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カテゴリー ダメダメ土曜講座(トピック編)
配信日 09年5月2日
タイトル クレーム対応
ちょっと前に、北野誠さんという芸人さんが、「不適切発言」をしたとかで、すべての番組から降りて、謹慎することになりましたよね?
北野誠さんと言っても、私個人はちょっとわからない。

なんでも、毒舌を売りにしている方なんだそう。
そして、ご尊父は焼身「自殺」されているそう。

今回は、その北野さんの事例から、クレーム対応について考えて見ましょう。

まずは、クレームを受けた当事者の北野さんから考えて見ましょう。
毒舌って、別の言い方をすると「悪態」でしょ?

たとえ、厳しい指摘であっても、それが発し手の自己省察に基づいているのならまだしも、自己逃避の一環としての悪態は、聞いていても、しょーもないもの。

「自分もこんなことをしてしまうけど、あいつもやっぱりやっているなぁ。」そんな指摘であれば、たとえそれが指摘された人にとって厳しいものであっても、受け入れることができますよ。
悪態となると、自己省察から逃避していて、「他者の問題を指摘している」だけなので、聞き手にとっても身につまされるような厳しさはなく、だからこそ、聞きやすいという人もやっぱりいるもの。
自分自身でしっかり考えた上での指摘なら、論理的にも詰まった指摘にすることができますが、自己逃避に根ざしたものなら、感情的に悪態をつくだけになってしまう。

論理的な指摘なら、聞く側も論理を追わなくてはならない。それに対し感情的な悪態だったら、「ワハハ!」と笑っていればいいだけ。ダメダメ人間にしてみれば、論理とは無縁の断片的なものしか受け入れられない。
自分で自分を笑う」趣があれば、聞いていても楽しい面もありますが、「相手を必死で笑おうとした表現」は、むしろ、その発し手のコンプレックスを表していたりするもの。

どうやら、北野さんは、自己省察に基づいたタイプの厳しい指摘ではなかったようで、それが問題を大きくした理由でしょう。
北野さんは、結局は、心が弱い人なんでしょうね。

さて、クレームを受けて北野さんは、活動を全面的に自粛いたしました。
このメールマガジンも色々と逆上メールなどを受けたりいたしますので、クレーム対応も発生したりします。だからクレームについては、私なりにわかっています。北野さんはクレームを受けて、活動を全面的に休止ということなので、逆に言うと、「どんなところから、どんなクレームを受けたのか?」割と見当できるもの。

クレームを受けた際に、最初に考えなくてはならないものは、「それが一個人からのクレームなのか?」「組織というか集団からのクレームなのか?」という点です。

一個人としてのクレームの基本的な精神はコレ。
「ワタシは見たくない!」
抑圧的な人は、自分にとって都合の悪いものから逃げ回っている。見たくないものを、見せられてしまったから、逆上するわけ。
これは、トルストイが描く「アンナ・カレーニナ」さんがその典型。

逆に言うと、「見たくない」がその基本なので、そんなクレームを受けたら、その人に「見せない」ようにすればいいだけ。『ハイハイ、わかりました。処置いたします。』それでOKですよ。
そんなところで議論していても、面倒になるだけ。だって議論すればするほど、「見せる」ことになるでしょ?その分だけ、逆上も進行してしまいますよ。どうせ、「見たくない!」「考えたくない!」という人なので、そんな人に対して説明しても無駄。

クレームを受けた同じ内容を別のところでやっていても、そもそもが見たくない人なので、それをチェックするようなことはしない。それに後になって検証するようなこともしない。
なにせ、「見たくない」人なんだから。
個人からのクレームは、そのように、「とりあえず見せない」という処置でOKなんですね。
面従腹背に徹すればいいだけ。

ところが組織というか集団からのクレームだったら、そうは簡単にはいかない。
このメールマガジンに対するクレームで、組織からのクレームはいまだかつてないんですが、組織からマトモにクレームを食らったら、このメールマガジンも終了しているでしょう。

組織には、それだけのパワーがあるもの。
他のところで何をやっているのか?チェックもできるでしょうし、時間が経った後で、また同じことをやったらバレてしまう。そんな監視の要員やシステムも組織できる。組織というものは、そのようなパワーがある。そんな連中と事を構えたら勝ち目なんてありませんよ。マジで死んでしまいますよ。

しかし、逆に言うと、そんなパワーがあるからこそ「読みやすい」とも言えるわけ。
だって、組織というか集団を維持運営するためには、やっぱり官僚のようなものが必要ですよ。周囲の状況を認識し、もっとも合理的な判断をする官僚たちがいなければ、いくらトップにカリスマがあっても、組織は動きませんよ。それこそ、あのオウム真理教にすら、官僚に類する存在がいたでしょ?
逆に言えば、その官僚は、合理的な判断をするがゆえに、「読みやすい」。
パワーがあれば、そのパワーを使いこなす合理性が求められ、その合理性ゆえに読みやすいわけです。
合理的な判断であるがゆえに、相手にとっても対処もしやすいし、「どんな点や表現が地雷になるのか?」その点についても、見当を付けることが可能なもの。メチャクチャ書いていると思われている購読者さんもいらっしゃるかもしれない、このメールマガジンの文章ですが、意外にも、巨大な地雷は踏まないように注意しているんですよ。

