頭脳明晰
4.容姿端麗
5.実家は裕福

1. まあ、この人の言葉なり行動スタイルから女性らしいことがわかります。そして周囲には男の子も多くいそう。それに仕事の匂いとか、家庭生活の匂いはしませんから、学生か、それに近い年代の独身女性でしょうね。家庭を持ったらこんなディベートなんてしませんよ。そんなヒマないもん。それに人間には「議論のための議論」よりも、もっと重要なことがある・・・それがわからなければ大人とは言えませんよ。だから学生の可能性が高いのでは?それに男の子を言い負かす快感を味わいたいと思っているんでしょうね。多分、父親が権威主義的な人なのでは?

2. ディベートで逆上されてしまうそうですから、周囲の人たちのレヴェルが特定できます。こんな議論をして、「熱く」なるのは、東京では考えられませんねぇ・・・地方の純真な青年たちが思い浮かびます。それに、この文章レヴェルの人間に「言い負かされてしまう」んですから、周囲も大した「頭脳」とは言えない。ということで地方都市在住。

3. まがりなりにも、ディベートで「勝つ」のですから、頭がいいわけ。しかし、その明晰な頭脳がゆえに不満がたまる。おまけに周囲は純真な「ワカモノ」たち。この人の屈折した心情なんて到底理解できない。心情的だけでなく知能的にも理解できないわけ。だから周囲に理解者が存在せず、ますます不満がたまってしまう。

4. ダメダメ家庭は意外にも容姿端麗が人が多くいます。会話不全のダメダメ家庭は、親が結婚相手を会話の能力ではなく容姿で選んでしまった結果なので、子供の容姿も端麗になってしまうわけ。というか、この性格の人が容姿的にもブスだったら、誰も相手にはしませんよ。

5. 経済的な困りごとの匂いはしません。きっと、実家は裕福で、大学にも費用面での心配は何もせず進学することができた。だからこそ「結局は、何がしたいの?」という質問に緊張するわけ。だって貧乏だったら、何をするにも、まず最初に金銭的な問題がネックになりますよ。金銭的な問題がなく、「やりたいことができてしまう。」からこそ、その質問に身構えてしまうんでしょ?それに、なまじっか実家が裕福なので、現状を変革するのに躊躇するわけ。


しかし、現状を変革しないままだったら、どうなっちゃうんでしょうか?
それこそ、ここで「普通」というお題のディベートで、言い負かされて「逆切れ」した男の子と、このメールの人が、10年後に郊外のショッピングセンターでばったり会った・・・そんなシチュエーションを描いてみましょう。

ちなみに、メールの人がA、逆切れした男の子がBとします。

********* 例文3 *********
B「あれっ?!おい!Aじゃないか?久ぶりだなぁ・・」
A『えっ?B君?ホント、久しぶり!あれぇ〜アンタ 太ったわねぇ・・・』
B「そうなんだよ!学生時代から20kgも太っちゃって・・・・オマエは全然変わらないなぁ・・・学生時代のままだよ!」
A『そおお?あれっ?横の人、奥さん?』
B「そうそう、4年前に結婚して、あと、コイツは2年前に生まれた・・・オレも、もうオヤジだよ。」
A『ホントねぇ・・・』
B「そういや、オマエ、学生時代には、普通ってことで、よくオレに説教していたよなぁ・・・今のオレは、まさに普通だよ。普通の会社、普通の女房、普通の家庭。オマエは今どうしているの?結婚したの?」
A『結婚はまだ。』
B「オマエは昔からスゴかったからなぁ・・・オマエに釣り合うオトコなんて滅多にいないよ。で、仕事は?」
A『まあ、色々と・・・』
B「そうか!オマエは、お父さんの会社もあるしな!オマエはいいよなぁ!オレなんかのような凡人とは違うよ!」
A『そんなことないわよぉ〜、ワタシは普通よ!』
B「まあね(苦笑)・・・じゃあ、たまには昔の話でもしようよ!じゃあな!」

************************ 
このまま行くと、こうなっちゃうでしょ?
普通という言葉が大好きで、普通というネタで舌鋒鋭く相手を「やりこめて」いた人が、「普通」の生活ができるの?
そんなことは小学生でもわかりますよね?

「普通」というものは、信念をもって「語る」ものではなく、なんとなく真面目に生きてきた結果がそれでしょ?
逆に、それがなんとなく見えてくるようになったから、危機感が出てきて、焦ってきた、そして私にメールしたということでしょうね。
今のままのこの女性と結婚しようとする、マトモな男性はいませんよ。誰だってそれくらいはわかりますよ。だって、この人は会話ができないもの。一緒にいて楽しくないでしょ?

