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カテゴリー ダメダメ土曜講座(トピック編)
配信日 09年8月1日
タイトル 相棒の扱い方
もうすぐ日本の衆議院選挙となります。
政権をかけた、天下分け目の戦いと言ってもいいでしょう。

この手の天下分け目の戦いは、ある種の定石があるものです。主力と主力の激突というよりも、「主力軍とくっついている同盟軍をどう扱うのか?」
それがおもしろいんですね。

そもそも天下分け目の戦いなので、主力軍だけでなく、同盟軍も必ず参加している。しかし、同盟軍にも色々とキャラクターはあるもの。
スグに裏切りそうな、頼りのない連中だったり、
もともと実力がない、にぎやかし連中だったり、
主力と運命を供にする覚悟がある、見上げた連中だったり・・・

実力と忠誠心の組み合わせによって、色々なパターンがあるものでしょ?
だからこそ、その手の大がかりな戦いにおいては、その同盟軍から攻めていく・・・それが定石というもの。うまくいけば、敵側が内部から混乱していきますから、最初に敵の主力軍を攻撃するよりも効果は大きくなります。

それこそ、第二次大戦においては、連合国側は、へっぽこということでは古今無双といえるイタリアから攻め入りました。イタリアはあっさり降伏し、連合国側に寝返る始末。
最初にドイツを攻撃していたら、そうはいかなかったでしょう。

あるいは、日本の天下分け目の戦いといえる関ヶ原の合戦においては、徳川家康は、へっぽこな小早川秀秋に対して、威嚇射撃を行ったでしょ?
「おい!こら!態度をはっきりさせんかい!ここであいまいな態度を取ったりすると、後でどうなるのか?ワシは知らんぞ!」
へっぽこな同盟軍は、そんな威嚇にあっさり屈してしまう。
同盟軍の発想に関しては、身を持って知っている徳川家康というわけでしょう。

主力軍はそれなりに大所帯なので、色々と「あら」が見え、攻め手も多いように見えたりするわけですが、現実的には、それなりの「覚悟」を持って戦いに臨んでいるもの。
だって、勝てば天下を取り、負ければ打ち首なんだから、やっぱり真剣ですよ。
しかし、同盟軍はそうはいかない。
勝ったとしても、やっぱり2番手以降だし、負けたとしても上手く立ち回れば、損害は小さくて済む・・・だから、逃げ場とか、あるいは「高く売るため」の状況判断をしていて、同盟全体が勝つための状況判断はしていないことが多い。

マトモな同盟軍ならともかく、ダメダメな同盟軍の発想は、ダメダメ家庭の心理から簡単に推測できるもの。
そもそも、ダメダメな集団は自分たち自身で達成したいものがあるわけではないので、周囲からの評価に依存している状態。だからこそ「おだてに弱い」もの。

ちょっとおだてれば、「その気」になっちゃうことが多いわけ。
そんな歴史的な背景を思い起こした上で、この衆議院選挙を見てみると、結構おもしろいでしょ?
民主党の選挙担当の「小沢さん」は、天下分け目の戦いの鉄則に則している。

まず、敵の同盟軍から攻め入っている。
まあ、自民党の同盟の政党はへっぽこではないでしょうが、運命を供にする覚悟もないでしょう。ヤバクなったら撤退しますよ。

だからこそ、まさに威嚇射撃をすることになる。
威嚇ではなく本格的に攻撃すると、「自民党と運命を供にする覚悟」が芽生えてしまって、窮鼠猫を噛む事態になりかねない。「おいおい!ここで逆らったらわかっているだろうな・・・ただし、『気持ち』をコチラに見せてくれれば・・・」そんな意味の威嚇であり、同盟の分裂を誘う戦略なんでしょうね。

重要なことは、相手を「撤退」させることであって、殲滅することではないでしょ?
逆に、自民党の大将の「麻生さん」は敵の主力といえる民主党を攻撃している。
まあ、確かに民主党は攻め入りやすいといえるでしょう。いくらでも弱点がある。
かといって、やっぱり主力であることは確か。それなりの覚悟をもって合戦に臨んでいますよ。簡単には、打ち破れませんよ。

