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カテゴリー ダメダメ土曜講座(事件・トラブル編)
配信日 08年11月29日 (10年11月25日 記述を追加)
タイトル 東京在住の漫画家さんに抗議している女性について
今週から、土曜日に、「ダメダメ土曜講座」というカテゴリーを設け、特定の事件を取り上げながら、その事件の心理を考えた文章を配信いたします。今後はどうなるかは今のところはわかりません。
まずは、試験的な運用です。

通常のメールマガジンの文章は、特定の事件を取り上げる際にも、その事件を理解するための最も示唆的な視点を中心に、文章をまとめております。あくまで視点を中心とした文章です。だから取り上げる事件を理解するだけでなく、別のダメダメな問題の理解にも役に立つように書いています。しかし、土曜日配信の文章は、むしろ事件そのものに焦点をあてた文章にいたします。
そして、言及する視点の詳細はバックナンバーを見ていただくようなスタイルにいたします。まあ、それこそテレビのワイドショーに近いスタイルと言えるのかも?

第1回目の取り上げるのは、ちょっと前から、騒動になっている東京在住の漫画家さん(楳図かずお さん)の邸宅への抗議を繰り返している女性たちの問題です。
その事件は、報道されていますから、皆さんもご存知でしょう。とある漫画家さんが、奇妙な外観の家を建てて、その家に対して、クレームをつけている2人の女性たちがいるんですね。
その女性たちの抗議のスタイルも、ダメダメ家庭の問題がわかっていると、実に理解しやすいわけ。

まずその女性たちの抗議のスタイルは、わざわざその邸宅を見に行って、「まあ、なんてヒドイの?!」と嘆きの声を上げていますよね?そんなにその邸宅の外見が気に入らないのなら、見なければ済む話。お隣さんではないようですから、見ないという対応を取ればいいだけ。
しかし、ダメダメな人は、わざわざクレームの場面を作ることがあります。
そうして、わざわざ「あら探し」をして、「まあ、ワタシって、なんてかわいそうなの?!」と言い出すことになる。
そうして、探し当てて得ることが出来た自分の被害を、人々に語りたいと熱望することになる。
それも権威主義的なので、国家認定の機関である裁判所が好き
相手方の意向も聞かずに、一方的に糾弾することになる。
まさに典型的な「つるし上げ」状態。
このような抗議スタイルは、市民団体などの活動家ではおなじみでしょ?
あるいは、着地点の想定なしにクレームをつけ続けるスタイルは、典型的な「クレーマー」。

抗議のスタイルから多くのダメダメが見出されるわけですが、じゃあ、その女性たちの家庭の中ではどうなっているでしょうか?
そもそも、妻がそんなクレーマー状態なのに、夫は何をやっているの?
しかし、ダメダメな夫婦においては、強圧的な妻と、「影の薄い夫」という組み合わせの例も結構あったりするわけ。
そして、夫はともかく、そんな問答無用のクレームをつけ続けている母親の姿を見ている子供はどうなっちゃうの?
しかし、ダメダメな親は、子供にそんな姿を見せるわけ。
つまり家庭内全体として「不寛容」な精神が支配している状態なんですね。

まあ、これくらいのリストアップなら、購読者の皆さんでもできるでしょう。
ここからは、私ならではの心理面の考察に入ります。

あの女性たちは、どうしてあの邸宅が気に入らないの?
その女性たちにとって趣味が悪いから?しかし、趣味は人それぞれ。
世の中には、趣味が悪いものなんていっぱいありますよ。それこそ趣味が悪いと思うのなら見なければいいだけ。その邸宅に、どうしてそんなに心理的インパクトを感じるの?

あの邸宅の写真を見れば思われる方も多いでしょうが、あの邸宅は、実に「子供っぽい」んですね。ヘンな話、小学校低学年の子供が工作で作ったものが、そのまま家になってしまった・・・そんな趣があるでしょ?
小学生はあんな工作をしますよね?

だからこその逆上なんですね。
ダメダメ家庭の子供は、子供体験が出来ていない。そもそも、ダメダメ家庭においては、「格の違いに対するセンシビリティ」がない。
ダメダメ家庭においては、親も子供も同格なんですね。序列の違いはあっても、格の違いはないわけ。そんな家庭では子供も大人と同じ対応を求められるわけ。だからダメダメ家庭の子供は、子供らしく生きることができない。

子供として生きることをしていないので、「子供っぽさ」との付き合い方がわからないことになる。
親からは、「いつまでそんな子供っぽいことをやっているの?!」「早く大人になれ!」と厳命されてばかり。
そんな家庭の子供は、子供っぽい楽しみとは無縁。
それこそ、子供っぽい服装を楽しむことはできない
あるいは、学校の工作での作品なども、親から酷評されたり、あるいは、親が侮蔑のまなざしを向けて、その工作を「ゴミ箱ポイ!」なんて事態になったりする。あるいは、作文の文章に対しても、「何なの?このツマラナイ文章?」と笑われてしまう。

