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カテゴリー ダメダメ家庭の被害者意識
配信日 07年11月13日
タイトル 被害者への対抗心
ダメダメ家庭の人間は被害者意識が強い。
この言葉は、もう、お約束と言えるくらい。

「ワタシはかわいそうな人間なのよ!」と思っているから、自分では何もしない。だって被害者が自分で行動する必要はないじゃないの?「加害者の側」が考えてよ!
そうなっちゃいますよね?
本人は、勝手に自分を哀れんでいるだけ。

しかし、ことは単純には行かない。
「ワタシはかわいそうな人間なんだ!」と思っている人は、やがてこのように「進化」してくる。
「ワタシが『一番』かわいそうな人間なんだ!」
「他の誰よりも、このワタシが、かわいそうな人間なんだ!」
そのように確信を持ってしまうわけ。

そもそもダメダメ家庭の人間は、序列意識が強い。コミュニケーションが命令と服従しかないので、序列が重要になってくる。自分が命令を下す側なのか?服従する側なのか?その点が明確でないと落ち着かないわけです。だから、勝ち負けにこだわり、なおのこと「一番」にこだわるわけ。

本人が自分自身をどのように思おうと勝手でしょう。周囲としては、そんなダメダメ人間を、「避ける」のが「一番」。
しかし、『一番』かわいそうな人間という最高ランクの被害者意識は、被害者意識が強い人間には、心地よい。
「ワタシもここまで上り詰めたんだ!自分で自分をホメて上げたい!」
ギャグを書いているようですが、実際に見られる光景でしょ。

だから、そのような最高ランクの被害者に到達するために、本人だけの「努力」だけでなく、たとえば子供が嫌いなのに子供を作って、更なる不幸に突進する。
「子育てによって、人生を棒に振ってしまった!」「ああ!ワタシは子育てによる被害者だ!」「ワタシって、なんてかわいそうなの?!」
そんな親に育てられた子供がマトモに育つわけがなく、そもそも心の奥底では、自分の子供をマトモに育てる気なんてさらさらないわけですから、まさに予定通りにダメダメな子供になり、家族そろって不幸な一家。
そして、待望の「ああ、どうしてウチはこんなことに?!」「こんなにかわいそうな人間って、他にいないでしょ?」「ああ!ワタシが一番かわいそうな人間なんだ!」
だから・・・みんなワタシに構ってよ!

このような本人の努力によって、自分の不幸を向上させていく、努力家タイプの被害者意識もあるわけですが、それとは違った方法で、「一番の被害者」というステータスを獲得する・・・そんな人もいるわけです。

このメールマガジンで度々言及していますが、日本でフェミニズムの闘士として活動なさっておられる女性がいらっしゃいますよね?
その女性は、「北朝鮮に拉致された人たちは、過去の日本の所業からみればたいしたことはない!」とか、「原爆で死んだ広島の人は、日本がやったことを考えれば当然だ!」そんな感じで語っているらしい。
もちろん、いささか扇情的に伝えられている面もあるでしょう。
ただ・・・・あの人だったら言いそうだな・・・とも思うでしょ?
まあ、上記のコメントに続く言葉と言えば・・・「様を見ろ!」ですよね?
原爆で死んだ人や、拉致された人に「ザマーミロ」と言っても、本来はしょうがない。

しかし、「自分が『一番』の被害者なんだ!」と思って、その被害者意識に酔いしれている人間にしてみれば、自分よりかわいそうな人間の存在が許せないわけ。
このようなことは、被害者競争ということで、以前に配信しております。
被害者意識の強いダメダメの世界では、より「被害が大きい」方がランクが高い。
最初に書いたように、自分の努力で自分の不幸を進化させていくパターンもあるわけですが、自分のライバルとなる「被害者」を叩いて、「自分の方が上だ!」と言うケースもあるわけです。

新たな「かわいそう」な人間を見つけると、「一番かわいそうな人間」という自分の立場を脅かすライバルとして認識してしまう。さながら下克上におびえる戦国時代のお殿様。
「ワシの地位を脅かそうとしているのか?」
「そんなことは許さないぞ!」
「オマエの立場をわきまえさせてやる!」

