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カテゴリー トラブル発生時の行動
配信日 08年11月7日 (10年6月10日 に記述を追加)
タイトル 撤退戦
戦国時代の合戦などの文章を読んでいると、出てきたりする記述があります。
・・・合戦で一番難しいのは、「負け戦のしんがり」の役目である。・・・
「しんがり」とは、撤退する軍勢の最後を守る部隊です。
つまり敵の攻撃が一番集中する部隊といえます。

合戦だって、いつもいつも勝つわけではない。やっぱり負けることもありますよ。
じゃあ、負け戦の時にどうするのか?どのように撤退するのか?
軍隊を撤退させるにせよ、ただ漫然と撤退していると、相手方が勢いに乗って攻めてくる。そうすると味方の損害が大きくなってしまう。
ある程度の反撃をしながら、軍勢を退かせるという目的を果たさないといけない。しんがりとは、まさにその一番難しいミッションを担当する部隊です。よっぽど優秀でないとできないこと。

それこそ、日本の戦国時代において、織田信長率いる織田家は、北陸の朝倉家を攻めましたが、その折に当時の同盟国であった浅井家の裏切りにあい、窮地に陥りました。
その絶望的な負け戦において、しんがりを務めたのが、木下藤吉郎・・・つまり、豊臣秀吉と、徳川家康と、明智光秀の3名です。
3名は、見事にしんがりをつとめ、織田家の軍勢のダメージを最小限にすることに成功して、織田家のピンチを救ったわけです。

撤退戦と言うものは、まずもってメンタルな面で、負担になるもの。
だって、「どうやって勝つのか?」という課題なら、当人も、それなりの意欲を持って当たることもできる。しかし、撤退戦なんだから、負け戦が決まってしまっている状態で、「どれだけ損害を最小限にすることができるのか?」という課題なんだから、考えるに際し、面白くない。
撤退戦の成功は、損害を最小限にすること。つまり、どのみち、損害は出てしまい、得るものは何もない。これじゃあ、精神的にツライでしょ?
それに、相手も勢いに乗ってくるんだから、まずもって、その勢いを受けないといけない。
ホント、戦術的にも、メンタル的にも、非常に困難なものなんですね。

このメールマガジンは、歴史なり、合戦についてのメールマガジンではありませんヨ。
ただ、現在においても、人間は生きていれば、色々な撤退戦が生じるもの。

それこそ、結婚したが上手く行かない・・・
さあ!どうしようか?
相手の側は、なんだかんだと色々と言ってくる。

そんな撤退戦もありますよね?
さっさと離婚するのか?
あるいは、もっと結論を先延ばしするのか?
あるいは、この時点までは調整するけど、このレヴェルを超えてしまった状況が発生したら、その時は潔く離婚しよう!
あるいは、とりあえずこっちが有利な条件を出してみて、相手の反応を見る。

それぞれの判断があるでしょう。

メンタル的に一番ラクなのは、言うまでもなく、結論の先延ばしです。
だって、離婚してしまうと、もう元には戻らない。
結論を先延ばししていると、「もしかすると、元の鞘に戻るかも?」そんな期待もある。
離婚というマイナスの確定には、どうしても心理的な抵抗がある。

しかし、そんな期待をするのは勝手ですが、離婚が議題に上るような状況からリカバリーするよりも、別のところでゼロから心機一転やり直した方が現実的ですよ。
しかし、自分のやったことが、負け戦だったことを認めることは、やっぱり難しいもの。

判断を先延ばししている内に、子供ができてしまい、「子供がいるから離婚できない。」という理由をつけて、もはや思考停止になってしまう。
そんなパターンも、現実に多いでしょ?
しかし、そんな判断の先延ばしの結果でできてしまった子供を、ちゃんと育てる発想もない。
ちゃんと育てる発想を持っていたら、「その前」に考えますよ。
しかし、「子供がいるから離婚できない。」としておけば、まさに「ワタシは悪くない!」と言えてしまう。
「だってぇ・・・子供のせいなんだもん!」周囲にはそう言っておけばいいだけ。
逆に言うと、「自分は悪くない。」と言いたいがために子供を作ってしまうことになる。
事態を改善するよりも、撤退戦に取り掛からない理由がほしいだけ。

