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カテゴリー ダメダメ家庭の被害者意識
配信日 07年5月25日 (10年9月28日 記述を追加)
タイトル 被害を先に語られると弱い
「ダメダメ家庭の人間は、被害者意識が強い。」・・・なんて、いつもの書き出し。
ダメダメ家庭出身者は、本人に強い被害者意識があると同時に、その親も当然のこととして強い被害者意識がある。ダメダメ家庭出身者は、一般的に、親の被害者意識を受けついでいるものなんですね。本来は親の被害者意識の方が問題なのであって、その顕在化が子供の被害者意識・・・そうとも言えるわけ。
このメールマガジンで頻繁に書いていますが、ダメダメな親は、そもそも子育てだって、親である自分が背負わされた被害と考えている。

だから、子供にグチることになる。
「いったい誰のために、こんな苦労をしていると思っているんだ?」
「オマエを育てるために、ワタシの人生を棒に振った!」

そんなことを親から言われても、子供としてはどうすればいいの?
「産んでくれって、自分が言ったわけではないのに・・・」
子供が思うのは、まあ、そんなところ。と言っても、そう思っていても口に出しては言えない。そもそも親と子では圧倒的な勢力の差があるわけですから、子供が言葉に出しても、逆上されるだけ。それに、どうせ、ダメダメな親なんて、何を言ってもムダ。どうせ、同じグチを繰り返すだけ。
現実はそんなものでしょ?

ダメダメ家庭の子供は、被害者意識の強い親とのやり取りの経験を、そのまま引きずって、大人になるわけ。
子供の頃は、学校でイジメられていても、親には相談しないし、結婚後にドメスティック・ヴァイオレンスなどで、自分が死ぬほど困っていても自分の親には相談しない。子供を持って、子育てで困っていても、自分ひとりで解決しようとしてどんどんとドツボにはまるだけ。

あるいは、別の問題もあります。
ダメダメ家庭の子供は、自分がどんな考えや意向を持っていても、親から真っ先に「親の被害」を語られてしまって、それ以降はやり取りにはならないわけ。つまり「相手から先に被害を語られると対処できない」習性になるわけです。

ちょっとでも子供が親に対して困りごとを言おうとしたら、「オマエよりも、ワタシの方がもっとかわいそうなんだっ!」と逆切れされるだけ。
そんな雰囲気なんだから、子供としても、親の前では心頭滅却するしかない。

ダメダメ家庭では親が子供に自分の被害を語り、子供はそれを黙って聞く・・・それがダメダメ家庭の『やり取り』なんだから、被害を「先に」語られた段階で、自分の考えや感情を抑えてしまう・・・そうならざるを得ないでしょ?

まあ、親とのやり取りは実際にそうなってしまう。そして、そんなスタイルが大人になっても続くわけ。赤の他人が相手の場合でも、相手側の人が先に被害を語ったりすると、自分の意向なり感情を封印してしまうことがあるんですね。

それこそ、相手からクレームをつけられるケースがありますよね?
クレームを付けて来る相手も顔を真っ赤にしてご立腹。
そのクレームにも色々とあるでしょう。いわゆるクレーマーによるクレームの場合もあれば、そのクレームに妥当性がある場合もある。
いずれにせよ、クレームというものも、まさに「被害を語る」ものでしょ?

別のところでまとめておりますが、クレーマーに対して、反論はしてはダメ。
ヘタに反論をすると、「反論が反論を呼ぶ」やり取りになり、ますますクレーマーさんの気合いが入ってしまう。
クレーマーからのクレームに対しては反論をしてはダメなんですが、相手の話を、というか相手の感情を見極めていくことは常にしておかないといけないんですね。

反論しないということと、思考停止は全く別物。
しかし、「被害を先に語れると弱い」ダメダメ家庭出身者は、派手なクレームに直面すると、思考停止になりパニックになってしまうわけ。
そうして、その場をなんとか収めようと、相手に合わせた物言いをしたり、相手の主張を中途半端に認めてしまう。その結果として、相手側が「自分はこの人から被害者だと認定してもらった。」と思ってしまう。
クレームをつけてきた側が相手側から被害者認定を得たと判断したんだから、受けた被害に対する謝罪と補償を求めてくることは、理の当然。
だから、結局は、クレームがますます大仰なものになってしまう。

そんな流れは、10年9月に発生した、中国漁船?による事件での対応において、典型的なまでに見られたでしょ?
日本政府の首脳としては、相手の意向を見極めた上での対処ができず、大仰な怒りの表情にパニックになってしまったわけ。
そのようなことは、政治的な力量の問題というよりも、心理的な弱さがあるわけです。
逆に言うと、そんな点がわかっていれば、大仰な怒りの姿を相手に見せつけることによって、相手をパニックにさせることができるわけ。
周囲の事情に配慮する「いい子ちゃん」は、そんな大仰な怒りの表情にオロオロするばかり。