「普通」の男性や、「普通」の結婚や、「普通」の家庭とは最も縁が遠い状態。そして地方都市の中で、周囲に理解者がなく、不満だけが増幅してきている状態。

やっぱり場所を変えないとね。
このメールマガジンの購読者さんので、実際にダメダメ家庭出身者の方はそう思うでしょ?特に地方出身の方は・・・

しかし、この人には、多くの恐怖感があるわけ。
それこそ、実家が裕福なために、今の生活レヴェルを失いたくないと警戒している。
それに「会話への恐怖」があるわけ。
だから名乗らない。ハンドルネームなんて「A」でも「○×」でもいいじゃないの?しかし、会話の状態になることへの恐怖感があるわけ。だから会話ではなくディベートに持ち込んでしまう。対等な関係同士のやり取りができない。

ハンドルネームがないことを含めて、メールのやり取りだって続かないような工夫があるわけ。もちろん無意識的な話ですが・・・
会話の能力がないので、縁が広がらない。だからますます「旅立つ」ことに躊躇する。

ディベートの結果は勝敗でしょうが、会話の成果は相互理解でしょ?
自分自身から逃げて、自分自身がわかっていない人は、相互理解もヘチマもないわけ。だから会話を恐怖する。

会話の相手に対して、「これだけは絶対にわかってほしい。」「どうしても語っておきたい。」そんなことって一体何なの?
どうしても語りたいことがあれば、論理構築の完璧さを目指すのではなく、自分の信念をしつこく語ればいいだけでしょ?
それでもわからないような人には、何を語っても無意味ですよ。
メールからはその信念がわかりませんよね?だって、信念があるのなら「ワタシは普通を○○と考える。」と書けばいいだけ。その肝心な言葉がないんだから、何とも言いようがない。

自分が本当に語りたいことを、会話の相手が聞いてきたら、私だったら「待ってました!!」「よくぞ聞いてくれた!」と大喜びですよ。「ワタシを追い込もうとしている!」なんて身構えたりしませんよ。この人が「普通」ということを語りたいなら、相手が聞いてきたら喜ぶのがスジ。それだけ、自分の考えに自信がないわけ。しかし、持ち前の頭脳で自分の自信のなさを隠して、必要以上に『大きく』見せている。

地方都市の善良で凡庸な人間の中で、いっぱしの利口ぶっているけど、所詮は地方の話。生兵法は大怪我の元。
東京などの大都市に出てきて、多くのヘンテコな人間とやり取りすれば、自分自身のキャラクターをより相対化できるはずです。それに大都市だったら、多くのヘンテコ人間だけでなく、ちょっと変わった芸術作品に触れる機会だって多いでしょ?そんな作品と触れることによって、「ああ、100年前のこの人も、ワタシと同じことを考えていたんだ!」とわかったりするもの。それだけでも救われるわけでしょ?

地方というところは規格品の人間には、住みやすいところですが、ダメダメ家庭出身者という規格外の人間には住みにくいわけ。それに加えて、このメールの人は、頭が「それなりにいい」と来ている。そうなると、ますます「浮いて」しまい住みにくいわけ。しかし、大都市だと地方都市ではめぐり合えない規格外の頭脳だっていますよ。

自分が本当に語りたいことがあるのなら、自分の話を理解できる「語る相手」を探すことも必要でしょ?自分の話を理解できるそんな相手は滅多にいないと思うのなら、100年後の未来の人に宛てて文章にでもしてみたら?

ダメダメ家庭の人間は、まずもって自分自身から逃げているわけ。
そして「自分はどうしたいのか?」自分自身でもわかっていない。
このことは、このメールマガジンで何回も書いています。
自分自身への不満を、周囲の人間の知的レヴェルへの不満にすりかえてしまっているわけ。しかし、この人の周囲の人間の頭脳は、「普通」の生活をするには十分な頭脳でしょ?重要なことは自分自身でしょ?

自分自身を改善するには、まずは自覚することから。
この女性は、その自覚に伴う恐怖の前で、色々と葛藤している状態なんでしょうね。
その恐怖を自覚したくないので、周囲にいる善良で凡庸な「よい子」に八つ当たり。

そんな時期もあってもいいんでしょう。問題は、ここで止まってしまうのか?これから前に進めるのか?それでしょ?
このままで止まってしまうと、今の端麗な容姿が、やがて社民党の土井さんのような顔になっちゃいますよ。
そういえば、あんな顔の人ほど、この「普通」なんて言葉をよく使ったりするものですよね?


終わりに、このメールの原文の掲載を許可していただいたこと、重ねてお礼申し上げます。
このケースが、典型的な事例であることをお分かりの方も多いと思っています。
問題の顕在化を通じて、ダメダメ家庭の問題が、より共有化できれば、この人だけでなく、別の多くの方も救われることになるのではないか?と思ってこのようなスタイルにしてみました。
何回も書きますが、私はこの人を責めているわけではありませんよ。自分の前に存在する困難な道を自覚しましょうよ、と言っているだけです。

(終了)
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発信後記

またまた、長〜い文章で申し訳ありませんでした。
しかし、購読者の中には、このメールの人が、「かつての自分」とダブル思いをされる方もいらっしゃるでしょう?
そのような方には、私のコメントが的外れではないことがわかっていただけると思います。

このメールの人も、掲載を許可したのですから、それなりに危機感はあるわけ。重要なことはそれを顕在化し、自覚すること。今回の私の文章が、そのお役に立てば、私の喜びです。
R.10/11/27