以前に触れましたが、人間を洗脳する際には、このような「自分がやったことを正当化したい!」という心理を上手にリードするという手法があります。
人間にとって、「自分が間違っていた。」と認めることは難しい。
だから、撤退戦に踏み切れない。
負けていて、メンタル的に落ち込んでいるからこそ、「もしかすると、このまま前向きに戦っていたのなら、勝ってしまうのでは?」と、現実離れした希望にすがってしまう。
撤退戦に踏み切ったとしても、その戦いは戦術的に難しい。
勝つための戦術は、色々とあっても、負けを小さくする戦術は、確立された方法は、ほとんどありませんよ。

このメールマガジンにおいて、ダメダメな人とは離れるしかない、と頻繁に書いています。
被害者意識が強く、会話の能力も意欲もない人間と、一緒にやっていても、得るものがないばかりではなく、失うものばかり。
かと言って、世の中のダメダメ人間が、「ワタシはダメダメ人間です!」「取扱注意」「fragile」なんて表示を付けて歩いているわけではない。そもそもそんな自覚がないがゆえに、ダメダメ人間と言ってもいい。

だから、生きていると、どうしてもそんなダメダメ人間とのやり取りが発生してしまう。
じゃあ、それが判ったらどうするのか?
そうなったら、いち早く撤退戦を始めるしかないわけです。
前にも書きましたが、被害者意識が強いダメダメ人間とやり取りしても、何も得るものがないばかりではなく、失うものばかり。
お金や、下手すれば命まで失うことになる。被害者意識が強い人間の逆上気味の振る舞いに引っ張られると、当然のこととして、心がささくれ立ってきて、感情的にメチャクチャになり尊厳が毀損してしまう。

しかし、そんな逆上気味の人間の粗暴な言動に直面してしまっているがゆえに、潔く撤退戦を始めることが難しくなってしまう。
「アイツのせいで・・・迷惑ばかり!」
「ここはひとつ、アイツをギャフンと言わせたい!」

その気持ちは痛いほどわかりますよ。
その手の騒動に関しては、色々と経験豊富な私がわからないわけがないじゃないの?
しかし、ギャフンも何も、相手は狂人と一緒。
「傷ついた!」とか「被害を受けた!」と言葉の上では、叫んだりするものですが、傷つく心も、被害を受ける尊厳なんて、もともとないのがダメダメ人間というもの。
そんな人に対して反撃も何もありませんよ。

分かりやすくするために、個人のダメダメ人間のケースとは別の例として、国家間の戦いで考えて見ましょう。
もし日本と北朝鮮が戦争したら?

「相手が北朝鮮だったら日本が勝つに決まっているじゃないか?日本はアメリカと同盟しているし、もともとの軍事力が違うよ。」
そうお考えになられる方も多いでしょうが、現実的にはそうはいかない。
だって、北朝鮮が負けることはないんですね。
だって、彼らには失うものがないでしょ?
今だって何一つ持っていないんだから、これ以上、なくせませんよ。
だから負けようがない。

それに対して日本には失うものがいっぱいある。
だから、もし北朝鮮と日本が戦争したら、日本の方が困ってしまう。
北朝鮮を軍事的に占領したとしても、だからと言って、どうしようもないでしょ?
北朝鮮に、優秀な国民がいるわけでもないし、インフラが整備されているわけでもないし、資産があるわけでもない。鉱物資源が多少あっても、軍事費をかけてまで、取るほどではありませんよ。
結局は、日本は北朝鮮と戦争しても、結果としての「勝った」イメージがないんですね。
だから、そんな戦争はやるだけ損。

その点は、皆さんもわかるでしょ?
北朝鮮のような国家とは関わらないのが一番。
日本の勝つイメージは、その「関わらない」状態を獲得すること。
しかし、それは不毛ですよね?
しかし、現実的には、それしかないでしょ?