自分自身にやりたいことがあるのなら、つまらない発言をして、無用の敵を作るのは損でしょ?どうしてもやり遂げたいことがあるのなら、それに協力してくれる味方を増やすのがスジというもの。
しかし、まさに当事者意識がなく、被害者意識だけがあるダメダメ人間にしてみれば、自分自身にやりたいことなんてあるわけもなく、唯一実現させたいことは、「自分が一番かわいそうな人間だ!」ということを、周囲に認めさせることだけ。

そして、「自分が一番かわいそうな人間」と認めさせれば、ダメダメ家庭の序列意識によって、王様気分になることができるわけ。
「どっちが勝つか?負けるのか?」という問題は、序列意識が強いダメダメ人間にしてみれば、きわめて重要な問題なんですね。
そうして、「最高の序列」を獲得して、「気分はもうサイコー!」

しかし、だからと言って・・・どうなるの?
被害者の横綱になったからと言ってもねぇ・・・
しかし、彼女の行動を理解するのには、そのような心情がアタマに入っていると、簡単に理解できるでしょ?

まあ、彼女の子供時代に、テレビを見ながら、彼女の横で親がこんな感じで言ったんでしょうね。
「大きな事故だなぁ、沢山死んじゃって・・・フンっ!ザマーミロ!」
「あんな不幸なんて、オレの境遇に比べればたいしたことはないじゃないか!」
そして、子供を見ながら・・・
「いったい誰のために、こんな苦労をしていると思っているんだ!」「オマエなんかより、オマエを育てるオレの方が、もっと苦労しているんだぞ!」「オマエは何も苦労がなくていいなぁ・・・」

ダメダメ家庭では、ありがちな光景ですよね?
そんな光景から出発すると、彼女の珍妙な行動や発言も理解できるわけ。
まあ、「ワタシが一番かわいそうな人間なんだ!」という信念だけが、頼りになっちゃいますよ。
もちろん、理解するのはともかく、同意したら真性のダメダメですが。

この手の、「自分が一番かわいそうな人間なんだ!」という状態を気持ちいいと感じる人は、他の被害者やその他の気の毒な方に対抗心を持って、そのような人たちをけなすようになるわけ。
たとえば、身体などに障害のある人をライバル視したりするわけ。あるいは、それを自分で認めたくないものだから、過剰に同情したり・・・

障害のある方との付き合いなんて、相手から頼まれれば、必要に応じた形で配慮すればいいだけでしょ?「えっ、こうしてほしいの?わかったよ!ハイ、どうぞ!」でオシマイ。
しかし、被害者意識の強いダメダメ人間は、自分自身の敵対心が抑えられない。どうしても「ぎこちない」対応になってしまうわけ。

北朝鮮に拉致された人も、原爆でお亡くなりになった方々も、障害のある方も、必要に応じて配慮し、対策を取る・・・それでいいわけでしょ?
しかし、ダメダメ人間は、自分がアタマの中でやっている被害者競争に強引に巻き込んで、ライバル視。
そして、そのライバルをボロクソにけなして、「はんっ!ザマーミロ!」
さすがに、あのフェミニズムの闘士の女性ほどに重症な方は、そうはいらっしゃいませんが、似た発想をする人は、結構いたりするものなんですね。

そもそも「ワタシが一番かわいそうな人間なんだ!」と思うのは勝手ですが、常識的に考えると、そんな人は「ワタシが一番幸福な人間なんだ!」にはならないでしょ?
しかし、被害者意識が強いと、その2つが結びついてしまうわけ。
だからこそ「更なる不幸」を獲得することによって、「更なる幸福」に到達しようとする。

被害者としてしか自分自身を語れない人は、その被害だけが、自分のアイデンティティとなってしまう。だからこそ、そのアイデンティティを守りたいわけ。
一番かわいそうな人間ということが、その人のアイデンティティなら、それを守るための言動をする。
しかし、それが珍妙に見えるのは当然のことですよね?

(終了)
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発信後記

本文中で取り上げた、フェミニズムの闘士の方ですが、私はその方を非難するつもりは毛頭ありませんよ。
彼女の珍妙な言動から、ダメダメを考える視点を浮かび上がらせているだけです。
彼女の一番「かわいそうな」ところは、自分自身のことが何もわかっていないところ。

それは悲劇的であると同時に、喜劇的でもある。

自分の唯一のアイデンティティが「かわいそうな人間」となっている人は、悲劇的というより喜劇的な存在。
意外にも、ちょっと離れた場所から観察すると、笑える存在でもあるわけです。
皆さんは、そんな笑いものになる必要はありませんよ。
R.10/12/8