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カテゴリー 事件の前
配信日 07年3月23日 (10年9月27日 記述を追加)
タイトル リスクに対する備え
ダメダメ家庭の人間は、やたらケチくさい。
それこそ「費用対効果」のような考えをスグに持ち出す。
「そんなことにお金を使って、何が得られるんだ?」
そんな言葉が頻発している。

もちろん、ムダ使いが美徳と言うわけではないでしょう。しかし、いつもケチケチでは息が詰まってしまうでしょ?それに、そんなに「費用対効果」を重要視するのなら、そもそもどうして子供なんて作ったの?
「ワタシの老後の面倒を見させるため・・・」「そのための必要経費だ!」「子供なんて、好きではないけど、まあ、しょうがないなぁ・・・」
まあ、そんなところですよね?
ダメダメ家庭では、子供なんて家畜の一種となっている。

そもそも、ダメダメ家庭においては、自分たち自身の明確な目標もない。
『どんな感じで生きて行きたいの?』と人から聞かれると、「ふ・つ・う」と答えるだけ。
そうして、何も考えずに、「て・き・と・う」に生きている。
そして、常に減点法で、「アレをしたら、こんな点が問題になる。」とか「それをしたら、こんなにお金が掛かる。」そんなことばかり。

しかし、以前より書いていますが、ダメダメになってしまえば、ラクなもの。だって、ただ周囲の人に合わせているだけで、自分で考えなくてもいい。つまり、自分で考えた上での結果責任を取らなくてもいい。だから、トラブルが起こっても、「ワタシは悪くない!」と主張する事になる。
逆に言うと「ワタシは悪くない!」なんて弁解を言えるように、ますます自分で考えなくなってしまう。

自分で考えることをせずに、考えることと言ったら減点だけなので、結果的に大きなトラブルに巻き込まれてしまう。
「自分たちの前には、どんなリスクがあって、どんなトラブルが想定されるのか?」
そんなことは、何も考えない。
考えることと言ったら、「そんなことをすると手間がかかる。」「費用が発生して、面倒だ!」そんな目先のマイナスくらい。

それこそ健康診断のような状況を考えてみましょう。
健康診断で、何かが達成できるわけでも、お金が儲かるわけでもないでしょ?得られる成果としては、自分自身の身体の問題点がチェックできることになります。つまり大きなトラブルにならないように、準備する・・・それが健康診断の目的と言えるでしょ?

同じようなことは、保険などでも言えますよね?
「保険によって、何かプラスの面を生むわけでもないけど、最悪のケースを想定すると必要かなぁ・・・」そんなところでしょ?だから、「じゃあ、自分たちにとって最悪のケースってどんなことなのか?」そのことを明確に意識しないと、逆に不必要なまで保険を掛けることになってしまうでしょ?
保険を掛けないことに徹するのも一つの考えですが、その結果として過剰に警戒してしまって、その切羽詰まった心情により、実際のトラブルになってしまうことも多い。保険というのは、安心を買うという面だけでなく、精神的余裕を買うという面もあるでしょ?
しかし、余裕ばかりが膨らんでも、何も意味はありませんよ。
保険金の支払いで、家計が破綻なんて、ギャグそのものですよ。
何事もバランスが重要・・・なんですが、そのバランスを考えるためは、自分自身の目標と現状とリスクについての認識が必要でしょ?
まあ、保険金で家計が破綻というケースよりも、ダメダメが陥りやすいのは、そもそもリスクをまったく想定していないケースです。

最近、面白い事件がありました。
愛知県の自動車関係の会社が、中国人のスパイに機密情報を盗まれた事件です。
スパイと売春婦は、世界最古の職業として有名ですから、昔からあるわけですし、今も存在しますし、将来もなくならないでしょう。逆に言うと、ありふれた職業であり事件と言えるかも?