ダメダメな個人とのやり取りも、まさに金輪際関わらない状況を獲得するのが、勝利のイメージとなるわけです。
しかし、言葉ではわかっていても、感情的に収まりがつかない。

「相手に対して、打撃を与えたい!」
「自分が受けた被害に対して、報復したい!」
どうしても、そう思ってしまうことになる。

だから相手に言葉に反論をしてしまったりする。
そもそもダメダメ人間は、自分で考えないわけだから、その言葉も矛盾だらけ。
だから、そんなメチャクチャな言葉を聞くと、反論したくなってしまう。
しかし、それがクセモノ。

ダメダメ人間とのやり取りで、頻繁に発生するのは「反論が反論を呼ぶ」スタイルです。これは以前に配信しております。
そもそもダメダメ人間は、相手に伝えたいことがない。
だから相手方から反論されると、その反論に対して「あら探し」をして「揚げ足取り」に精を出すことになる。そんな反論のぶつかり合いだったら、ダメダメ人間のオハコなんですね。
だからこそ、相手が反論してくるのを、内心では楽しみにしているわけ。
ダメダメ人間が困るのは、「構ってくれない」こと。
反論することは、逆に言えば、相手に構っていることであって、ダメダメ人間は、そっちの方がうれしい。

このようなダメダメ人間とのやり取りが現実的に発生するのは、クレーマー対応の時です。
クレーマーについても、以前に取り上げております。
クレーマーとのやり取りは、「勝ち」はありません。
まさに撤退戦そのものなんですね。

クレーマーの粗暴な言動に腹を立てるのは当然のこと。
しかし、それに対して反論をすると逆効果になってしまう。まさに「反論vs反論」のバトルになるだけ。そして、それこそがクレーマーが望んでいること。

じゃあ、どうするの?
関らないのが一番ということは分かっているけど、クレーマーの場合には、現実的にやり取りが発生してしまっている。
曲がりなりにも、相手にも言い分はある。
無下に無視するのもできない。
まあ、世間におけるクレーマーとのやり取りって、こんなものですよね?

何度も書きますが、ダメダメ人間は、細部のマターには反論したりすることができる。
クレーマーさんが主張する被害話に対して、反論したりすると、それでクレーマーさんは盛り上がることができてしまう。
逆に言うと、クレーマーの言葉に反論してはダメなんですね。

じゃあ、どうするの?
クレーマーの言葉に対しては、はっきり言えば、聞き流せばいいだけ。
聞いたそぶりをしていれば、それで十分ですよ。どうせ当人の被害を感情的に語っているだけなんですからね。むしろ、クレーマーの言葉を聞くだけ、コッチの感情が悪くなり冷静な対応ができなくなるだけ。

かと言って、相手が何を言っても黙って無視というわけには行かない。
じゃあ、どうするの?
クレーマーの言葉は聞き流して、コッチの考えを滔滔と伝えればいいだけ。
それも丁寧な言葉で、正確な表現を使って、伝えることに注意する。
「当方といたしましては、この事案については、このように考えておりまして、そちらさまのご意見を受けて、このようにする所存です・・・」こんな感じでOKです。
長くて抑揚のない文章なり表現をする必要があります。

相手が読む気や聞く気がなくなるような文章にすればいいでしょう。
相手が「アンタは何が言いたいの?」と言っても、マイペースで自分の考えを「説明」する。
ダメダメ人間は、長い文章を読んだり聞いたりする意欲も能力もないので、疲れてくるものなんですね。

