トップページに戻る 配信日分類の総目次へ
カテゴリー分類の総目次に戻る タイトル50音分類の総目次へ
カテゴリー ダメダメ土曜講座(人物編)
配信日 09年12月19日
タイトル アンナと由紀夫と一郎くん
このメールマガジンでは、今週は、信頼ということに関わる文章を集中的に配信しております。あと、最近では鳩山首相に言及することも多くあります。
別に政治信条の問題として取り上げているわけではありませんヨ。
鳩山さんから、ダメダメ家庭の様相がみえてくるんですね。

特に、自己逃避なり現実逃避という点において、鳩山さんは、見事な実例といえるでしょう。私としては、最初の頃は、選挙民向けにいい顔を・・・つまり有馬皇子の戦略をしていると思っていたのですが、どうやらフェイクではなく、生粋の人のようですねぇ・・・

自己逃避とか現実逃避の例として、このメールマガジンでは、トルストイが描いた「アンナ・カレーニナ」に言及することも多くあります。
その文章を取り上げた私の文章中にも書いておりますが、作者のトルストイは、アンナ・カレーニナの中心的なキャラクターとして「見たくない」「見ようとしない」そんな逃避的な性質を強調しています。

そのアンナの逃避的なキャラクターを強調するために、作者のトルストイは、アンナと逆のキャラクターを持つレーウィンとキティ夫妻を対比的に描いています。レーウィンとキティ夫妻は、問題が発生したら、真摯に向き合い、激しい議論を経て、一つ一つ解決していきます。そして解決できたことが実績となり、それが自信となり、お互いの信頼感につながっていくことになる。

それに対し、アンナは、トラブルが起こったりすると「そんなものは見たくない!」「ワタシに見せないで!」と逆上して、そんなトラブルの場からトンズラするだけ。
トンズラして、その時は見なくすることはできても、解決したわけではないんだから、トラブルが積み重なってしまい、結局は逃げ場がなくなって、ドッカーンとなってしまう。まあ、アンナは列車へのダイビングなんだから、ドッカーンではなく、ガッシャーンくらいかな?

事態の解決のためには激しい議論も必要ですが、アンナは、そんな激しい議論ですら見たくない。だから何も解決できない。
事態を解決するという発想を持っていなくて、とりあえず見なくなればそれでいい・・・そんな発想なので、当然のこととして先送りばかり。
先送りができるうちは、本当の意味で現実を見ようとしていないので、トラブルがあっても、「余裕シャクシャク」。
「面倒なことは全部この人たちがやってくれるんじゃないのぉ・・・」と、ノンビリしたもの。

とりあえず見えなくなればそれでいい・・・そんな人は「恵んでやる立場」の立とうとするもの。
「これをあげるから、ワタシに文句を言わないでね!」そんなスタイルが習慣化してしまっている。恵んでくれる立場の人間に対しては、強いことを言わないでしょ?だからこそ、言われないで済むことになる。
アンナも、まさに他人の子供を養子にして、恵んでやるという立場に安住しますが、そんな恵んでやるという立場に立てない自分の実子はネグレクトしてしまう。

そんな人は、自分自身がやりたいことがない。
だって、自分自身から逃避しているんだから、本当の意味でやりたいことなんてありませんよ。そんな人が周囲に対し求めるのは「ワタシをいい子を認めてほしい!」それくらい。
だからこそ、周囲から褒められるような立派なことを言いたがる。

逆に言うと、いい子でなくなりそうになったら、「あの○○のせいで、うまくいかない!」そんなことを言い出すもの。そんな言葉がスグに言えるように、敵認定の心理が強く、そして「あら探し」をしている。
敵の欠点を見つけ、それを攻撃することで、「自分がうまく行かないのは○○のせいだ!」という心理を強化しているわけです。
そうやって、対抗心を持ち、報復することで、自分を被害者の側だと主張する。
まさに「復讐するは、我にあり。」とのアンナ・カレーニナの冒頭の言葉となる。

たとえ復讐して、自分を被害者だと主張しても、そこから信頼が得られるというものではないでしょ?しかし、信頼そのものが理解できないんだから、どうしてもそうなってしまう。
そんな信頼とは無縁の人間である鳩山さんが、首相になってしまう・・・現実逃避の一環として政治という場所に逃げてしまっている人を、日本人は、首相にしてしまうんですからね。それは、まさに現在の日本の精神的な怠惰の象徴でしょう。まあ、自民党も民主党も、どっちもどっちですからね。特定の政党の問題ではなく、日本人の現実逃避そのものですよ。鳩山さんは、まさに現在の日本人の現実逃避の心情の鏡と言えるでしょう。

国の債務である700兆の借金をどうやって返済していくか、という点について考えると、痛みをともなう議論になってしまう。だから、そこから逃避したい人間にしてみれば、能天気に徹している鳩山さんがベストの選択でしょう。ただ、目を背けていても、借金が返せるわけではない。いずれかはドッカーンとなってしまうもの。
選ばれた人は、選ぶ人の鏡そのものでしょ?結婚相手だって、そんなもの。
ちなみに、その鳩山さんの配偶者の方ですが、現実逃避という観点から見てみると、すばらしい女性でしょ?彼女ほど、現実から目をそらしてくれる人はいませんよ。

話は変わりますが、今週騒ぎになったのは、中国の高官が、日本の天皇に面会での問題でしたね。1ヶ月前にアポをとるのがルールなのに、期限切れなのにゴリ押ししてきた・・・とか。天皇の政治利用の問題とか、尊皇の心がないとか・・・まあ、色々とあるでしょう。
ここでは、政治的な観点からは考えません。心理的な観点から考えて見ます。
そもそも、そうまでして、中国高官が天皇に会わなければならない用件って何?
天皇なんてディシジョン・メーカーというか政治判断する人ではないんだから、会談して、何かを決定するものではないでしょ?無理に会う必要もない人ですよ。
中国の高官が日本の天皇と北朝鮮の軍備問題について意見交換するの?そんなわけないでしょ?