戦いの戦術としては、本来は、民主党の同盟軍といえる社民党から攻め入るのが鉄則。
だって、社民党は覚悟を持って合戦に臨んでいるわけではないでしょ?色々と「詰めて」いませんよ。だからこそ、有権者に対しては「社民党が政権に入ったら・・・こんな事態になる。」というアピールの方がインパクトが大きいでしょう。
あるいは、社民党の政策を取り上げ「それは政権に入ったら、実際にやるの?民主党と調整ができているの?」と攻めていけば、どんどんとボロを出していきますよ。
そうすれば、勝手に内部分裂していきますよ。

麻生さんは、外務大臣時代に、外務省の役人に「君たちは、アタマはいいけど、ケンカの仕方は知らない!」と言ったそうですが、「ケンカの仕方」と「戦の仕方」は違いますよ。ケンカしかできないのは、所詮はチンピラですよ。
組織が衰退するところでは、「軽いトップ」が持ち上げられるものですが、麻生さんもその典型でしょうね。

選挙と言うことでは、以前に小泉さんの選挙戦術についてまとめております。
彼の選挙戦術とオペラには近似性が見られる。
オペラというものは、人にウケルためのテクニックが詰め込まれているわけですので、選挙にもそのまま使えるわけです。

今回の選挙における小沢さんの戦略は、意外にも前回の小泉さんの戦略に近い。
キャラが立った候補者を上手に使っている。
いざ選挙となると、小沢さんはすばらしい!

ちなみに、オペラにおいて、へっぽこな相棒となると、モーツァルトの「魔笛」というオペラに出て来るパパゲーノがそのキャラクターがその代表と言えます。パパゲーノはタミーノという王子様の相棒になって、一緒に試練に立ち向かうわけですが、試練を課してくる側は、意志が固いタミーノではなく、へっぽこなパパゲーノに対して、誘惑の罠を仕掛けてくる。だからこそ、この「魔笛」において、舞台の上で一番活躍するのはパパゲーノなんですね。
パパゲーノはその「甘い罠」によろめき、引っかかりながら、王子様を助けていく・・・
オペラ「魔笛」はそんな感じで進行していきます。

選挙やオペラだけでなく、多くの事態において、へっぽこな相棒が目立ったりするものでしょ?戦いだって、主力から見るよりも、同盟軍から見た方がおもしろいものですし、人を見るなら、その友人から見ればよくわかる・・・そんなものでしょ?

(終了)
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発信後記

何でも、静岡県の選挙区で立候補を予定している人のポスターに芸能人の写真があって、その芸能人は、「許可した覚えがない。」「候補者を支持してはいない。」とかのコメントを出したとか・・・載っていましたね?
勝手に?使用した候補者の側は、「いや!許可は内々にもらっている。」と反論していたようです。
まあ、手違いは色々とあるでしょう。

その候補者も、「許可はもらっている。」と反論するのはいいとして、「じゃあ、どうしたいの?」となるでしょ?「写真を使用する許可はもらっているから、たとえ、その写真の芸能人が、自分を支持していなくても、自分にはその写真を使用する権利があるんだ!」と言いたいの?そのような主張をしていくの?

ダメダメ人間は、トラブルになると、真っ先に言い出すのが「ワタシは悪くない!」ということ。しかし、そんな弁明を聞いていると、「悪くはないのは、いいとして・・・結局、アンタはどうしたいの?」と怪訝に思うだけ。
しかし、そんな雰囲気になってくると、「いや!ボクは悪くはないんだ!ボクこそが被害者なんだ!」とますます主張するようになってしまう。

その候補者が、結局、どうするのかは分かりかねますが・・・
もし、写真を使われた芸能人が、えげつない人だったら、こんな感じで言うでしょう。
「今回は、ワタシどもにも非がありました。手続き上のミスもあったようです。ですから、そのお詫びとして、その写真の使用を許可いたします。ワタシからの善意として受け取ってください。」

そのように、善意として使用を許可されたら、どうするのかな?
相手からの善意は受け取らないと、格好が悪い。
かといって、その芸能人は、政治的に支持しているわけではない。
そんな人の写真が飾られ続けたら、万事休すですよ。

静岡のその候補者の周囲の人・・・相棒たちも・・・どうもへっぽこくさい。
だからこそ、写真の相棒の選択でコケてしまうわけ。
R.11/1/1