クレームのような被害を直接的に語られるケースばかりではありません。身体的な面でのハンディキャップのある方、いわゆる障害者の方が近くにいても、似たことは起こるわけ。
身体に障害を持っている・・・そのようなことは、いわば被害と言えるでしょ?そんな人が近くにいると、自分の思考そのものを封印してしまうわけ。
いわば、自分の子供時代に、親の方が先に被害を語った時と同じ心理状態になってしまうんですね。

だから、そんな場合には、非常なプレッシャーを受けてしまう。そしてストレスもたまってしまう。だって自分の気持ちを抑え込むわけですからね。その分だけストレスになりますよ。
たとえば障害のある方とのやり取りでも、その人の意向を聞いて、自分がそれに対応できるのなら、それに協力すればいいだけでしょ?
相手の意向と自分の都合や意向をそれぞれ調整するだけですよ。
相手方の意向を聞くにあたって、相手方のハンディに配慮して、じっくりと聞き取る・・・そんな必要はあるでしょうが、相手方の意向を聞き取り、それを踏まえた対応をするという基本は同じですよ。身体的なハンディキャップに対して配慮は必要でも、それ以上に重要なのは、その人が発している意向そのものでしょ?

しかし、被害者意識が強い親の元で育った人のケースでは、障害のある方とのやり取りは「被害者とのやり取り」、あるいは「相手から被害を語られる」と言った受け止め方になってしまうわけ。だから、問答無用に全面的にその意向を受け入れようとして無理をしたり、そもそも、そのようなことは何も考えたくないないので、完全な拒絶になってしまう。そんな無理が蓄積されてくると、結局は逆上することに。

たとえば、障害者のオリンピックであるパラリンピックは韓国では開催されませんでしたし、そのようなテレビ中継もありません。韓国では、そのようなハンディのある人たちの姿を放送すると、視聴者から苦情が来るんだそう。
「あんな気持ち悪いものを見せるな!」
なんだそうです。

まあ、そんな感想なり感情が、人間としてどうなのか?そのような問題は当然のこととしてありますが、そんなに見るのがイヤなら、テレビのチャンネルを変えればいいだけでしょ?

しかし、被害者意識が強いダメダメな人間は、自分以外の被害者との接し方がわからない。いつだって、自分の被害を語っているだけなので、自分以外で「疑問の余地のない被害者の姿」には抵抗があるわけ。自分自身が当事者意識を持って、相手の意向に配慮することなんて出来ない。被害と被害という関係があるだけ。そして、「どっちの被害が大きいのか?」という被害者競争の心理になってしまう。
しかし、それこそパラリンピックだったら、車いすなのが重要なのではなく、「どっちが多く点を取ったのか?」とか、「どっちが速く走ることができたのか?」という点が重要なんでしょ?

しかし、被害者意識が強い親の元で育った人間は、障害者の姿を見て、被害の面ばかり見てしまう。
だから、「先に被害を語られた」時の習慣に基づいて、思考停止になる。

逆に言うと、「そのような疑問の余地のない被害者とどのように接するのか?」、
あるいは、「自分より先に、相手の側から被害を語られてしまった場合には、どんな対応をするのか?」
そんな姿から見えてくるものもあるわけです。
当人からは直接的には、強い被害者意識は見えなくても、強い被害者意識を持つ親の元で育った経験が反映されている・・・そんなことがわかるわけです。被害者意識と言うものは、やっぱり連鎖するものなんですね。

被害者意識も顕在化しているケースばかりではないわけ。もっと心の奥底に潜在化しているケースもあるわけです。しかし、被害者意識なので、やっぱりバクハツしたりするもの。

自分の心に被害者意識があると、他者の被害に接することが難しい・・・
逆に言うと、その「ぎこちなさ」が、その人の、潜在的な被害者意識を証明しているものなんですね。

(終了)
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発信後記

ちょっと事件ネタが続いたので、今回は事件とは関係のないお題です。
このメールマガジンの基本的なコンセンプトは、自分たちが事件に巻き込まれないようにするためにはどんな点に気をつければいいのか?

むしろ、そっちの方であって、事件が起こってから、色々と考察するものではありません。

ダメダメ家庭の基本的な心理として被害者意識があり、その被害者意識はどんなところに見て取れるのか?それが早めにチェックできれば、事件に巻き込まれないで済むわけ。
被害者意識が強い人は、他者の「被害」というものに、「ぎこちない」対応になってしまう。
その「ぎこちなさ」が、まさにチェックポイントなんですね。
R.10/9/28