そんな感じで、自分自身の子供っぽさを、親から言下に否定され続けた日々だったので、自分自身の子供っぽさとの付き合いができないわけ。子供っぽさが発現しそうになると、必死でそれを抑圧する習性がついてしまっている。
そんな「子供っぽさ」を抑圧している精神の目の前で、臆面もないほどに「子供っぽい」外観を持つ邸宅が登場したら、逆上してしまうのも、ある意味において当然なんですね。
だって、それまで自分の「子供っぽさ」を必死で抑えて生きていたんだから、まさにパニックになってしまうわけ。

このような状況は、たとえば、ダイエットのために甘いものを取らないようにして、我慢に我慢を重ねている状態の時に、目の前で甘いケーキをおいしそうに食べている人がいたら、腹が立つでしょ?
あるいは、禁煙の際にタバコを断って禁断症状で苦しんでいる時に、目の前でタバコをおいしそうにプカ〜と吸われたら、やっぱり腹が立つんじゃないの?

子供っぽさを抑圧している人も、まったく同じなんですね。

だからこそ、かつて自分自身が自分の親からやられたように、相手の子供っぽさを否定しようとするわけ。
子供っぽいものを見て、もっとも一般的で、もっとも適切な対応は、「笑う」というもの。
そんなものでしょ?だって別に危険なものではないんだし・・・ちょっと見て、笑っていればいいじゃないの?

しかし、まさに自分自身を必死で抑圧しているがゆえに、「笑う」という余裕ある態度が取れないわけです。

ちなみに、この抗議の声を上げているのは、いわゆる「市民団体」の関係といえる人でしょう。それに対し、抗議された側の梅図かずおさんは、芸術家と言えるかどうかは別として、創作者の範疇に属する人と言えるでしょう。
実は、市民団体と、創作者は、相性が悪い関係なんですね。
歴史的に見ても、市民団体というか、良識ある市民と自称する人たちとの間で、良好な関係を築いたアーティストなんて存在しないでしょ?
まあ、数少ないその例外が画家のルーベンスといえるでしょう。だから、「フランダースの犬」で、ルーベンスが言及されるわけです。
基本的に、アーティストと市民は対立するものなんですね。

市民団体の心理的な本質は、自分で考えたくない、自分で見たくないという自己逃避的な心理。それに対し、創作するにあたっては、自分で見て、自分で考えることが必須となっている。
それに、創作するにあたっては、様々な選択に直面する。
漫画だったら、どのようなキャラクターを使うのか?どんな展開にしていくのか?この人物をどのように描写するのか?・・・等々、無限の選択肢がありますよ。
その選択を回避していたら、何も作れませんよ。

それに対し、市民団体は、選択の場からの逃避が目的になっているわけ。
それこそ、彼女たちは、珍妙な建物を「見ない」という選択すらできないわけですからね。
このような例は、「こんにゃくゼリー」を買わないという選択ができないこととも共通しています。
選択と向き合う姿勢も、市民団体と、創作者は正反対となっているわけ。

歴史的にみても、創作された作品に対し、市民の側が、「不道徳だ!不穏当だ!」と抗議の声を上げることは、いつものこと。このようなことは、今回のような、いかにもな市民団体でなくても、一般市民でもそんな反応をするものなんですね。
逆に言うと、そんな抗議の声も上がらないような作品は、市民の「良識」の枠を壊すこともなく、いわば規格品的な、別の言い方をすると、単なる商品に過ぎないわけ。

頻繁に書いていますが、独裁的な支配者というものは、「あの支配者をやっつけろ!」という反抗の声には動じない。しかし、「あの支配者は実は何もわかっていないぞ!わかったふりをしているだけだ!」「王様はハダカだ!」という子供の声には、過敏に反応することになる。
だって、そんな子供の声こそが真実なんですからね。
だからこそ、そんな子供の声が出ないようにすることになる。

市民団体というものは、まさに、規格に安住することを求めている人たち。
だって、規格に安住していれば、自分で見なくてもいいし、自分で考えなくてもいいし、自分で判断しなくてもいい。
だからこそ、芸術家とは対立するものであるし、現実的には子供という存在にも対立しているものでしょ?
今回の抗議の女性の子供は、現在は家庭内でどんな状況なのか?
たぶん、親から押しつけられた規格に縛られて、窮屈な思いをしているんでしょうね。
逆に言うと、今の時点でその子供のサポートをしなければ、事件になってしまうわけです。
ダメダメな事件というのは、予想できたりするものなんですよ。

(終了)
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発信後記

今回のようなスタイルは、とりあえずのものです。
私としては、騒ぎになっている事項も、ダメダメが組み合わさっただけであることを示すことができればそれでOKです。
もし、文章のスタイルに、ご要望がありましたらご連絡ください。
あるいは、取り上げてほしいトラブルなり人物がありましたら、ご要望をご連絡いただければ、出来る限り対応したいと思っております。
R.10/11/25