中国人のスパイそのものは、彼らなりの使命感なり職業意識に基づいて仕事をしただけですから、ある意味において見上げたものですよ。中国国内でデモで集まってワイワイ騒いでいるだけのチンピラ中国人とは、モノが違いますよ。まさにリスクをとって一人で敵国に潜入したんですからね。
その中国人スパイの能力はともかく、よりにもよって中国人当人に機密情報を盗まれるって・・・いかにその会社が普段からリスクについて何も考えていないのかについてよく判りますよね?

だって、もし、購読者の皆さんが中国の情報機関の責任者だったら、機密情報を盗み出すのには、どうしますか?
私だったら、こうします。
まずは、ターゲットの会社を決める。このターゲットは、それなりの技術があって、そしてワキが甘い組織。技術力よりも、ワキの甘さを優先させる。
まずは、息のかかった技術者をその組織に潜入させ、内部における技術の「流れ」を調べる。

「情報の流れ」が分かったら、情報が集まる部署の人間に狙いをつけて、「色仕掛け」。
機密情報は、その「落とした」日本人経由で取っていく・・・
まあ、これが常套手段でしょう。潜入した中国人本人が機密情報を入手できるなんて、最初から想定していませんって・・・いくらなんでもねぇ・・・

情報が集まる部署の日本人なり、情報を持っている日本人経由で取らないと、情報なんて取れませんよ・・・中国人が、いきなり機密情報にタッチできるわけがないじゃん?
・・・まあ、常識的には・・・
ちょっと前にヤマハで無人ヘリコプターの中国への不正輸出事件がありましたが、マトモに考えれば、あんなヘリコプター数台輸出しても、ヤマハにとっては利益も微々たるものでしょ?経済合理的に判断すれば、中国へ輸出なんてしませんよ。
だから、あの事件のウラには色仕掛けがあったことが簡単に見えてくる。
落とした人物を通じて、間接的に情報を取るわけです。
しかし、今回の自動車関係の会社では中国人が直接情報を入手って、ちょっとした驚愕モノ。
いかに普段から何も考えていなかったのか歴然としていますよ。
もちろん、「色仕掛け」で落ちた日本人社員も、まだその会社内に潜んでいるでしょうね。

リスクというものは、色々なものがあるでしょ?
普段から考えていないと、最悪のケースになってしまうんですね。
「ムダを省いて、情報の流れを円滑にして、利益を上げていこう!」なんて言うのはいいとして、リスクのことも考えないとね。「行け行けドンドン!」で、結局は大きな損失って・・・それこそJR西日本でもありましたよね?

その手の人たちは、自分たちのリスクがどんなところにあるのについて全く考えない。その分経費を削減できることに目が行ってしまう。
それこそ、家庭においてだったら、健康診断を止めればその分のコストが浮く・・・そんな発想なんですね。
そして、ドンドンと切り詰めていくことになる。
「アンタたち・・・そんなことでは、将来ドッカーン!と行くことになるよ!」なんて警告してくれる人を遠ざけてしまう。
警告してくれる人を遠ざけるだけでなく、『ああ!ここにいると、周囲から色々と言われてしまって鬱陶しい!』と、ダメダメな環境に引きこもってしまって、目先のことばかりに邁進。結局は、大きなトラブルとなってしまう。

まあ、会社経営については、考え方も色々とあるでしょう。
しかし、家庭においても、自分たちの前にはどんなリスクがあるのかについて、ちゃんと把握しないと運営できないでしょ?