組織にとって、まずもって避けなければならないのは、「騒ぎになること」それ自体。
だって、組織というものは、「失うもの」も持っている。パワーがあれば、それを失う危険と隣り合わせ。騒ぎになれば、たとえその騒ぎで勝利したとしても、第3者からの視線が発生してしまう。
つまり騒ぎにならないように、事前に処理するのが、組織がするクレームの基本。

個人からのクレームは、「当人自身が見たくない」ため、であるのに対し、組織からのクレームは、当人たちではなく「第3者が見ないようにする」ため・・・そんな違いがあるわけです。「自分が見たくない」のではなく、「人に見せたくない」という発想になっているわけです。

そのように考えると、今回の北野さんの事例は、わかりにくい。
「不適切発言」で謹慎・・・そんな発表自体が、騒ぎを誘発するもの。
それなりの規模の組織にいる優秀な官僚なら、そんなバカはしませんよ。
それこそ、北野さんのボスと示し合わせて、北野さんに飲酒運転でもさせて、電信柱とでも軽く衝突させて、飲酒運転での謹慎というストーリーを作ればいいだけ。
飲酒運転での謹慎という名目なら、それ以上は、詮索されないでしょ?その方が北野さんのためですし、後々の復帰もラク。

今回のように、「不適切発言」なんて言葉が踊ってしまうと、絶対に、「じゃあ、その発言はどんな発言なの?」なんて、騒ぎになりますよ。
クレームを付けてきた人は、北野さんを放逐して、大勝利なのかもしれませんが、そんな勝利は、上等ではないわけ。
だって、今まで北野さんの毒舌を受け流していた人たちもいるわけでしょ?
今まで流してきた人は、今回の騒動で、「痛くもない腹を探られる」ハメになりましたよね?
そんな人たちにしてみれば、北野さんに改めて立腹するとともに、ヘタクソなクレームを付けた側に対しても立腹していますよ。

今回のクレームを付けた側は、「ワタシは悪くない!」と主張し、「アイツに勝ってやる!」と、厳しい処置を取ったのでしょうが、その芸人には勝っても、「別のところからの評価を下げてしまった」わけ。

そんなことは、優秀な官僚がやることではない。
だから、クレームを付けてきたところは、大きな組織ではないこともわかるもの。ただ、北野さんが活動を全面的に休止ということなので、まったくの個人ではなく、それなりの組織を持っている。

一個人からのクレームだと、しばらく「見せない」ようにすればいいだけだし、大きな組織からだったら、相手を読んで対応できる。ただ、一個人の支配下にある小さな組織というものは、行動が読みにくい。そもそも活動を休止ということですが、じゃあ、再開の時にはどんな騒ぎになるのか?
大きな組織だったら、そこまで考えた上で、クレームを付けますよ。

騒ぎになった段階で、失うもの・・・
今回の騒動に限らず、ダメダメ家庭の騒動では、結構発生したりするもの。
相手に勝てばいい・・・なんて言っているうちは、逆に言うと、同じようなトラブルが発生したりするものですよ。

クレームを付ける際には、その人の「最後の一線」が明らかになるもの。クレームを付けてきたわけだから、逆上気味なのはともかく、支離滅裂な文言だったり、あるいは、やたら強圧的な表現だったりするもの。
たとえ見解が双方で異なっていても、あるいは、思想信条が違っていても、落ち着いた表現でのクレームなら、その後は良好な関係を築くこともできますが、現実ではそんなパターンはレアケース。

まさに、騒ぎが騒ぎを呼ぶ事態になってしまい、周囲からの視線が厳しくなる・・・そんなパターンが多いでしょ?

(終了)
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発信後記

ちなみに、今回の北野さんですが、その言動は、以前に取り上げた民主党の永田さんに近いのでは?他人のあら探しをして、悪態をつくスタイル。
末路が同じになるのかはわかりませんが、似たようなものになるんでしょうね。
あと、田中真紀子さんとも似ている。
人の問題を指摘する前に、まずは自分自身についての洞察が先でしょう。
自分自身を見つめた結果なら、それが対象となる人固有の問題ではなく、一般論としても説明できるでしょ?そうなると説得力も増しますよ。

あと、クレームを付けてきた側にしても、「自分の名誉を守るため!」と思ってクレームを付けたんでしょうが、結局は、無関係な第3者からの疑念の視線が発生しただけ。
処置するのなら、もっとスマートにやらないとね。
クレームを付けた側と付けられた側の当事者はまだしも、ホント、「痛くもない腹を探られた」第3者の人たちにしてみれば、「あのっ、バカっ!」と思ってしまいますよ。もし、大きな組織からのクレームだったら、その辺りは抜かりがないはずです。だから今回のクレームは、小さな組織からであることがわかるわけ。

何回も書いていますが、反論したりクレームを付けるのがダメダメということではなく、スマートにやらないと、第3者からの評価が下がるだけ・・・そう申し上げているだけです。
R.10/12/21