「反論が反論を呼ぶ」スタイルにはオハコのダメダメ人間も、丁寧で品性のある言葉で、正確な表現で言われると対応ができなくなってしまう。逆に言えば、乱暴なやり取りは、ダメダメ人間のオハコ。
丁寧なやりとりの経験がないので、対処ができない。
相手をののしるしか能がない。だから必死でののしろうとする。
しかし、ののしられても、相手からの「ののしり」には乗らない。できるだけ、相手に反論しないで、自分の考えを伝えることに徹する

そうなると、クレーマーも困ってしまう。
以前と同じような感情的なクレームを暫くは続けたりはしますが、そのうちに、それも収まってくるもの。

そもそも自分がどうしても伝えたいこと、達成したいことが存在しないのがダメダメ人間であり、それゆえに、「揚げ足取り」の一種であるクレーマーになるわけですが、新規の「揚げ足」がないと対応ができなくなってしまう。
クレーマーさんが、「裁判だ!」「訴えてやる!」などと息巻いたら、「では、弁護士さんからの連絡をお待ちしております。」「今後は弁護士さん経由でいきましょう。」
と答えればいいだけ。
そもそもクレーマーには、弁護士に説明できるような能力はないし、マトモな弁護士もクレーマーの弁護をするようなリスクはとらないもの。
そうこうしているうちに、クレーマーさんも疲れてくるわけです。
そもそもクレーマーは自己逃避なので、物事を解決する手段は持っていない。過去にトラブルを解決した実績もない。
忘れること、見ないこと・・・という終着点しか持っていない。
だから結果的に、そのようないつもの方法に頼ってしまう。

こうなると、結果的に収まってしまうもの。
そうなると「おいおい!アレって、結局は、なんだったんだ?」と思わされることになる。
以前にこのメールマガジンで取り上げましたが「大山鳴動」になるわけ。
大きく鳴動はしても、何も残らないし、何も解決しない・・・それがダメダメ人間の騒動。

このようなやり取りは、現実のクレーマーの時だけでなく、それこそインターネットの掲示板では頻繁に起こっていることでしょ?
大騒ぎして何も成果がないと言う点では、まさにこのパターン。

とは言え、クレーマーにしてみれば、「構ってもらった」わけだから、それなりに得るものがあったことになる。
しかし、クレーマーに振り回されたコッチとしては、得たものが何もないでしょ?
まあ、クレーマー対応のノウハウは得られたかもしれませんが、その代償は小さいものではない。

だから、コッチとしても別れ際に「捨てセリフ」の一つでも言いたいところですが、それが、またクセモノ。
それによって、クレーマーの情熱が蘇ったりするもの。
その捨てセリフによって、新たな「あら探し」ができることになる。

撤退戦の基本は、自分たちの損害を最小限にすること。
相手へのダメージを考えていては、いつまでも撤退できず、結果的に傷口が広がるだけなんですね。

(終了)
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発信後記

ちょっと前より、芸能界で大騒動になっているらしい、例の落語家さんの次女さん・・・海老名泰葉さんという名前の女性・・・と、落語家の元夫との騒動ですが・・・

その元夫さんの対応は、上記のクレーマー対応の基本を押さえていて、その点は合格点です。狂人の「ののしり」にマトモに対応してはダメなんですね。
あの次女さんの発言に対しては、彼だって色々と言いたいこともあるでしょう。
しかし、反論すると、それこそが新たな「あら探し」のネタになるだけ。
それがクレーマーにとっての新たなエネルギーになってしまう。

ここは、「聞き流す」のが一番というわけです。

本来なら、そうなる前に、撤退戦を始めるのが、もっと上策ですし、そもそも狂人とは結婚しなければこんなことにはならないもの。
クレーマーだと、注意していても遭遇することもありますが、あんな女性とわざわざ結婚するんだから、まあ、当時は彼も人を見る目がなかったということなんでしょうね。

しかし、あの騒動のおかげで、購読者の皆さんにも、ダメダメ人間とのやり取りにおいては、勝利はありえないことがよくわかるでしょ?
だから、相手がその手の人間であることがわかった段階で、撤退の準備をする必要があるわけ。
R.11/1/16