それにどうしても会いたいのなら、ちゃんと都合を付けて、一ヶ月前にアポをとればいいだけ。北京から東京なんて、その気になれば日帰りできるでしょ?専用機を使えば、楽勝ですよ。どうしても会いたいのなら、それくらいはできるでしょ?
つまり、今回の訪問騒動は、結果として起こったのではなく、騒動そのものが目的だったわけです。

ダメダメ家庭の人間が、自分からトラブルを起こすことで、それによる周囲の反応をチェックし、自分への評価を確認すること・・・つまり「関係チェック」をすることについては、以前に配信しております。

誰が自分の味方だろうか?
誰が、自分の無理を聞いてくれるんだろうか?
どの程度まで評価してくれているの?

そんなことを確認するためのトラブルなんですね。
人からの評価をそれだけ気にするということは、それだけ、自分自身に自信がないわけです。

それこそ、今回の騒動だって、あんなことをアメリカ大統領がするでしょうか?あるいは、イギリスのエリザベス女王がするでしょうか?
本当の意味で自信があり、そして周囲の人も、その人を評価している人は、あんな横車を押すようなことはしないもの。
あるいは、オバマさんのように、本当に自信があるから、深々とお辞儀もできる。

逆に言うと、今回のような関係チェックをしなくてはならないことから、その人の「自信のなさ」が見えてくるわけです。自信がないからこそ、お辞儀もできない。
それだけ、立場としても、精神的にも、実は不安定なんでしょうね。

コンプレックスがあると、人から安く見られないように必死になってしまうもの。
自分を無理に大きく見せようとする
そんな点は、この件を主導した・・・とされる小沢さんにも顕著でしょ?

彼としては、中国からの関係チェックに便乗する形で、自分自身にとっての関係チェックを行ったわけです。
「誰が自分の意向を聞いてくれるのか?」その点を確かめている。そして、確かめるだけでなく、その姿を見せることで、支配関係を確立する儀式としているわけです。

しかし、逆に言うと、それだけ自分の立場の不安定さを感じていたり、自分自身のコンプレックスがあるんですね。コンプレックスがあるからこそ、人に自分の強さを見せ付けておかないといけないと思っている。
まあ、政治の世界だけでなく、ダメダメ家庭の周囲では、あのような強引なやり方が起こっているもの。そして、そんなことをする人を、コンプレックスという観点から見てみると、意外にも理解しやすかったりするでしょ?

鳩山さんが「トラブルを見たくない。」と逃げ回るように、小沢さんは「違った見解を見たくない。」と思っている。
違った見解があったら、それを認めた上で、妥協点を図るなり、自分の考えを説明して、合意してもらうなり・・・そんなことをする必要があるわけですが、小沢さんは、自分の「説明能力」に自信がない。というか、その能力の低さに対しコンプレックスがあるんでしょう。
合意を取るという発想がないから、自分とは違った見解を「見せられると」対処ができない。
だから、自分とは相違している見解が出てこないように、自分が見なくて済むようにしたい。小沢さんは、自分に対する否定的な見解がでてくると、その見解に対して、「自分の考えを説明する。」という対応ではなく「二度と出さないようにする。」という対応しかできないでしょ?それだけ、説明能力がないし、もっと端的に言ってしまうと、自分の考えそのものがないんですね。

鳩山さんはトラブル解決能力がないし、小沢さんは説明能力がない。
いやなことは見たくない・・・そんな心理があるから、鳩山さんは、アメリカ軍基地を見たくないし、考えたくない。だから出て行ってほしいと思っている。信念があっての「党的」な発想ではなく、むしろ「逃避的」な心情なんですね。見たくない、考えたくないというだけだから、将来起こりうるトラブルに対してどうするのか?という視点では考えない。ただ、とりあえず見えなくなれば、それでいいというだけ。

だからこそ、アンナ・カレーニナのように「見せないで!」と逃げ回ったり、逆上したりするわけです。
まあ、アンナさんは貴族ですが、その設定を今の日本に当てはめると、中央線沿線の高級住宅街に住むセレブなご夫人という感じ。ダイビングの名所ですしね。そんな女性を実際に知っている人もいるのでは?

そんな人が、ダイビングするのは勝手ですが、まあ、鳩山さんは、立場が立場だけに、国を引き連れてのダイビングとなってしまう。しかし、そんな人を選んだのは、同じように「見たくない」と逃げ回っている日本国民なんですよ。

(終了)
***************************************************
発信後記

いつも書いていますが、私としては党派的な発想で文章をまとめているわけではありません。鳩山さんに顕著に見える自己逃避の心情から、我々の眼前にあるダメダメとの共通性が見えてくるというだけです。
そして、「見たくない」という心情は、小沢さんも共通しているわけ。

鳩山さんは、「見たくない」と思ったら、さっさとトンズラ。
しかし、小沢さんは、「見たくない」ので、発言を封じ込む。

行動は多少違っていても、心情は共通しているわけ。

ちなみに、もうすぐ、年末年始の休みですが、せっかくですから、トルストイの「アンナ・カレーニナ」をお読みになられてはどうでしょうか?
「ダメダメな集団は、同じように、ダメダメ。」ということがよくお分かりになると思います。
R.11/1/28