それこそ住む場所の問題だって、「地価が安い場所が最終的にコストが安くつくのか?」というと、そうとは単純に言えない。地価が安い地域はリスクは高いもの。
色々なトラブルも起きやすい。
だから、本来は、そのトラブルへの予防も必要になってくる。いざ、ことが起こってしまったら、その面でノウハウを持っている人からのサポートも必要になったりする。

トラブルを予防するということは、想定しているトラブルについてよく分かっている人の見解を取り入れる必要があるでしょ?
そんな人は、解決するための知恵を持っているわけですが、そのようにならないための方策も分かっていますよ。
だから、ことが起こる前に、厳しい指摘をしたりする。
そんな指摘は、ことが起こってしまった後では、それなりに聞くことができるわけですが、ことが起こる前には、やっぱり鬱陶しいもの。
「うるさく言ってくる人は放っておいて、自分たちの流儀でノンビリやりたい・・・」と思うこと自体は、まあ、人間は誰しもそんなものでしょう。
逆に言うと、平時において、みんなが幸せということは、トラブル時への準備をまるでしていないといえるでしょ?
国であれ、会社であれ、家庭であれ、学校においても、耳の痛いことを言う人、荒れ野で声を叫ぶ人を排除してしまったら、結局は、トラブルへの備えを回避しているということですよ。
トラブルの予防策を取っていないがゆえに、実際にトラブルになってしまう。
しかし、そんな流れは、昔のマキャベリが指摘するまでもなく、衰退する組織においては、いつの時代でも、どんな場所でも起っていること。

そして、実際に起こったトラブルの対処として、大きな負担が発生することに。
それこそ、パソコンデーターのバックアップなんて、典型的にそのパターンでしょ?
日頃からバックアップをしていれば、どうということではないのに、それをサボるから、後でとんでもないことになってしまう。
『できるだけ頻繁にデーターをバックアップしておいた方がいいよ!』というアドヴァイスを無視した挙句が、「あ〜あ、どうしよう!」と、嘆き、そして莫大な費用発生だったり、データーの損失だったりする。
『常日頃からバックアップをやっておけ!』という鬱陶しい言葉の意味がわかった頃には、まあ、修復不可能になっているもの。
家庭問題においても、まったく同じなんですね。
リスクに対する備えは何も生まないわけですが、集団を運営していくには必要なことなんですね。逆に言うと、その備えについて考えもしないということは、当事者意識を持って集団を運営していないということ。

リスクをちゃんと認識した上で、どのような判断をしようと本人の勝手でしょう。それこそパソコンのバックアップも、そのパソコンをインターネットの閲覧しか使っていないのなら、バックアップも必要ないでしょう。それぞれのリスクを個別に検討すればいいだけ。しかし、ダメダメというものは、リスクについては、そもそも考えもしない。
ダメダメ家庭の人間は、抑圧的であり、そもそも考えることや判断することが心理的に怖く、逃避している。ただ、言われたことに従っているだけにしたい。
しかし、リスクに対する備えのようなものは、アドヴァイスに従わず、目先の減点に過剰反応して、「もったいない!」と否定してしまう。
そうして、トラブルが現実になっても「どうしてこんなことに?ワタシたちって、何てかわいそうなの?」「ワタシたちは何も悪くないのに!」と嘆くだけ。

リスクに対する「備え」が無かったら、そんな事態にもなりますよ。
まあ、そんな「備え」をしていない組織が、「ドッカーン!!」となったら、周囲の人は同情してくれるの?
そんなわけがないでしょ?
周囲の人が思うのは、「あ〜あ、やっぱりこんなことに!アイツらバッカじゃないの?」

(終了)
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発信後記

今回のようなことは、以前ですと「お金の使い方」というお題で配信しております。
ムダ使いがいいわけではありませんが、何がムダと言えるのか?それって、当人たちの現状認識なり、目的意識次第でしょ?
周囲に合わせて「ふ・つ・う」でいいや!と思っているから、重要なリスクに対応できずドッカーン!となってしまう。

リスクと言っても自然災害のようなケースと、人間による犯罪に近いものでは違いがあります。
人間によるものは、その人間の思考を読めば、それなりに対応できるもの。
ダメダメな人間は、ダメダメなりの論理で動いているわけですから、このメールマガジンを理解できれば、かなりのリスクが認識できるようになると思います。

見過ごされていても、実にわかりやすい例が多いんですね。だから、ほとんどのケースで事前に準備することは可能なんですね。
R.11/1/31