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カテゴリー ダメダメ家庭が持っていない発想
配信日 09年6月19日
タイトル 慈愛
「キャー!かわいい!」なんて、よく言われる言葉といえるでしょう。
それこそ女子高生だったら、いつも言っている・・・のかな?もう最近は、そんな言葉を言わないのかな?

そんな「キャー!かわいい!」なんて叫びながら、はしゃいでいる人間がダメダメ人間である・・・なんて申し上げるつもりはありませんヨ。
と言うか、ダメダメ家庭というものは、そんな「キャー!かわいい!」なんて言葉とは、あまり縁のない家庭と言えるんですね。

そもそもが、ダメダメな親は自分の子供をかわいく思ってはいない。しかし、一般的には、親が自分の子供に「かわいい!」と思うのが基本でしょ?自分の子供をかわいく思わない人間が、たとえ小さな動物を見ても「かわいい!」なんて思うの?
ダメダメ家庭と言うものは、そんな「キャー!かわいい!」なんて言葉が、めったに登場しない家庭と言えます。

たとえば、それこそテレビなどでは、動物の子供も出てきたりすることもありますよね?まあ、小さな動物がヨチヨチと動き回るのは、やっぱり、かわいいもの。
マトモな家庭を作る親は、そんな姿を見て「かわいいねぇ・・・」なんてニッコリ。

しかし、ダメダメ家庭を作る親は、そんな動物の子供の姿にも、「ふーん・・・」と気の無いリアクションとなってしまう。そもそもダメダメ家庭では動物をかわいがらない・・・そのことは以前に配信しております。役にも立たないペットなどを飼うような心の余裕なんてないわけです。ダメダメ家庭というものは、お金が貧しい家庭というより、心が貧しい家庭なんですね。

小さな動物の姿に関心を示さないダメダメな親も、動物の親が必死に子供を育てている姿には興味を示す。「ああ!子育てってやっぱりタイヘンなんだ!」そうして、「どの親も苦労ばかりだ!」と子供の前でグチる。

「かわいい」なんて心情を持っていないダメダメな親は、動物の子供のあどけない姿には関心を示さず、苦労する動物の親の姿の側に関心を示すって、ある意味において当然のこと。
しかし、そんな親の姿を見せられ続けた子供はどうなるの?

「子育てで、そんな苦労をするのなら、ワタシは子供なんていらないっ!」なんて思えるのなら、まだ救いがあります。それは自覚や判断の一種ですからね。
しかし、現実では、「子供の前で苦労を語る親の姿」を、当人も再現してしまうものなんですね。自分の親のように、「て・き・と・う」に結婚して、「て・き・と・う」に子供を作って、そして子供の前でグチる。
「ああ!子育てってタイヘン!」
「ホントに、みんなが言っているとおりだ!」
「ワタシの親も、子育てはイヤだって、よく言っていたわ!」

そんな親に育てられている子供は、親にこれ以上「被害」を与えるわけには行かないので、色々と気を使って、だからこそトラブルになってしまう。そして実際にトラブルになっても、親に気を使って、自分たちだけで解決しようとして、ますます深刻化する・・・そのような流れは、それこそドメスティック・ヴァイオレンスではおなじみのものでしょ?

ダメダメ家庭を作る人間は、「わあ!かわいい!」なんて、実にお気軽なセリフに縁がない。
逆に言うと、ダメダメ家庭を作る親って、簡単に見分けがつくわけです。
一般的に「かわいい!」なんて言葉が出るようなシチュエーションでも、そんな言葉が出て来ない。そして、親が言っていないんだから、そんな親によって育てられた子供も、縁が遠くなってしまう。皆さんが学生時代にやり取りした友人の中にも「わあ!かっわいいなぁ・・・」なんて言葉に対して、微妙な距離感を感じさせる人っていたのでは?と言うか、ご本人がそんなパターンの方もいらっしゃるかも?

そもそも「かわいい」とか「いとおしい」という感情は、人間だけに固有のものではなく、動物の次元で持っている感情のようです。いわゆるネオテニーと言われる幼児に特有の容姿の傾向は、特に哺乳類ですべての種類に見られるもの。幼児は、どんな動物でも、「かわいさ」を容姿的にアピールして、周囲からの慈愛を獲得するようにできているわけです。しかし、ダメダメ家庭の人間は、往々にして本能の次元から壊れていたりするもの。動物が本能的に持っている慈愛の感情も、ダメダメ人間は持っていないケースも多いわけです。

自分の子供を「かわいく」思わないダメダメな親も、「かわいい」なんて言葉を言う時があったりします。

それは他人の子供を誉める時。
ダメダメな人間は、「自分は子育てという面倒を背負い込まされた可哀想な被害者なんだ!」と自分を認定している。そんな人が考えることは、自分の被害のことばかり。
そして子育てを被害と認定しているので、子育ての面倒が多い方が、「よりレヴェルの高い被害者」であると考えている。

だから、自分の子供の出来が悪い方が、被害者としてのランクが高いわけ。それだけ自分の被害が大きいわけですからね。だから「あちらの子供の方がデキがいい」→「ワタシの子供の方がデキが悪い。」→「ワタシの方が苦労は大きい!」→「ワタシが一番の被害者なんだ!」
アタマの中では、そのように進んでいくことになる。

だからこそ、他人の子供の方がかわいく見える。
他人の子供のかわいさは、自分がかわいそうな被害者であるということにつながることになる。
そして、その他人の子供のかわいさを、ほめ称えることになる。
「まあ!なんて、かわいいお子さんなの?!」、
そして「そんな子供を持ったアナタが、うらやましいわ!」。

ダメダメな親は、他人の子供はかわいく見えても、自分の子供はかわいく見えない。だって、親である自分にとって、自分の子供は子育てという被害を押し付けた加害者なんですからね。
それこそ、以前に取り上げたトルストイの「アンナ・カレーニナ」では、アンナは自分の娘はネグレクトしているのに、赤の他人の子供を引き取ってかわいがっていました。自分の血を分けた子供は、まさに自分に被害を与える加害者・・・そのように認定しているわけです。親からそんな扱いだったら、子供だって親に懐くわけもなく・・・と言うことで、ますます「かわいく」なくなる。

そんな親は、周囲の人が自分の子供に対し「かわいいお子さんね!」なんて言おうとするものなら、逆に否定する。「ふんっ!そうじゃないわよ!この子は、いつもワタシに面倒ばかりかけて!」と、けんもほろろ。
自分の子供を誰かからほめられることは、「子育てによる被害者」という自己認識を否定されるようなもの。そんな発言は、ヘタをすれば敵認定につながってしまう。

親となると、自分が老いていく分は子供が成長するわけですから、親としての当事者意識があれば、自分の老いというものも、そのように肯定的に受け入れられることもできる。しかし、ダメダメ家庭では、親としての被害者意識があるんだから、そんな受け入れ方はできない。あるいは、親の側としても、本来は、歳を取った分だけ、知性的な成長があるはずですが、ダメダメ人間は、知性とは無縁となっている。だから自分の老いはマイナス面しかない。結局は「コイツのせいで・・・ワタシは迷惑をこうむった!」と自分の子供を恨むだけ。

よく、「ウチの子が一番かわいい。」なんて言葉がありますが、ダメダメな親は、「ウチの子が一番ダメダメ。」と思っている。そんな確信があるので、子供の可能性を伸ばしてあげようとは考えず、子供も本当にダメダメになってしまう。
前にも書いておりますが、「ウチの子が一番ダメダメ。」という発想は、「ワタシこそ一番かわいそう。」という被害者信念につながっていき、それが自身のアイデンティティになってしまう。だから、それ以外の発想を認めようとはしない。よく「かわいげのない子供」なる物言いがありますが、そんな子供の親は、自分の子供をかわいく思ったことがないんですね。

そんな親は、子供のうれしそうな表情を見ても、不快な気持ちになるだけ。
「コイツは楽しそうでいいねぇ・・・そのせいで、このワタシは・・・」と、子供に対してイヤミを言う。子供が笑顔で居られるようにするために、その分、自分が「持ち出し」行い、つまり被害を受けたと認識しているわけ。
これでは子供だってノビノビとは行きませんよ。周囲にオドオドと配慮して、ますます「かわいげ」がなくなってしまう。

「かわいい!」なんて言葉を、気軽に使えない・・・そんな人って、皆様の周囲に実際にいたりするでしょ?小さな動物なり子供を見ている周囲の人と目の表情がどこか違う人。
そんな人って、それだけ心の余裕がないわけです。まあ、被害者意識もあることが通例ですから、ヘタに関わるとまさに加害者認定されてしまうだけ。

しかし、現実的には、自分の子供すらかわいく思えない人間が唯一できることは子作りだけ。そしてそんな人間の相手をさせられるのは、その子供だけ。
何回も書いていますが、ダメダメの世界では、そういうものなんですね。

(終了)
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発信後記

最近は、文章がやたら長くなってきましたが、今回は比較的短い文章になっております。
ちなみに、7月において、あるテーマで長い文章を連続的に配信する予定です。
長い文章だと読みにくいのはわかりますが、いざとなったらプリントアウトしてくださいな。

プリントアウトしないと読めない長さの文章となると、「じゃあ、短い文書にしよう!」という解決策もありますが、「プリントアウトしても、その分の価値がある文章にしよう!」という解決策もあるでしょう。
どっちでもいいと思いますし、購読者の皆様も、ご自分にあった文章を選択されればいいと思っております。
R.10/12/24